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馬券的には「期待ハズレ」、来年の大一番に向けては「期待通り」
文/浅田知広

カペラSはJRAで唯一のダート1200m重賞、ではあるのだが。大目標・JBCスプリントが終わったあとで、次の大目標はその1年後のJBCスプリント。そしてハンデでもない別定のG3。存在感の薄さワースト5には入ってしまうのではないか、という感もある(個人の感想です)。

こんなことを言っては、創設以来1番人気8連敗のありがたい重賞になんてことを言うんだ、と穴党の方には怒られてしまうだろうか。また、一昨年に重賞初制覇を飾ったダノンレジェンドは、その後大活躍を見せてJBCスプリントでも②①着。また、10年優勝のセイクリムズンはG1を勝てこそしなかったものの、何度も好走を重ねダート短距離路線を盛り上げてくれた。ほかにも13年のノーザンリバー、09年のミリオンディスクなど、実は勝っているメンバーを見ればまったくもって悪くない。

今年もなかなかの好メンバーが揃っており、その筆頭格は昨年のJBCスプリント優勝馬で1番人気の牝馬コーリンベリー。今年のJBCスプリントは差のある③着に敗れてしまったが、G3のこのメンバーなら、ほとんどの牡馬と同じ56キロを背負っても有力という見立てになる。

これに続くニシケンモノノフは、古馬になってからの重賞では前々走のプロキオンSなど②着止まりだが、2歳時に兵庫ジュニアGPを制した馬。そしてノボバカラはここ2走こそ大敗しているものの、プロキオンSでそのニシケンモノノフを下している。この2頭、現状ではG1級には足りないかな、というところだが、なにせまだ5歳と4歳。ここでコーリンベリーを下せば、ダート短距離路線で主役級に躍り出る足がかりとなる。

また、一昨年のダノンレジェンドは12番人気での大楽勝。4番人気以下でも4~5歳くらいなら、これから先の道が拓けてきそうな馬が多く見られた。いや、実は過去8回の優勝馬のうち、5頭が重賞初制覇だった、という傾向もあり、馬券的にはその「4番人気以下」のほうが気になったのだが……。

先行馬こそ多いものの、近走で連続して逃げていた馬が不在のメンバー。その上、地方馬も4頭参戦してなにがハナを切るかと思ってみれば、最内1番枠から押して押してノボバカラ。中山ダート1200mというと外枠有利の印象強いものだが、このレースは過去8回で馬番1番2勝、馬番2番1勝。揉まれ込んでしまうならともかく、ハナを切った時点でそのままノボバカラが逃げ切りそうな臭いがしてきた。

他の人気2頭、「有利な外枠」を引いたコーリンベリーも好ダッシュを見せたものの、前の争いには加わらずに好位を確保。これを見てニシケンモノノフも続き、人気どころがおおむね前を占める展開。果たしてペースは、と思えば前半3ハロン33秒3(画面表示の参考タイムは33秒2)。一見ちょっと速いか、というペースだが、同じ良馬場で一昨年に逃げ切ったダノンレジェンドが33秒3。このペースで潰れているようでは、G1どうのという話にはならない、ということだろう。

逃げたノボバカラも、このくらいで潰れるはずもないと言わんばかりに、抜群の手応えのまま4コーナーを通過。直線に向くとすっと2馬身抜け出し、2番手ゴーイングパワーの後ろもさらに2馬身。ラスト1ハロンは13秒0と止まりかけてはいたものの、さすがに直線入口での差は大きく、ニシケンモノノフの追撃を余裕をもって振り切った。

そして③着には1番人気のコーリンベリー。確かに今年も1番人気は負けたものの、終わってみれば3→2→1番人気。馬券的には「期待ハズレだよ!」と言いたくなる結果だが、来年のJBCスプリントへ向けて、という意味では「期待通り」でもある、ノボバカラの逃走劇だった。

ノボバカラはもともと1400m以上を主戦場とし、重賞2勝も1400mのかきつばた記念プロキオンSだった。この1200mでは、逃げてダノンレジェンドとマッチレースを演じた北海道スプリントCがハナ差の②着。そして好位を追走した前々走の東京盃は、スタートから300m程度で早くもムチが入る行きっぷりの悪さで⑨着敗退を喫していた。

この2レースの結果を踏まえれば、1枠1番を引いた今回は行けるものなら行き切るのみ。逆に言えば今後も、内枠を引いてしまった際に好ダッシュを決められるかがカギを握ることになる。もっとも今後、地方の1400m戦あたりなら問題なさそうで、JBCスプリント(来年は大井)へ向けてしっかり結果を残し続けてくれそうだ。