ニュージーランドT攻略のための3つの要素
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也
訂正というわけではないが、
「メインレースの考え方」(ニュージーランドT)の内容で、掲載後に見直して
「もう少し絞った内容で良かったか」と感じたことがあった。
原稿の最後に
「04年以降は12回連続で、芝重賞で⑥着以内に入ったことがあり、ひと桁馬番だった馬が馬券に絡んでいて、今年はジョーストリクトリ、ダイイチターミナル、メイソンジュニアが該当する。」と記した。結果的に、①着
ジョーストリクトリ・②着
メイソンジュニアというワンツーになったが、よくよく調べてみると
「芝重賞で⑥着以内」との箇所を
「芝1600m以上の重賞で⑥着以内」と書き替えられることに気づいたのだ。
「芝重賞で⑥着以内があるひと桁馬番の馬」は該当馬が
3頭だったが、
「芝1600m以上の重賞で⑥着以内があるひと桁馬番の馬」というのは、実は
ジョーストリクトリだけだった。このデータも活かして
ジョーストリクトリは穴ぐさ💨(【B】)にしたわけですが、
距離と
枠を重視すれば、
有力馬をもっと絞り込むことができたなあと反省したのです。
今回の
ジョーストリクトリの勝利によって、中山での
ニュージーランドTでは、
「芝1600m以上の重賞で⑥着以内があるひと桁馬番の馬」が04年以降の
13回連続で馬券に絡むことになった。このデータは来年以降も使えそうだ。覚えておこう。
「芝1600m以上の重賞で⑥着以内があるひと桁馬番の馬」という条件には、
3つの要素が入っている。ひとつは
距離経験、ひとつは
重賞実績、ひとつは
枠順だ。これは中山での
ニュージーランドTの特徴を端的に表していると思う。
中山は直線に急坂があり、その距離が初めてだったり、距離延長の臨戦過程の馬には
厳しい面がある。00年以降に中山で行われた
ニュージーランドT(17回)では、前走から距離延長で優勝した馬が4頭で、そのうち3頭は1600m戦に出走歴があった。1600m以上を経験せずに勝った馬は、03年の
エイシンツルギザンしかいない。
03年の
エイシンツルギザンは
2枠4番という内枠で、鞍上の
横山典騎手が馬群の中で脚を溜め、直線で内目から伸びて差し切った。同馬は7番人気で、00年以降に中山で行われた
ニュージーランドT(17回)では、3番人気以下で優勝した馬が7頭いるが、いずれも
ひと桁馬番だ。
ふた桁馬番で制した4頭は、1~2番人気の支持を集めていた。
中山芝1600mでひと桁馬番が有利なのは、馬場が改修された後でもさほど変わらない。特に
2~3歳の若い馬は、中山の馬場で外を回って差し切るほどの体力が付ききっていないタイプも多い(牝馬だと、逆に内で揉まれて好走できないケースもあるが)。
サラブレ編集部のツイッター(@sarabure_eb)では、5日(水)にこんなツイートもした。
【気になるデータ】過去10年の #ニュージーランドT では、前走が重賞ではなかった馬が[2.7.2.57]。この68頭は、 ひと桁馬番[2.6.2.32] ふた桁馬番[0.1.0.25]
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ニュージーランドTの勝ち馬は前走が重賞だったタイプが多く、前走が重賞ではなく馬券に絡んだ馬も出ているものの、そのほとんどが
ひと桁馬番だった(過去10年)。
重賞の厳しいペースを経験せず、
ふた桁馬番に入って馬群の外を回らされると、上位に来られないのがこのレースということ。これが
クラス実績と
枠順がリンクした内容だった。
こうしてみると、
ひと桁馬番の中から
穴馬を探し出すのはさほど難しいことではないと分かる。ただ、その上で
馬券を的中させるには、
もうひとつふたつの階段があったりするから困ったものだ(苦笑)。
今年の
ニュージーランドTには、重賞ですでに好走歴のある馬が複数いた。
ファルコンSで②着となった
ボンセルヴィーソや
シンザン記念②着の
タイセイスターリー、1番人気に推された
クライムメジャーも2戦目の
サウジアラビアRCで③着となっていた。
重賞での経験や実績を考えれば、この中から軸馬を選ぶのが普通だったと思うが、あろうことか上記の3頭はすべて
ふた桁馬番で、前走で
クロッカスSを勝っていた
タイムトリップも外枠(
8枠15番)、3戦2勝の
スズカメジャーも
6枠12番という枠順だった。上位人気馬の多くが
ふた桁馬番に入り、予想の難易度が上がってしまった……。
これまでの実績を考えれば、それでも
ふた桁馬番に入った馬の中から好走馬が出るだろうと踏んだが、想定以上に馬場が悪くなり、ペースも緩んだことで外を回った馬は差せなくなってしまった。大外枠でも先行して最後まで粘りを見せた
ボンセルヴィーソは、
松山騎手の好判断が光ったと言えるだろう。
優勝した
ジョーストリクトリは、状態も上がっていたようだが、
道悪馬場に加えて
シュタルケ騎手の好騎乗も勝因のひとつだろう。正直なところ、これまでの重賞での3戦(⑥⑤⑥着)のレース映像を見直した時には
“ワンパンチが足りない”と思わせられたが、その3戦はすべて
直線距離が長いコースで、上がり3Fタイムが一定であることが逆に
中山コースで活きるかもしれないとの思いがよぎった。
後押しとなったのは、もちろん馬場と鞍上(
シュタルケ騎手)で、このコーナーでも過去に記したことがあるが、
外国人ジョッキーは道悪馬場でも荒れた内を平気で突いてもってくるケースをよく見る。そこに賭けてみたい、ということで狙いを立てた。
ジョーストリクトリの父
ジョーカプチーノは、ご存知の通り、09年の
NHKマイルCを制した馬だが、古馬になってからは
短距離で活躍した。
ジョーストリクトリの母
ジョーアラマートが馬券に絡んだのは芝1200mで、祖母
タイキフレグランスも短距離型だったから、
ジョーストリクトリもスピード面を強化されると面白い存在になってくるのではないか。
5代血統表内には
ニジンスキー、
サドラーズウェルズ、
ダンシングブレーヴという血脈を持っていて、スピードに加えて最後の
持続力も問われるような流れになると、強さを発揮しそうに感じられる。