ここも牝馬が大挙参戦で躍進、現2歳世代の牝馬は粒揃い
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
先週行われた
京王杯2歳Sには、牝馬のレーヌミノルが参戦。
「同日に同じ芝1400mの牝馬限定戦ファンタジーSがあるのになぜ!?」と思った
ファンも少なくなかったのではないだろうか。ところが、モンドキャンノ&
ルメール騎手に先着を許したものの、1番人気で②着確保(③着には3馬身差)して格好はつけた。
ここまでの2歳重賞戦線の牝馬を振り返ってみると、
新潟2歳Sはヴゼットジョリーが勝利し、
札幌2歳Sは紅一点ブラックオニキスが②着。
小倉2歳Sは前出のレーヌミノルが6馬身差の圧勝を飾っている。牝馬限定戦では、
アルテミスS①②着のリスグラシュー、フローレスマジック、
ファンタジーS①着のミスエルテは
阪神JFでも上位人気候補と目される。
重賞組以外では、
未勝利戦→
百日草特別と2連勝中のアドマイヤミヤビ、
フランケル産駒で
新馬戦→
アイビーSとデビュー2連勝中のソウルスターリングなども存在感を示していて、
現2歳世代の牝馬はなかなかの粒揃いと言える。
そんな中、この
デイリー杯2歳Sは出走馬の半数に当たる5頭が牝馬という状況に。
デイリー杯2歳Sが京都芝外1600mで行われるようになった97年以降、同年の牝馬最多出走は97年と13年の3頭で、
今年の5頭というのがいかに多いかがわかる。
1番人気(2.9倍)こそミッキーアイルの半弟
タイセイスターリーに譲る形となったが、2番人気(3.6倍)は
ジューヌエコール(
新馬戦→
ききょうS)、3番人気(4.6倍)は
ディーパワンサ(
新馬戦→
中京2歳S)とデビュー2連勝中の牝馬2頭が占め、4番人気(5.8倍)の
サングレーザーを挟み、5番人気(8.4倍)
リナーテ、6番人気(13.4倍)
ベルカプリで、さらに牝馬が続いた。
レースは
ベルカプリがハナを切るかと思いきや、同じ
ダイワメジャー産駒の
ボンセルヴィーソが先導する形で進み、1000m通過60秒5。
デイリー杯2歳Sが10月から11月中旬に行われるようになったのは14年からで、14年は
61秒1、15年は
61秒7。過去2年に比べればいくらか速いがそれでもスローペースで、序盤に行きたがる素振りを見せていた馬が多いのもやむを得ず。
いかにも前が残りそうな雰囲気の中、
ベルカプリ、
ジューヌエコール、
サングレーザーは好位に付け、その後ろに
ディーパワンサ、出遅れを挽回してポジションを押し上げた
タイセイスターリーと続く。
手応え良く直線に向いた
ボンセルヴィーソが逃げ込みを図る中、後続がジワジワと接近。そのうち、
ボンセルヴィーソと
ベルカプリの間から伸びてきたのが
ジューヌエコールで、メンバー中最速の上がり33秒6を繰り出し、逃げ粘った
ボンセルヴィーソをクビ差交わしたところがゴールだった。
ジューヌエコールはデビューから
無傷の3連勝を飾り、同時に重賞タイトルも獲得。
福永騎手騎乗で
デイリー杯2歳Sを制した牝馬と言えば、その後、
阪神JF→
チューリップ賞と4連勝を飾ったレーヴディソールがいるが、この馬の場合は大外から余裕を持ってまとめて差し切るという、
見た目にも派手な勝ちっぷりだった。
対して、
ジューヌエコールはスタートに進境を見せ、初のマイルもこなして収穫はあったレースだろうが、好位内からサッと抜け出して逃げ馬をクビ差交わすという
地味な勝ち方。正直なところ、レーヴディソールほどのインパクトは感じさせない。
とはいえ、
ジューヌエコールは近親に
ダービー馬ロジユニヴァースがいて、
クロフネ産駒はホエールキャプチャ(10年②着)、クロフネサプライズ(12年②着)、ベストクルーズ(09年③着)と、
阪神JFで好走馬を送り出しているから、本番でも侮らないほうがいい1頭だろう。
一方、
ディーパワンサは④着で、連勝はストップしたが、
ジューヌエコールと同じメンバー中最速の上がり33秒6で0秒1差まで猛追していた。
ジューヌエコールとは位置取り、直線で外を回った分のコース取りの差だろうし、休み明けだったことを考えれば悲観することもなさそう。シンハライトの近親で、父はフェノーメノとの接戦を制して
ダービー馬に輝いたディープブリランテ。
大一番で勝負強いタイプかもしれない。
サトノダイヤモンドの半妹
リナーテ(⑥着)は4角8番手からで差し届かず。位置取りが明暗を分けた形だが、上がりは
ジューヌエコール、
ディーパワンサより0秒1遅い33秒7で、
内容的にはパンチ不足の感は否めない。
タイセイスターリーも出遅れて流れに乗り切れなかったとはいえ、上がり34秒3で追い上げられず⑧着というのは
物足りない内容と言わざるを得ない。直線で外にヨレたり、気性がまだ幼い感じでそれが影響したのだろうか。
雄大な馬体の持ち主で素質はありそうだから、今後の巻き返しに期待したいところだ。