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マイネルハニーと柴田大騎手が力づくで勝利を手繰り寄せた
文/編集部(M)、写真/川井博


マイネルハニーが先頭でゴールした瞬間、マイネルハニーでインプレ(速攻レースインプレッション)を書くのは2度目か…」との思いがよぎった。しかし、よく考えてみたら、マイネルハニーは今回が初重賞制覇。勘違いしていた。

マイネルハニーでインプレを書いたと記憶していたのは、今年のスプリングSのこと。勝利したマウントロブソンのことよりも、逃げてクビ差(②着)に粘ったマイネルハニーが強く印象に残っていて、間違えて記憶していたのだ。マイネルハニーはクラシック登録がなく、皐月賞に出るには追加登録料(200万円)が必要で、200万円をどうにかできないか、と書いた内容も記憶していた。

スプリングSでのマイネルハニーは逃げて前半1000mを60秒3で通過し、上がり36秒2でクビ差②着となった。芝は良馬場だったが、ひとつ前のレース(千葉S、ダート1200m)が重馬場で行われたように、良馬場発表でも力を要する状態だった。そのこととペースを考えるとよく粘っていて、皐月賞に出ても面白い存在になりうると思っていた。

結局、皐月賞には出走せず、青葉賞(⑧着)→ダービー(⑯着)で春シーズンを終え、今秋はアイルランドT(②着)→福島記念(④着)と経てこのチャレンジCに向かってきた。

過去2勝は東京芝1600m東京芝2000mで挙げているが、スプリングSの内容が強く印象に残っていて、その先行脚質を考えても、小回りコースの方が向くタイプだと思っていた。だから、正直なところ、前走の福島記念(福島芝2000m)よりも今回のチャレンジC(阪神芝外1800m)の方がコース形態は合わないと感じていた。

ところが、ダノンメジャーがハナを切って前半1000mを58秒8で飛ばし、マイネルハニーの鞍上・柴田大騎手が早めに動いて行って、流れを自分自身の方へ向けていった。2ハロン目からはずっと11秒台のラップが続き、最後の1ハロンだけ13秒0もかかった。消耗戦の流れに持ち込んでの押し切りで、マイネルハニー柴田大騎手力づくで勝利を手繰り寄せたと言えるだろう。

マイネルハニーのこれまでの2勝は稍重~重馬場で、土曜日(10日)の阪神競馬は馬場が渋ったことも好影響をもたらしたのだろう。阪神芝外1800mでの牡牝混合重賞でレース上がりが36秒台となったことは、過去に3度あり、08年鳴尾記念(良馬場)、12年毎日杯(重馬場)、12年朝日チャレンジC(良馬場)で、いずれもレース上がりは36秒0だった。そして、勝利した馬はいずれも4コーナー9番手からの差し切りだった。

今回のレース上がりは36秒1で、マイネルハニーは4コーナーで2番手にいた。②着ベルーフ、③着ケイティープライド、④着フルーキーと4コーナー7番手以下の馬が差し込んできたが、それらを凌ぎ切ったのだから強い内容だった。なかなかお目にかかれないレースだと思うので、阪神競馬場で生観戦された方は後世まで語り継いでいいと思います。

マイネルハニーは父マツリダゴッホ×母父ナリタブライアンという配合で、あの粘り腰はブライアンズタイムナリタブライアンと続いてきているロベルト系のものではないかと推測する。鞍上の柴田大騎手によれば、スプリングS当時は道中で抑えが利きづらかったようだが、ひと夏を越して精神面に成長が出ているようだ。4歳となる来年が飛躍の一年となって不思議ないだろう。

これまでの活躍距離を考えれば、来年にG1となる大阪杯(阪神芝2000m)は楽しみになりそうだが、それよりも適性が高いのは宝塚記念ではないかとも思う。距離は2200mとさらに延びるが、非根幹距離の方が合いそうな印象で、宝塚記念の施行時期が梅雨時で馬場が渋りやすいのも向きそうに感じるからだ。

86年以降の宝塚記念では、母父ロベルト系の優勝はないが、父ロベルト系では、96年マヤノトップガン、99年グラスワンダー、02年ダンツフレーム、11年アーネストリーと4頭の優勝馬が出ている。ナリタブライアンの底力によって、宝塚記念マイネルハニーが輝いてもおかしくないと思うのだが、どうだろうか?