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少頭数でも淀みなく流れてお膳立てが揃った
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


ラジオNIKKEI賞を父サンデー系以外の馬が制したのは07年のロックドゥカンブが最後で、もう10年前になる。昨年と一昨年はともにディープインパクト産駒が制していて(昨年はゼーヴィント、一昨年はアンビシャス)、今年は同産駒のクリアザトラックが④着に敗れたものの、優勝したのはディープインパクトの孫にあたるセダブリランテスだった。

ディープインパクト系というくくりで見ると、ラジオNIKKEI賞では[5.0.0.8]という成績で、この13頭は、1~2番人気だと5戦5勝で、3番人気以下だと[0.0.0.8]となった。来年以降もこのデータは使えるのではないだろうか。

ラジオNIKKEI賞は3歳夏のハンデ重賞で、毎年、出走馬が異なるわけだが、前年の傾向がそのまま引き継がれることが多い印象がある。

ディープインパクト産駒(アンビシャス)→ディープインパクト産駒(ゼーヴィント)→ディープインパクト産駒(ディープブリランテ)の産駒(セダブリランテス)という近3年の優勝馬の系譜だけではなく、セダブリランテスの3代母(Pacific Princess)はゼーヴィントの4代母でもあるし(つまり同牝系)、セダブリランテスゼーヴィントはともに母父がブライアンズタイムでもある。

セダブリランテスの鞍上・石川騎手は今回が初めての重賞制覇となったが、これまでの重賞での最高着順(②着)のひとつが昨年のラジオNIKKEI賞(ダイワドレッサー)でもあった。今年のラジオNIKKEI賞は、昨年②着のジョッキーが昨年の勝ち馬と似た血統馬に乗って優勝した、ということだ。

セダブリランテスの印は「○」で、「◎」はサトノクロニクル(⑥着)にしてしまった。サトノクロニクルは牡馬にしては小柄なタイプで、トップハンデの57kgを背負っていた。一方のセダブリランテスは500kgを超える大型馬で、ハンデは54kg。普通なら前者の方が条件が厳しいと考えるところだが、小回りの福島コースであることも考慮して、印の順番を決めた。

過去10年のラジオNIKKEI賞の優勝馬を見ると、ほとんどが馬体重488kg以下で、490kg以上で制したのは2頭だけだった。2012年のファイナルフォーム(528kg)と2007年のロックドゥカンブ(492kg)だけで、いずれも開催6日目に行われていた頃の話だ。

開催後半の荒れ馬場なら大型馬がパワーで押し切ることも考えやすいが、開幕週だと決め手に勝るタイプの方が良さそうに映り、まして今回は12頭立てという少頭数で、ペースが上がらずに最後の瞬発力が活きる流れになるのではないかと読んでしまった。

もうひとつ、セダブリランテスを「○」にとどめた理由は、昨年の優勝馬(ゼーヴィント)と血統が非常に似ていて、「2年続けて同じようなことが起こるか?」と疑いの目を向けてしまったこともある。競馬を長くやっていると、どうしても素直になり切れないんですよね……。

結果的には、ウインガナドルがペースを落とさずに逃げたことで、流れの読みがハズレてしまった。1000m通過59秒5というのは昨年(59秒6)や一昨年(59秒5)とほとんど変わらず、1000m~1200mのラップが落ちなかった今年は、流れとしては一昨年と似た形になった。

後方から差し込んだのが③着のロードリベラルだけで、先行した2頭のワンツーとなったのは、緩いペースとなって前で楽をした先行馬が粘り込んだのではなく、先行馬が厳しいペースを作ることで後続馬に脚を使わせて最後まで頑張り続けたものだった。

セダブリランテスにとっては、少頭数での外枠という条件も良かったのだろう。大型馬だから、のびのびと走りやすい外目の枠の方が良かったのだろうし、それでいて12頭立てと少なかったので前に取り付きやすい面もあった。そして、少頭数でもペースが流れたことで、武器である持続力も活かせる形になった。様々な面で、初重賞制覇へのお膳立てが揃った感じだった。

ラジオNIKKEI賞は小回りの福島コースで行われるので、先行馬がよく勝っているような印象があるかもしれないが、意外にそんなことはなく、4角2番手以内の馬が制したのは10年前のロックドゥカンブ(4角1番手)以来になる。

近年に父サンデー系以外で優勝した馬がロックドゥカンブであることを冒頭で記したが、同馬は南半球産馬で、父ロベルト系(Red Ransom産駒)だった。セダブリランテスディープブリランテ産駒だが、母父がロベルト系ブライアンズタイムで、馬格や脚質を考えると、ブライアンズタイムパワーを受け継いでいるとも言えるのかもしれない。

過去のラジオNIKKEI賞(ラジオたんぱ賞)で、4角2番手以内で制した馬を検索したら、ロックドゥカンブ以外にシンコウラブリイ(92年)やツインターボ(91年)がいた。セダブリランテスは馬格があって重斤量も苦にしなさそうだから、今後の重賞戦線G1戦線において、実力的にもペースのカギを握る馬としても重要な存在となってくるのではないだろうか。