「現状では」1400m巧者同士でも、今後は違う道での活躍を期待したい
文/浅田知広、写真/稲葉訓也
このレースが中京開催になったのは2012年のこと。その初っ端が12番人気トシキャンディの逃げ切りで、
オイシイ配当にありつけたという、思い出のレースでもある。だがしかし。そういうことがあると、翌年も、そのまた翌年も「もう一度」とばかり穴っぽい馬ばかりを買ってしまうもの。この5年間の連対馬10頭のうち、トシキャンディ以外の9頭はすべて
5番人気以内なのだから、それで当たるはずもない。
そこで、今年の人気どころはというと。1番人気は、この距離の
根岸Sで
重賞タイトルを手にしている
カフジテイク。昨年は前後のレースで勝っているのに、ここでは末脚不発の
⑦着敗退。そして今年はドバイ帰り。少々怪しい感もあるが、続く他の上位人気は前走オープン特別やら、1600万からの昇級馬ばかりというメンバー構成。実績的には妥当な1番人気と言えよう。その他の馬では昨年③④着の
キングズガード、
ブライトラインあたりが、実績のわりに5、6番人気とし少し嫌われてる印象だ。
レースは
かきつばた記念の覇者
トウケイタイガーが先頭へ。中央では1000万も勝てなかったが、軽ハンデ52キロとはいえ
ダートグレードを勝つのだから、兵庫転厩は成功だったのだろう。
この馬が刻んだタイムは600m34秒2で例年並み。人気どころでは
ベストマッチョや
アキトクレッセントが好位、そして
カフジテイクや
イーデンホール、
キングズガードが後方から、おおむね予想通りといったところか。どうにも終いバタバタになる馬が目立った今週の中京ダート、重賞で先行勢がどのくらいで上がれるのか、差し馬はどれほどの脚を使えるのか。とりあえず、前半の時計だけ見れば差し馬向きにはなりそうだった。
その差し馬勢の中で、最初に外から動いていったのは6番人気の
ブライトライン。これに連れて
イーデンホールも外、対して
カフジテイクや
キングズガードは内で距離損なく4コーナーを通過した。
そして直線。外から動いた
ブライトラインは
イーデンホールを置き去りにして一気の伸び。直線前半で内から外に出したのが
カフジテイク。そして昨年同様に内を突こうとしたものの、結局詰まって手こずりながらも外へ出したのが
キングズガード。大外の
ブライトラインが内に切れ込みながら伸びたため、
カフジテイクも
キングズガードも、
ブライトラインが通った後から脚を伸ばすという、ビデオを見直さないとそれぞれの動きがわかりづらい直線前半だった。
ともあれ、残り200mで内から
ブライトライン、
キングズガード、そして
カフジテイクの順。この争いから、詰まりはしたものの距離損の少なかった
キングズガードが突き抜けて快勝。②着には
カフジテイクが入り、2頭の上がりは35秒6と36秒0。さすがに
未勝利や
500万とはひと味もふた味も違う末脚を繰り出しての決着だった。
優勝した
キングズガードは、昨年のこのレースも含めここ1年[1.3.1.3]で④着2回、掲示板外1回はG1の
フェブラリーS⑪着。安定している反面、勝ち切れない感もあっての5番人気だったが、ここはそんなところを感じさせない見事な差し切り勝ちとなった。これで全8勝が1400mだが、今年の
JBCスプリントは大井開催のため1200m。単に経験がないだけという可能性もあるので、
クラスターCや
東京盃など、1200mでどんな走りをするのか見てみたい。
一方、②着の
カフジテイクも7勝中6勝が1400m戦。ただこちらは、今年の
フェブラリーSが③着、昨年の
チャンピオンズCが④着と、もう少し長い距離でのG1好走実績馬。それぞれ僅差での好走だけに、経験が少ないだけで守備範囲内ではあるのだろう。
と、今年も5番人気以内、5→1番人気の①②着。そして
「現状では」1400m巧者同士のワンツー決着。いやあ、終わってみれば簡単なレースだったような気がするのだが……、また来年がんばろう。そして来年は、再び1400m巧者の2頭がここに出てくることなく、
それぞれ違う道での活躍を期待したいところだ。