ラブリーデイのような飛躍の5歳となるか!?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
ご存知の通り、
金鯱賞は昨年12月にも行われていて、
ヤマカツエースは
3ヵ月間でのこのレース
連覇となった。前回も今回も中京芝2000mでのG2戦だが、その中身は
今回の方が濃かったと言えるだろう。
昨年12月に行われた時は
マイネルラクリマが逃げたもののスローペースとなり、1000m通過が
61秒5、レースの上がり3Fが
34秒0という瞬発力比べのレースになった。
一方、今回の
金鯱賞は外枠の
ロードヴァンドールが逃げて1000m通過が
60秒4となり、レースの上がり3Fは
35秒1。速いとまでは言えないが、上がりだけの勝負にはならず、瞬発力に加えてある程度のスタミナも問われる形になった。
ヤマカツエースは昨年12月時が
叩き2戦目(中4週)で、今回は
有馬記念以来、
2ヶ月半ぶりだった。斤量も、昨年12月時は多くの他の牡馬と同じ
56kgだったが、今回は1頭だけ重い
57kg。
これまでに休み明けでは連対したことがなく、斤量57kg以上での③着以内もなかった
ヤマカツエースがこうして快勝したわけだから、これはもう
あっぱれと言うほかないだろう。
この上昇ぶりを見て思い出すのは、2歳上の同じ
キングカメハメハ産駒・
ラブリーデイだ。
ラブリーデイは5歳初戦の
中山金杯をレコードで制して、同年の
宝塚記念を勝ち、秋には
天皇賞・秋も優勝した。5歳時は10戦6勝(敗れた4戦は2400m以上)という快進撃を見せた。
ヤマカツエースが
中山金杯を勝ったのは4歳時の昨年で、その後は秋までの
G1&
G2で馬券圏内に入るところまでいかなかったが、12月に
金鯱賞を勝ち、
有馬記念では0秒3差④着まで追い込んだ。
今回は自身2度目の
1番人気に推され、その単勝オッズは3.6倍だったから、
半信半疑の人もやや多かったのかもしれない。ただ、今回のレースぶりを見て疑いの目を向けていた人も、同馬が
一皮むけたことを認めたのではないだろうか。
ヤマカツエースはこれで
芝2000mの重賞で[4.0.1.4]という成績になった。当然のことながら、G1に昇格した
大阪杯で注目を集めるだろうが、
G1を制するには
階段をもう一段登る必要があるとも言えそうだ。芝2000m重賞での9戦について、勝利した4レースと敗れた5レースには、
前半1000mの通過タイムで違いがある。
●ヤマカツエースの芝2000m重賞での成績
レース(馬場状態) |
1000m通過 |
着順 |
15年函館記念(良) |
58秒6 |
③ |
15年札幌記念(良) |
58秒9 |
4 |
16年鳴尾記念(良) |
59秒0 |
6 |
16年札幌記念(稍重) |
59秒9 |
5 |
15年福島記念(重) |
60秒3 |
① |
17年金鯱賞(良) |
60秒4 |
① |
16年天皇賞・秋(良) |
60秒8 |
15 |
16年金鯱賞(良) |
61秒5 |
① |
16年中山金杯(良) |
62秒3 |
① |
1000m通過タイムの速い順に並べると上記の通りで、
60秒以上かかった時が5戦4勝であるのに対して、
60秒を切ると③~⑥着でワンパンチが利かないケースが多くなっている。
連覇した
金鯱賞を比べると、昨年12月時よりも今回の方がラップが上がっているものの、それでも1000m通過は
60秒台(60秒4)だった。
昨年の
大阪杯は11頭立てで、
キタサンブラックが逃げて1000m通過は
61秒1というスローペースだったが、
G1となる今年は頭数も揃うだろうから、締まった流れが予想される。
ヤマカツエースはその中でも最後の直線で伸びて来られれば、5歳時の
ラブリーデイのような
飛躍の年を迎えることになるのではないだろうか。
蛇足かもしれないが、
阪神芝2000~2200mの重賞における
キングカメハメハ産駒については、
1~7枠だと[1.2.1.26]で、
8枠だと[4.0.1.5]というデータがある。8枠ではなく優勝したのは9頭立てだった2011年
朝日CCでの
ミッキードリーム(4枠4番)で、多頭数で制した馬はなぜか
8枠ばかりとなっている。
ヤマカツエースはこれまでに
8枠で[2.1.0.2]という悪くない成績を残しているが、果たしてどのような枠順となるだろうか?