馬名の通り“とても良い”未来が待っている!?
文/編集部(T)、写真/稲葉訓也
今年は
大阪杯、
ホープフルSがG1に昇格するなど、競馬番組に大きな改革が行われた。パート1国になった日本はレースの格付けを独自で行うことができないが、それでもポンポンとG1昇格ができた理由は、近年の
大阪杯や
ホープフルSの
レースレーティングが、G1に昇格して問題ないだけ高い数値があったからだという。
そこで、
アンタレスSと同じ古馬重賞ということで
大阪杯のレースレーティング(①~④着馬のレーティングの平均値)を調べてみると、近5年は以下のようになる(カッコ内は勝ち馬)。
2016年…115.50(
アンビシャス)
2015年…113.50(
ラキシス)
2014年…114.50(
キズナ)
2013年…116.25(
オルフェーヴル)
2012年…113.50(
ショウナンマイティ)
このレーティング、
勝った馬が必ず高くなるわけではなく、たとえば昨年の
大阪杯は勝った
アンビシャス(116)より、すでにG1を勝っていた②着の
キタサンブラック(119)の方が高い。レースレーティングとは、
強い=レーティングが高い馬がどれだけ集まるかを示した指標、と考えることができそうだ(ちなみに今年は117.50でした)。
“G1は強い馬が集まるべきレース”と考えれば、この考え方には納得がいく。いずれにしても、古馬重賞ならこれくらいの数値があればG1に昇格しても問題ないということなのだろう。
さて
アンタレスSだが、2012年から開催が1週早まり、それまでの京都から阪神開催に替わって
レースの重要度を上げた。
ダート1800mという距離設定のため、
帝王賞を見据えるレースかと思いきや、さにあらず。13年の勝ち馬
ホッコータルマエは次走が中2週でダート1600mの
かしわ記念を制しており、
1週早まったことで選択肢が広くなり、さらに有力馬を集めることになったという側面がありそうだ。
そういった目で今年のメンバーを眺めてみると、G1勝ち馬の名前こそないものの、
重賞勝ち馬は8頭を集め、なかなかの好メンバー。そんな中、レースを制したのは重賞未勝利の
モルトベーネだった。
その
モルトベーネ、3走前の
東海Sで②着に好走していたが、
左回りで連対したのはこれが初めて。その後は右回りを使われて①④着で、昨年6月に準OP勝ちを飾った阪神ダート1800mに戻って重賞初制覇となった。
レース後、鞍上の
M.デムーロ騎手は
「Molto Bene(イタリア語で「とても良い」)ですね」と、粋なコメントを残したそうだ。今になって考えてみると、それまで結果を残せていなかった左回りで好走したのは、
それだけ力をつけていたということなのだろう。
そして、このレースを勝ったことで
モルトベーネ自身の未来も
“Molto Bene”になる可能性が高まったといえそう。
そこで
アンタレスSの
レースレーティングを調べてみると、以下のようになる。
2016年…107.75(
アウォーディー)
2015年…108.75(
クリノスターオー)
2014年…107.25(
ナムラビクター)
2013年…108.25(
ホッコータルマエ)
2012年…104.50(
ゴルトブリッツ)
さすがに
大阪杯には及ばないが、
近4年は同年のG2東海Sより高く、安定して高いレベルを保っているといえそう。勝ち馬の
ゴルトブリッツ、ホッコータルマエ、アウォーディーと、後にG1(Jpn1)を制した馬が3頭も出ていればそうなるのも必然だろうか。
今年のレーティングはまだ出ていない(木曜に発表されます)が、②着
ロンドンタウン、③着
ロワジャルダンが重賞勝ち馬ということで、例年のレベルから大きく下がることはないのでは。となると、前述したG1(Jpn1)勝ち馬に続く可能性は十分にあるのではないか。
アンタレスSを勝つのは、それだけ価値があるということなのだ。
一方、
東海Sで
モルトベーネを下した
グレンツェントは、中団から伸び切れず⑨着で1番人気に応えられなかった。それでも0秒6差で着順ほどは負けていないし、敗因も
斤量が55→58kgとなったことや、
休み明けに求めることはできそう。
走破時計を見ると、
モルトベーネ(
1分49秒9)から⑭着の
ナムラアラシ(1分50秒7)までわずか0秒8差。
それだけ力が拮抗していたということなのだろう。上位馬はもちろん、敗れた馬にも今後注意が必要になりそうだ。
ちなみに
アンタレスSのレースレーティングだが、前述したようにG2の
東海Sより高い状態が続いている。中央でのダートG2は
東海Sだけで、G1よりも少ないという現象が起こっているが、JRAは芝だけでなく、
ダート路線の格付けもそろそろ見直していいのではないかと思うが…どうだろうか?