1年10ヵ月ぶりの勝利は春の大一番に向けても期待を抱かせるものに!?
文/編集部(W)、写真/森鷹史
近年の
桜花賞馬を振り返ってみると、07年ダイワスカーレット、09年ブエナビスタ、12年ジェンティルドンナはその後、牡馬相手にG1を制するなど、
日本のトップホースとして君臨していた。
『ダービースタリオン マスターズ』でも、この3頭はとんでもなく強い(笑)。
その一方、
桜花賞以降は勝ち星を挙げられなかったり、長く勝利から遠ざかってしまう馬も珍しくない。長く勝利から遠ざかってしまった馬と言えば、04年ダンスインザムード(
06年ヴィクトリアマイルで2年1ヵ月ぶりの勝利)、06年キストゥヘヴン(
08年京成杯AHで2年5ヵ月ぶりの勝利)、08年レジネッタ(
10年福島牝馬Sで2年ぶりの勝利)、11年マルセリーナ(
13年マーメイドSで2年2ヵ月ぶりの勝利)あたり。
レッツゴードンキはこの4頭よりも少し短い
1年10ヵ月ぶりの勝利となったわけだが、折り合いが難しく、G1馬という実績もあることから、その間の調教やレース選択について、どれだけ
陣営の苦労があったのだろうか。
19戦中14戦で手綱を取っている主戦の
岩田騎手がレース後のインタビューで、
[この馬にとって久しぶりの勝利だったので、うれしく思います]と話していたが、このコメントに陣営の思いが表れている気がする。
レース内容はというと、中団から外を回っての差し切りで②着
ワンスインナムーンに1馬身3/4差を付けた。スタート直後に隣の馬と接触し、その数秒後に密集した馬群でゴチャつく場面もあったせいか、道中でややエキサイト気味になったが、
岩田騎手がなんとかなだめ、あとは伸びる馬場の外目へ。
上がりは最後方追走から④着まで追い上げた
エスティタートの33秒7に次ぐメンバー中2位の34秒0だったが、数字以上に伸びを感じさせる脚勢で突き抜けた。意外にも1番人気に推されたのは
アルテミスS以来でキャリア2回目だったが、このレースだけ見れば、G1馬が1番人気に応えての貫録勝ち。これがまだ3勝目というのが驚きだが、2017年、
幸先の良いスタートを切れたことは間違いない。
そんな
レッツゴードンキには気になるデータも。この後は
ヴィクトリアマイルを目標に調整されていくようだが、
京都牝馬S出走馬は同年の
ヴィクトリアマイルで
[1.3.3.37]となっていて、勝ち馬は07年コイウタしかいない。
京都芝外1400mにコース変更された昨年も①②③着のクイーンズリング、マジックタイム、ウインプリメーラを含めた5頭が参戦したが、マジックタイムが最先着の⑥着で、以下⑦⑧⑪⑬着と揃って掲示板外に敗れた。クイーンズリングは同年秋に
エリザベス女王杯を制しているので、
G1級でも難関なのだろう。
ただ、
レッツゴードンキの成績を3つに分けると、
新馬戦~
桜花賞までの
①③②②③①着が
第一次黄金期、
オークス~昨年の
ヴィクトリアマイルまでの
⑩④⑰⑥⑥⑧⑩着が
低迷期、
函館スプリントS以降の
③③⑨②②①着が
第二次黄金期と言えそうで、いまは再び
輝きを取り戻している。
今回の
京都牝馬Sは過去最多体重の502kgで、2月8日(水)には栗東の坂路4Fで自己ベスト(50秒0)を計時。昨秋には初ダートだった
JBCレディスクラシックでも②着と好走していて、
パワーアップしているのだろう。それを裏付けるように、
岩田騎手も
「馬が充実してきています」とコメントしている。いまの
レッツゴードンキなら…そんな
期待を抱かせる勝利となったのではないだろうか。
一方、G1連対馬の
アルビアーノは休み明け(3ヵ月半ぶり)で12kg増(530kg)だったせいか3番人気にとどまり、
キャリアワーストの⑰着と大きく崩れてしまった。鉄砲実績のない馬とはいえ、今回は
フラワーC(①着)以来の
牝馬限定戦でもあったから、ちょっと気になる大敗ではあるが、前出のコイウタが
京都牝馬Sで2番人気⑨着だったことを考えると、あまり神経質になることもないのか。
初の重賞挑戦で②着と好走した
ワンスインナムーン、直線一気で④着まで追い上げた
エスティタート(フラガラッハの妹)といった4歳馬の健闘も光った
京都牝馬Sだったが、いずれにしても、今年の出走馬が
ヴィクトリアマイルでどんな成績を残すのかは要注目と言える。