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因縁のコース&馬番で成長した姿を見せた
文/編集部(M)、写真/川井博


新しいJRAのプロモーションCMに対して、いろいろな声が上がっているようだ。個人的に、「友情、愛情、ケイバ場!」という合言葉はどうかと思いますけど、内容は別にいいんじゃないですかねぇ。競馬にどっぷり浸かっている人たちを対象に作られたものではないのでしょうから、違和感を覚えてもそれも当然のことかと。

JRAが新しいCMを作って、それに対していろんな意見が出るのは、2年に一度の風物詩となっているけれど、その一方で、「金杯はゴールド(金)の付く馬や騎手を狙え」といったような声は、近年はトンと聞かれなくなった。

そもそも今年の中山金杯には該当馬がいなかったこともあるだろうが、そんなジンクスで穴馬券を狙えたのは過去の話で、最近の中山金杯がとにかく堅い決着に終始していることも影響しているんじゃないかと思う。語呂合わせで運試し、なんて空気はなく、重ハンデの上位人気馬から堅い配当を狙う風潮が強まっているように感じる。

中山金杯で軽ハンデ(ハンデ54kg以下)の馬が優勝したのは、07年のシャドウゲイト(53kg)まで遡る。過去10年のデータで取ると、来年(2018年)には07年は除外対象(11年前)になるので、「過去10年の中山金杯の勝ち馬はすべてハンデが55kg以上」となる。その10頭のうちハンデ55kgの馬は12年のフェデラリスト(55kg)だけで、10頭中9頭がハンデ56kg以上なのだから、とにかく重ハンデ馬の実力を信頼しよう、という重賞になった。

近年の中山金杯では、前走から斤量が増えてハンデ56kg以上だった馬がずっと好走していて、13年以降は4連勝中であることを「メインレースの考え方」で記した。今年それに該当したのはクラリティスカイツクバアズマオーで、その2頭が後続を離して叩き合いを演じたのだから、ゴール前は苦笑しながら見守るしかなかった。

2頭の間に、最後に1馬身近くの差(3/4馬身差)が付いたのは1kgのハンデ差があったことも影響したのだろうし、距離適性の差もあったのだろう。クラリティスカイクロフネ産駒で、同産駒は芝2000m以上の重賞で勝った馬がいない([0.7.7.97])。そのこととトップハンデだったことを考えれば、今回は強い内容を見せたと言える。

優勝したツクバアズマオーステイゴールド産駒で、中山芝を得意にする馬が多い同産駒らしい走りだった。ツクバアズマオーは一昨年夏以降の成績が[5.0.5.3]で、掲示板外が一度もない。本格化した近走の走りを見れば、今回の快勝劇もなんら驚くものではないだろうが、2~3歳時のことを思い返すと、ちょっと感慨深い面もある。

ツクバアズマオーは今回が4度目の重賞挑戦で、過去3度の成績は⑮③③着だった。2度の③着は本格化した後の昨年7~9月でのもので、⑮着は3歳時の京成杯。その京成杯と今回の中山金杯に関して、似ている点があった。

3歳時の京成杯中1週での臨戦で、2枠3番という枠順だった。今回は中1.5週での3枠3番京成杯は16頭立てで1000m通過が60秒6というペースになり、今回は13頭立てだったので落ち着いた流れになるかと思いきや、1000m通過が60秒4となった。3年の時を経て、ツクバアズマオーは、京成杯の時と同コース・同馬番で似たようなペースとなり、どれだけ成長したか試されているかのようだった。

京成杯で⑮着に敗れたのは、序盤から行きたがって折り合いを欠いたことが原因だった。それが昨年以降は落ち着いて周回できることが多くなり、前走のディセンバーSでは馬群のやや外目を回りながら直線で鋭い末脚を見せていた。今回も折り合いを欠くことはなく、前走の再現VTRのように末脚を繰り出した。

ちょっとスケールが異なるかもしれないが、大敗した舞台に戻って鮮やかな勝利を飾ったケースとして、ジャパンCでのキタサンブラックを思い出した。キタサンブラックダービーで⑭着に大敗し、昨秋のジャパンCはその時以来の東京芝2400m戦だったが、2馬身半差で勝利して3歳時とは違うことを証明した。今回のツクバアズマオーに対しても、似たような成長しての逞しさが感じられた。

ステイゴールド産駒中山金杯制覇は3年前のオーシャンブルー以来で、同馬は4歳時に有馬記念で②着に好走していた。2年前の中山金杯勝ち馬はラブリーデイで、ご存知のように同馬は同年にブレイクして年末の有馬記念は0秒2差⑤着だった。昨年の中山金杯を制したのはヤマカツエースで、同馬は昨年の有馬記念が0秒3差④着だった。

近年の中山金杯は重ハンデの上位人気馬が勝つばかりでなく、優勝馬は有馬記念でも好戦できるほどの実力があるケースが多くなっている。ツクバアズマオーにもそれだけの地力が備わっていて不思議ない。そのあたりは認識を改めつつ、今後の馬券検討時に活かしていくべきと思う。