3連勝できっちりと賞金を加算していざ本番へ
文/浅田知広、写真/川井博
先週の
きさらぎ賞では、
共同通信杯ともども事実上
「皐月賞トライアル」になっている、というようなことを書いた。
クイーンCは、その
皐月賞の1週前・
桜花賞へ向けたステップレースだけに、当然ながらその色合いは濃くなるはず、だが。
実は
クイーンC出走馬が
桜花賞を勝ったのは、86年の
牝馬三冠馬メジロラモーヌが最後で、このレースは
「謎の敗戦」のようにも言われる④着。そして間に
4歳牝馬特別(現フィリーズレビュー)を挟んでいた。勝ち馬では76年テイタニヤ、さすがにちょっと古すぎる。
ともあれ、
桜花賞へ直行できるならそれに越したことはない中7週。すでに重賞実績などを持つ
お金持ちならいいものの、そうではない馬にとっては、優先出走権ナシで②着以内が、すんなり本番に駒を進められる絶対条件だ。
そんな中、
フローレスマジック(
アルテミスS②着)や
レーヌミノル(
小倉2歳S①着など)、
アエロリット(
フェアリーS②着)といった
お金持ちを差し置いて、1番人気に推されたのは500万勝ちの
アドマイヤミヤビだった。3代母が
ウインドインハーヘア、つまり
ディープインパクトの姪の子にあたる馬。前走・
百日草特別では、後に
京都2歳Sを制するカデナの追撃を抑えており、もちろん1番人気に推されてしかるべき馬ではある。
ただ、ここで連対を外そうものなら、
桜花賞へ向けて苦しくなる。トライアルの③着以内ではなく、ここでの②着以内。それだけ自信を持って送り出されている……などと予想をするならそんな話もできるが、実際のところは
阪神JFの①②着馬が出走予定の
チューリップ賞よりはこちら、という面もあり。
さて、どんな結果が待っているのか、と思えばスタート直前にゲート故障、なんだそれは。待たされたことで影響を受けた馬もいそうだが、なんとか少しばかりの発走遅延でスタート、
レーヌミノルがじんわりハナを切っていった。
他の注目どころでは、3角手前から
アエロリットが少々掛かり気味に前へと進出。その後ろに
フローレスマジック、やや外に
アドマイヤミヤビ。そして1戦1勝ながらも4番人気に推された
ハナレイムーンが続くという展開になった。
そして直線。逃げた
レーヌミノルも手応え抜群だったが、距離には少々不安を残すだけに後続にもチャンスは十分。早めに動く形になってしまった
アエロリットも、スパッと切れる感には欠けるだけに、ここはそのまま前を捕らえに出る一手だろう。
その直後から
フローレスマジック、外からは
アドマイヤミヤビ。
お金持ちの3頭+1番人気の
アドマイヤミヤビという残り300mあたりの態勢から、ゴールまで力強く末脚を伸ばしたのは
アドマイヤミヤビだった。勝負に絡んだ馬のうち、ここで賞金を加算しないとまずい馬がしっかり勝ち切るという、ある意味
「絵に描いた」ような結果だったと言えるだろうか。
新馬戦こそクライムメジャー(
サウジアラビアRC③着)に敗れた
アドマイヤミヤビだったが、これで、
桜花賞と同じ阪神1600mの
未勝利戦、前述の
百日草特別に続く
3連勝で、3戦すべて中団から上がり33秒台だ。
ただ中身は少々異なり、
未勝利戦は稍重で、2000mの
百日草特別はレースの上がり2ハロンが11秒0-11秒1という中での差し切り勝ち。そして距離短縮の今回は、勝ち時計が1分33秒2と、マイル戦でしっかり流れた上での快勝である。未勝利勝ちの一戦では、やや内にもたれ加減だったり、エンジンのかかりに時間を要した感もあるものの、なにせ当時は2戦目。特に右回り云々というほどの
不安はなさそうだ。
3歳牝馬路線は昨年末から、
阪神JFの覇者ソウルスターリングの
1強ムードが漂っていたが、
アドマイヤミヤビが無傷でこそないものの同じく
3連勝、これで対抗格に踊り出た。並んでリスグラシュー(
阪神JF②着)、そして
朝日杯FS④着をどう捕らえるか難しいミスエルテあたりという構図だろうか。
このうち、ソウルスターリングとミスエルテは、暮れにもかなり話題になった
フランケル産駒。一方、
アドマイヤミヤビとリスグラシューは、ともに
ハーツクライの産駒だ。さて、
フランケル対
ハーツクライとなるのかどうか。どうやらミスエルテは
桜花賞直行のようだが、まずはソウルスターリングとリスグラシュー、
阪神JFの再戦となりそうな
チューリップ賞を楽しみに待ちたい。