今回はコンビによる勝利として賞賛したい
文/編集部(W)、写真/稲葉訓也
天気予報通り、天気は西の方から
下り坂。この日の京都は雨が降る中でのスタートとなり、6Rでダートが稍重、8Rで芝は稍重となり、
メイン・シンザン記念の時には重馬場まで悪化することに。
ふと思い返してみると、
シンザン記念が道悪で行われた記憶がない。元旦にインフルエンザを発症し、数日、高熱、頭痛に苦しみ、そのせいで脳細胞がやられて思考力が鈍っているのか。
そんなはずはないと恐る恐る調べてみたところ、直近では01年、その前は98年で、過去30年でも
“道悪のシンザン記念”はその2回しかなかった。その2年ともリアルタイムで見ていたレースだが、30年で2回なら記憶から抜けておちていても無理はないでしょう(笑)。
では、その2年はどんな結果だったかというと、01年は①着
ダービーレグノ(14番人気)、②着
ビッグゴールド(7番人気)、③着
フィールドサンデー(1番人気)、98年は①着
ダンツシリウス(5番人気)、②着
アグネスワールド(1番人気)、③着
ミツルリュウホウ(8番人気)。1番人気が馬券に絡んでいる一方、それ以上に人気薄が存在感を示している。
何とな~く
不穏の気配を感じたが、1番人気は
ペルシアンナイト、2番人気は
アルアイン、3番人気は
トラストで、前日最終オッズから不動。オッズも2.2→2.4倍、3.4→3.6倍、7.3→6.9倍とほぼ同じで、
ファンの上位人気3頭への信頼は雨模様でも揺るぎなしといった感じ。
レースは
キョウヘイが大きく出遅れ、人気2頭の
アルアイン、
ペルシアンナイトも出負け気味。早くも
イヤな予感が現実となったかと思いきや、
アルアインは押してポジションを押し上げ、
ペルシアンナイトも慌てず中団内目に付け、事なきを得たかと思われた。ところが…。
手応え良く直線に向いた
アルアイン。逃げていた
メイショウソウビ、2番手
ブラックランナーの間を突こうとした瞬間、前が塞がってブレーキをかけて後退。その後ろにいた
ペルシアンナイトは何とかゴチャつく場面こそ回避できたが、外から
マイスタイルに蓋をされて狭い内で進路を探しながら追う形に。
大渋滞の内とは違い、広いスペースの外から伸びてきたのが落馬負傷の
川田騎手から
武豊騎手に乗り替わった
タイセイスターリー。この馬がまとめて差し切るかと思われたところ、最後方から馬群を割って猛追してきたのが8番人気の
キョウヘイだった。
1000m通過は59秒5で、レース上がりは38秒1。ハイペースとなって上がりがかかったことで差し込みやすい状況が生まれ、直線は行く先々で前が開くという
好運にも恵まれた。
ただ、
高倉騎手は
「他の馬と一緒に出過ぎると変に力むところがあるので、ゲートはわざと遅らせるような気持ちで出しました。馬場も渋くなって他の馬も脚が鈍ると思い、溜めれば捌けると思いました。上手く決まりました」と、レース後に語っている。
勝つ時はすべてが上手くいくものだが、それでも、今回はデビューから
キョウヘイに騎乗し続けてきた
高倉騎手が馬の特徴を把握し、作戦を練って冷静に行動に移し、馬の実力が伴っていたこそ。
コンビによる勝利として賞賛したい。
また、
リーチザクラウン産駒はこの
シンザン記念が
重賞初制覇となった。
キョウヘイは
母父ダンスインザダークで、
サンデーサイレンスの3×3のクロスが目立つが、父も母父もダービー連対馬で、
ニジンスキーの5×4のクロスも併せ持っている。今回のような上がりのかかるタフな展開が向いているのだろうが、距離適性はマイル以下と決めつけないほうがいい気がする。
②着
タイセイスターリーは
デイリー杯2歳S⑧着からきっちりと巻き返して汚名返上。
ミッキーアイルの半弟らしく実力の片鱗を見せた感じ。8枠は
①②着なので、今回は馬群の外でのびのび走れたのが良かったのか。
ペルシアンナイトは初の道悪競馬で厳しい競馬になりながらも③着を確保して意地は見せた。
アルアインはデビュー3戦目で初黒星(⑥着)となったが、直線で
致命的な不利を受けた今回は参考外でいいだろう。