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勝った馬、負けた馬にもそれぞれ収穫はあったはず
文/編集部(T)、写真/森鷹史


昨年の有馬記念勝ち馬ゴールドアクターと、今年の宝塚記念勝ち馬マリアライトが揃って参戦。人気もこの2頭が分け合う形で、1番人気がゴールドアクターで2.0倍、2番人気マリアライトが2.9倍というオッズとなった。

ゴールドアクターは前走の天皇賞・春で⑫着に大敗して以来約5ヵ月ぶり、マリアライト宝塚記念からの直行。臨戦過程の面では差がある印象があったが、それでもゴールドアクターが1番人気を守ったのは、ゴールドアクターマリアライトとこれまで2回対戦(15年有馬記念、16年日経賞)して、いずれも勝利していたこともあったのだろう。

いずれにしても力はこの2頭が抜けている感じだったので、後続を引き離してワンツーも……とも思っていたが、結果的に明暗が分かれる形となった

勝ったのはゴールドアクターで、中団追走から直線で先に抜け出したサトノノブレスの抵抗に遭ったが、最後はねじ伏せるようにゴール。マリアライトは終始手応えが見劣る感じで勝負所で前との差を詰め切れず、直線で伸びあぐねて⑤着に敗れた。

今回のように2頭が抜けた人気を集めるレースの場合、単勝や馬単、3連単などで「どちらが勝つのか?」をテーマに予想する方が多いのではないだろうか。週中の時点からゴールドアクターが1番人気なのはある程度予想できたので、自分は正直なところ、雨が続く今週の天気予報を見ながら「しめしめ」と思っていた。

「おトクな出馬表」にも示されていたが、マリアライトはこれまで『レース上がりが35秒5以上で[6.0.1.0]、35秒4以内で[0.2.4.4]』宝塚記念も稍重馬場でドゥラメンテ、キタサンブラックを下しており、馬場が重くなって上がりがかかればこの馬向きになる→ゴールドアクター相手でも逆転可能、と見たからだ。

ところが、土曜までは雨が降っていたのに、日曜は終始曇り空。馬場もどんどん良くなり、昼前には良馬場へ。結果的にオールカマーのレース上がりは“35秒4”となった。これが0秒1遅くなってマリアライトが馬券圏内に来ていたかどうかは微妙だが……。

これでゴールドアクター中山の芝重賞で3戦3勝休み明けで5戦5勝。走り慣れた条件で、いつも通り力を発揮した、ということなのだろう。今後はジャパンCが目標になるといわれているが、父スクリーンヒーローはこのレースを制した馬だし、本馬自身も中山専用機という印象はさほど感じない。確たる王者不在の中長距離路線なら有力視していいのではないか。

一方、マリアライトは今回の敗戦で休み明けは③③⑤③⑤着レース上がりが35秒4以内だと[0.2.4.5]となった。条件が良くなかった中での0秒3差⑤着は決して悪くない結果。17頭立て以上が[3.1.0.0]で、頭数が揃うG1向きという印象もあるから、秋G1に向けては悪くない試走だったのではないだろうか。

ところで、“オールカマー”という言葉は、参加希望者全員というような意味がある。現在は珍しくないが、かつては地方所属馬や外国所属馬、外国産馬、ひいてはアラブなど、さまざまな条件の馬に門戸が開かれている重賞が少なかったのでこういう名前がついたそうだ。

そんなレースだからか(?)、今回出走した馬は前走G1組を除くとすべて違うレースからの臨戦だったし、今後もいろいろなレースが目標になりそう。前述したようにゴールドアクタージャパンCが目標で、マリアライトエリザベス女王杯天皇賞に向かう馬もいるかもしれない。

また、カレンミロティック(⑨着)はメルボルンCに向かうと報じられている。メルボルンCはハンデ戦なので、この敗戦もハンデを考えれば悪くないのではないか。

これまでのオールカマーといえば、同じ別定G2でも毎日王冠、京都大賞典に比べると少し地味な印象が拭えなかったが、今年はひと味違うのでは。ここをステップにG1を制した馬が多数出る、今年はそんなオールカマーになることを期待したい。