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長距離重賞3勝は、力がなければできない
文/編集部(T)、写真/川井博


競馬ファンの中でも特に「長距離戦が大好き」という方は一定数存在している。「短距離戦が好き」という方も多いのだろうが、長距離戦は数が少なく、失礼ながらいささかマニアックな印象も受けるので、その存在が印象深くなるのかもしれない。

自分の知人にもいるのだが、そんな彼を例にとると、競馬を見ながら「この馬は今年の菊花賞で狙う」「来年の天皇賞・春はこの馬」といった感じで、“未来のトップステイヤー”を探すことが至上命題になっている。彼曰く、京成杯を勝ったコマノインパルスは母母父がリアルシャダイだから菊花賞馬候補」シンザン記念を勝ったキョウヘイは母父ダンスインザダークで、菊花賞で穴を開けてもおかしくない」そうだが……。

その知人も天皇賞・春制覇を願ってやまないのが、一昨年、昨年とムーア騎手を背にステイヤーズSを連覇し、血統的にも母父にダンスインザダークを持つアルバート3000mを超える重賞は①⑥①着で、馬券圏外は出遅れた昨年の天皇賞・春のみ。重賞でも芝2500mだと[0.1.0.3]だから、筋金入りのステイヤーだ。今回はハンデ58kgを課されたが、長距離重賞3勝目を狙ってダイヤモンドSに参戦してきた。

スタート直後、ハナを窺う馬が複数いて「おっ、これはペースが流れるか?」と思いきや、1コーナーを迎えるところではキングルアウが先頭、2番手がラブラドライトという隊列がカッチリと決まり、ペースが落ち着いてしまった前半1000m通過は64秒3で、これは過去10年でもっとも遅い。

ペースが落ち着いて「しまった」というのは、1番人気アルバートからの目線だ。例によってスタートから後方に控える形となり、4角でも後方。これはさすがにちょっと厳しいかと思いきや、大外に持ち出されると、上がり33秒4という末脚を繰り出して差し切ってしまった。

②着ラブラドライトも早め先頭からよく粘ったが、こちらはハンデ51kg。7kgの差があって交わされてしまったのだから、今回は完敗といわざるを得ないだろう。スタミナだけでなく瞬発力が問われる展開となり、長距離重賞の醍醐味が詰まったレースで勝ち切ったアルバートの強さが際立つ内容だった。

アルバートはこの勝利で、長距離重賞3勝目となった。90年以降に芝3000m以上の重賞を3勝以上した馬を振り返ると、以下の通りとなる。

馬名 おもな勝ち鞍
メジロマックイーン 天皇賞・春連覇、菊花賞
ゴールドシップ 菊花賞、天皇賞・春
ライスシャワー 菊花賞、天皇賞・春2勝
メジロブライト 天皇賞・春
マヤノトップガン 菊花賞、天皇賞・春
ナリタブライアン 菊花賞
ナリタトップロード 菊花賞
テイエムオペラオー 天皇賞・春連覇
ディープインパクト 菊花賞、天皇賞・春
デルタブルース 菊花賞、メルボルンC
トウカイトリック ステイヤーズSなど
アルバート ステイヤーズS2勝など

“超個性派”トウカイトリックアルバートを除くと、すべてG1を勝っている。長距離重賞をこれだけ勝つのは、力があってこそということなのかもしれない。そう考えると、アルバートにとって足りないのは、G1の勲章ただひとつか。

それだけに、今後は昨年獲り逃がした天皇賞・春が目標となるのだろう。前述したように昨年は出遅れもあって⑥着に敗れたが、最後の脚は見るべきものがあった。昨年の覇者キタサンブラックが参戦を予定しているとのことだが、今回見せた脚ならスタート次第で番狂わせがあっても不思議ないのではないか

また、上の表にも名を連ねているデルタブルースのように、秋はメルボルンC(芝3200m)を目標とする手もありそうだ。アルバートを管理する堀厩舎は海外経験も豊富で、その点でも面白い。海外馬券はインターネット限定なので、記念馬券を残せないことを悔しがる冒頭の知人の姿が目に浮かぶようだ(笑)。

天皇賞・春の距離短縮論が叫ばれるなど、今はステイヤーが活躍する場が狭まっている、いわば受難の時代。そんな中で、「長距離戦も面白いじゃないか」と思わせるような活躍をアルバートには期待したい。

ちなみに、アルバートインティライミ、スマートギアなどの近親で、母系にノーザンテーストを内包する。昨年のダイヤモンドSレースインプレッションでも触れられていたように、ノーザンテースト内包馬が好走しやすいという傾向は継続されたので、来年以降も要注目かもしれませんね。