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史上最強の青葉賞馬がついに新しい歴史を切り開く!?
文/出川塁、写真/森鷹史


断言していい。史上最強の青葉賞馬だ。その名はアドミラブル。シンボリクリスエス、ゼンノロブロイといった後の年度代表馬でさえ成し遂げられなかった青葉賞からのダービー制覇を、この馬が達成しても不思議には思わない。それほどの勝ちっぷりだった。

単勝1.5倍というオッズが示す通り、レース前から大きな期待が懸けられていた。スタートですこしフラついた影響もあって、向こう正面までは最後方の12番手をじっくりと追走。3コーナーに入ってから馬群の外を通って進出を開始し、4コーナーでは4番手にまで浮上した。

その脚色は直線を向いてもまったく衰えず、残り400mで一気に先頭へと躍り出る。ただ1頭、ベストアプローチが懸命に追いすがるが、ゴール前では再び突き放した。勝ちタイムはレースレコードとなる2分23秒6。3コーナー過ぎから長く脚を使いながら、最後の1ハロンを12秒0でまとめた点も価値が高い。

これほどの勝ち方をすれば、ダービーを勝てるのかという話になるのも当然のこと。手綱を取ったミルコ・デムーロ騎手皐月賞②着のペルシアンナイトではなく、レース後すぐにこの馬を選んだという事実をとっても、今年の3歳牡馬でトップクラスの実力を持っていることに疑いの余地はない。

3歳の春という未完成の時期に東京芝2400mを中3週で2走する条件は厳しく、青葉賞組ダービーを勝てない大きな理由となっている。これまでにダービーでも好走した青葉賞①着馬は、重賞に昇格した94年以降で7頭。内訳を記すと、94年のエアダブリン、02年のシンボリクリスエス、03年のゼンノロブロイ、04年のハイアーゲーム、06年のアドマイヤメイン、11年のウインバリアシオン、12年のフェノーメノとなる。これら7頭の共通項を探し、アドミラブルがすべてで上回ってはじめて、青葉賞組による史上初のダービー制覇が見えてくるのではないか。

まずは勝ちっぷりについて見ていこう。過去7頭は、青葉賞で②着馬に最低でも0秒1の差はつけていた。要するに、青葉賞で同タイムの辛勝しかできないようでは、ダービー云々という話にはならないということ。アドミラブルが②着のベストアプローチにつけたタイム差は0秒4だから、この点は難なくクリアした。

次に確認したいのが、4コーナーの通過順と上がり順位の関係について。過去7頭のうち、青葉賞で4角5番手以内だったのはエアダブリン、ゼンノロブロイ、アドマイヤメインで、奇しくも3頭とも上がり3位だった。前に行って上がり3位(以内)の脚を使うのは容易なことではないが、それができないようでは強い相手に揉まれてきた皐月賞組にあっさりと跳ね返されてしまうのである。

一方、4角6番手以降(厳密には8番手以降)だったシンボリクリスエス、ハイアーゲーム、ウインバリアシオン、フェノーメノの4頭は、すべて上がり1位を記録。着差がつきにくい超スローの展開になったウインバリアシオン以外の3頭は、②着馬に0秒4以上の差をつける圧勝を飾っている。差し馬の場合は、そのぐらいの圧倒的な末脚を持っていなければいけないということだ。

振り返ってアドミラブルがどうだったかといえば、4角4番手で回り、なおかつ上がり1位を記録。過去にダービーで好走したどの青葉賞馬をも凌駕する圧巻の末脚を披露したことになる。

最後に血統面を見ていこう。青葉賞は、基本的には皐月賞に間に合わなかった馬たちのためのレースである。つまり、この時期の成長力で皐月賞組を上回らなければダービーでの好走は望めない。その大事な成長力を引き出す原動力となるのが血統だ。過去7頭のうち、外国産馬のシンボリクリスエスを除く6頭の父を確認すると、サンデーサイレンスが3頭で、トニービンハーツクライステイゴールドが各1頭となっている。いずれも一流種牡馬ばかりで、父に由来する成長力がなければ皐月賞組にはなかなか通用しないのだろう。

アドミラブルの父は、当代のリーディングサイアーであるディープインパクトだからまったく問題なし。しかも、母の父は青葉賞からダービー好走を果たしたシンボリクリスエスだ。あの勝ちっぷりにして、この血統。この馬で勝てなければ、もう青葉賞組は金輪際ダービーを勝てないのではないか。お膳立ては、これ以上ないほどに整っている。

不安点を挙げるとすれば、ダービーで1番人気を背負う可能性があることだ。それどころか、むしろ濃厚かもしれない。過去にダービーでも好走した青葉賞①着馬は、いずれもダービーでは3番人気以下。本来は挑戦者なのに本命の立場を背負わされるのは、勝負としては決して望ましい状況ではない。

もっとも、その心配に対しては心強い味方をすでに得ている。恐れ知らずの強心臓を持つM・デムーロ騎手というのは、こうしたシチュエーションにあたって最高の相棒となってくれるだろう。ダービーまでのコンディション維持を含めて、史上最強の青葉賞馬が4週間の大冒険に今旅立った。