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春天1番人気制覇なら父の最良後継馬の地位確立!?
文/出川塁、写真/稲葉訓也


3連単740円。この数字が2017年の阪神大賞典を物語っているのではないだろうか。

昨年暮れの有馬記念でキタサンブラックを撃破し、古馬となった今年は堂々の主役を張るだろうサトノダイヤモンドに、前年の覇者シュヴァルグランがどこまで食い下がれるか。③着に入れそうな伏兵も数頭に限られる。そんな構図そのままの決着が実現して、JRAの平地重賞における3連単最低配当が記録されたのだった。

最終的に単勝1.1倍に落ち着いたサトノダイヤモンドは8枠9番からのスタート。1周目の直線に入るあたりまではすこし行きたがるところを見せるが、夏を越してパワーアップを果たした神戸新聞杯以降はこれがノーマルな姿だ。行きたがっているといってもクリストフ・ルメール騎手がコントロールできないほどではなく、レース前半のゆったりとしたペースでは物足りなく感じているだけ。それほどまでに力をつけている。

もっとも、このレースは決して緩いペースではなかった。阪神大賞典史上でもっとも厳しい流れになったといっても過言ないぐらいだ。1ハロンごとのラップタイムで13秒台に落ちた区間は1箇所もなく、中盤1000mのタイムは60秒4と長距離戦でよく見られる中だるみもまったくなかった。

この60秒4という中盤1000mのタイムは、2000年以降の阪神大賞典で最速。これに次ぐ2013年でも62秒1で、普通は63~64秒台まで落ちる。そんな締まった流れになってもレースの上がり3ハロンは35秒8、急坂を上る最後の1ハロンも12秒3と、ゴール板までしっかり走っている。やたらと速い時計が出るような馬場状態だったわけでもない。それを上がり1位の脚を使ってシュヴァルグランを1馬身半突き放したグランプリホースの古馬初戦は、まったく文句のつけようがないものだった。

これで3000mの菊花賞、2500mの有馬記念、3000mの阪神大賞典と長距離戦を3連勝となったが、戦績が示すようなステイヤーというわけではないだろう。むしろ、この馬の本質はスピードにあり、ベストの距離は2000m前後ではないかとは考えている。別の媒体になるが、昨年のきさらぎ賞を勝ったあとに「基礎スピードが非常に高い馬」と書いたことがある。普通に走っても他馬より速く走れてしまい、折り合いもつくのでスタミナのロスが少なく、その結果として長距離をこなしているようなイメージを持っている。

今年の最大目標が凱旋門賞となることはすでに明言されている。そのため春は長距離戦を使ってスタミナの強化に務めるようだが、実際のところ現在のヨーロッパでもっともレベルが高いのは10ハロン路線である。最終的には凱旋門賞に向かうにしても、その前走に10ハロンの愛チャンピオンSという選択肢はないのだろうか。

渡仏後の初戦に予定されるフォワ賞は例年少頭数でペースも緩く、多頭数の厳しいレースになる凱旋門賞には直結しない。ここで個人的な希望を書いても仕方ないのだが、10ハロンの一流馬が揃う愛チャンピオンSから凱旋門賞へ、というローテーションをついつい妄想してしまう。サトノダイヤモンド欧州の10ハロンと12ハロンの統一王者を目指せる馬だと、心の底から思っているのである。

とはいえ、まずは天皇賞・春だ。おそらくは1番人気に推されることになるだろうが、有馬記念で破ったキタサンブラックも淀の長丁場では負けられないと思っているはずだし、同世代のディーマジェスティも日経賞で復帰をを予定している。もちろん、シュヴァルグランをはじめとしたこの距離でこそのステイヤー勢力も一発を狙ってくるだろう。

加えて、ここ5年で1枠が3勝という内枠有利の傾向があるうえに、1番人気が10連敗中という本命馬には鬼門の一戦でもある。要するに、天皇賞・春はかなりの難レース。サトノダイヤモンドがこれらをすべて跳ね返して、ディープインパクト以来となる1番人気の勝利を飾ることができれば、その父の最良後継馬という地位を完全に固めることになるのだろう。