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アメリカズカップはヨットレースの前に名を馳せられるか!?
文/浅田知広、写真/森鷹史


先週、ふと気になって調べたのが皐月賞に出走した年明け重賞2勝以上馬」の数。86年以降では、シンザン記念アーリントンC、そしてスプリングSで計3勝のタニノギムレットを筆頭に、以下2勝を挙げた馬は15頭を数えた。しかし、08年マイネルチャールズ(京成杯弥生賞)がその最後。中でも2月の重賞勝ち馬となると、06年アドマイヤムーン(共同通信杯弥生賞)や、03年ネオユニヴァース(きさらぎ賞スプリングS)で「最近の例」だった。

15年のリアルスティール(共同通信杯①着→スプリングS②着)のように「出たけど負けた」という例は少なく、そのほとんどは皐月賞直行。昨年、共同通信杯のディーマジェスティと、きさらぎ賞のサトノダイヤモンドが揃って皐月賞に直行して①③着になったのがいい例で、両レースは優先出走権こそつかなくても、事実上の皐月賞トライアル」になっている。

そんなきさらぎ賞で、早くも(と書きたくなるが……)、皐月賞有力候補の座を確かなものとするか、大きな注目を集めたのがサトノアーサーだ。稍重の新馬戦はじりじりとした伸びで①着同着の辛勝だったが、良馬場で行われた前走・シクラメン賞は②着に3馬身半差をつけて余裕十分の差し切り勝ち。スローとはいえ上がり3ハロンは32秒7と、初戦のもたつきはなんだったのか、という脚を繰り出した。

これに対するのはダンビュライト(サウジアラビアRC②着)やプラチナヴォイス(萩S①着)、タガノアシュラ(黄菊賞①着)といった面々。しかし、いずれも前走で人気を下回る掲示板外敗退を喫しており、結果、重賞未経験でも2戦2勝サトノアーサーが単勝1.4倍と断然人気の支持を集め、ほぼ「その勝ちっぷりに注目」という下馬評となった。

ところが。この時期の京都にありがちな雪で順延……というパターンではなく、雨が降って馬場は重。単勝オッズに大きな影響を及ぼすことはなかったが、なにせ稍重の新馬戦と、良馬場の前走との印象差が大きいだけに、今回も確勝とは言い難いんじゃないか、という雰囲気も漂いつつのスタートとなった。

さらに、そのスタート直後に大外スズカメジャーが外に逃避して落馬・競走中止という波乱。天候こそレース時は曇りに回復していたものの、レース自体はさらに雲行きが怪しくなった感が満載だ。そんな中、後方で口を割りながら掛かり気味に追走するサトノアーサー。3角手前では落ち着いたものの、4コーナーでは逆に手応えが怪しくなった。

そんなサトノアーサーのやや前から、直線入口で先頭に並びかけたのは6番人気・単勝16.7倍のアメリカズカップだった。新馬・野路菊Sと連勝したものの、前走の朝日杯FSは⑨着敗退。とはいえ、前記ダンビュライト(同⑬着)やタガノアシュラ(同⑭着)には先着しており、ちょっと人気がなさ過ぎた感もある。多頭数だった朝日杯FSとは違い、同じ外枠でも今回は8頭立て。道中のロスも少なく、無難に直線までは持ってくるレース運びだった。

ただ、サトノアーサーもその直後2馬身ほど。前走の脚を考えれば、アメリカズカップは完全に射程圏内のはずなのだが、やはり重馬場が響いたということだろうか。アメリカズカップとの差はまったく詰まらず、最後になんとかダンビュライトを交わして②着を確保するまでが精一杯。皐月賞へ向けて賞金こそ加算したが、「有力候補の座を確かなもの」にはできなかった。

一方、そんな②着争いを尻目に押し切ったアメリカズカップはこれで4戦3勝。この成績を見れば「有力候補に浮上」だが。過小評価気味の6番人気、昨年のサトノダイヤモンドというよりは、同じく4戦3勝・6番人気の13年優勝馬タマモベストプレイ。同馬は直行ではなくスプリングS②着を挟んで、皐月賞は8番人気⑤着だった。

ただ、2月の重賞で6番人気①着といえば、つい最近にもう1頭。昨年の共同通信杯を制したディーマジェスティだ。こちらは4戦2勝、未勝利戦共同通信杯(稍重)の連勝で、直行した皐月賞は8番人気ながら見事に優勝。もちろん、こちらのパターンも十分にあり得る。

近年の皐月賞は、以前のような荒れ馬場のパワー勝負にはならなくなってきたが、広いコースの切れ味勝負より適性はあるだろう。マンハッタンカフェの産駒は10年ヒルノダムールの②着があり、その皐月賞は稍重馬場。半姉にダートで関東オークス(川崎)②着などのオメガインベガスもいる血統でもあり、今回のような渋った馬場になれぱ、よりチャンスが広がりそうだ。

ちなみに、馬名の由来となったヨットレースのアメリカズカップは今年が開催年。久々に日本チームの参戦も予定されているだけに報道も増えそうだが、その前に、こちらのアメリカズカップが名を馳せることになるだろうか。