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今年の函館記念では枠よりも血統を重視すべきだった
文/出川塁、写真/川井博


6枠12番のルミナスウォリアーが①着、7枠14番のタマモベストプレイが②着、8枠15番のヤマカツライデンが③着。今年の函館記念は見事なまでの外枠決着で、3連複15万2330円、3連単91万5320円の大波乱となった。

一応はデータ派を自認するにとって、この結末はなかなか想像できなかった。過去10年(ただし、札幌開催の09年は除く)、1~4枠の[9.5.5.47]に対して、5~8枠は[0.4.4.62]という、明確な「内枠有利、外枠不利」の傾向が出ていたからだ。

データ的には意外と言わざるをえない決着を生んだ要因のひとつとして考えられるのが、馬場。先のデータで集計対象とした9年のうち8年は良で、もう1年は稍重と、近年の函館記念ではそれほど馬場が悪化することがなかった。ところが、今年は降り続いた雨の影響で重馬場で行なわれることになった。

馬場が変われば、枠の傾向も変わる。頭でそう理解してはいても、あそこまで極端な内枠有利のデータが出ていればどうにも無視できない。それが正直なところだった。そういうわけで個人的な馬券は無念の結果に終わったのだが、変わらなかった傾向もある。

それは血統だ。力の要る洋芝で行なわれることもあって函館記念ではヨーロッパ血統が強く、スタミナの血を持つ馬がしばしば穴をあけてきた。そして今年も、ヨーロッパ血統の権化と言えるサドラーズウェルズ系メイショウサムソン産駒ルミナスウォリアーが重賞初制覇を飾ったのだ。

③着にもロベルト系シンボリクリスエスを父に持つ7番人気のヤマカツライデンが突っ込んだ。この系統も函館記念では強く、11年のキングトップガン、マヤノライジン、12年のイケトップガンと、マヤノトップガン産駒が立て続けに激走したほど。マヤノトップガン産駒がこれほど好走する重賞はちょっと思いつかないから、よほど適性が合っているのだろう。そのほかにもタニノギムレットグラスワンダーの産駒や、母父リアルシャダイなどロベルト系の好走はいくつもある。

その点、14番人気②着とさらなる激走を見せたタマモベストプレイは、あまりスタミナを感じさせるような血統背景は持っていない。同じように「タマモ◯◯◯プレイ」と名付けられた全兄たちが総じて短距離で活躍したように、兄弟のなかでもこの馬だけが異質な存在となっている。特に、昨年末からの4戦すべてで3000m以上のレースを走っていて、長距離戦を中心に使われてきたことがスタミナ強化につながっているのだろう。

加えて、この①~③着馬はすべて2200m以上の勝ち鞍を持っており、実績からもスタミナの裏付けがあった。重馬場になって枠の傾向がどう変化するかはわからないが、例年よりスタミナが問われることになるのは間違いない。つまり、今年の函館記念では枠よりも血統を重視すべきだったのである。後の祭りではあるが、似たようなシチュエーションに遭遇したらこの反省を生かさなければならないと思っている。

一方、軽い馬場で瞬発力を活かしてこそのディープインパクト産駒は、1番人気のサトノアレスが⑥着、11番人気のケイティープライドが⑤着にそれぞれ敗退した。

昨年の2歳王者サトノアレスは、前走の巴賞を勝ちながら据え置きのハンデ54キロでかなり有利という声も聞かれた。それでも、11年ぶりの1番人気馬の勝利も、12年ぶりの巴賞勝ち馬の勝利も、28年ぶりの3歳馬の勝利もならず。外枠の馬が馬券圏内を独占する展開となっては、ハンデには恵まれても、1番枠を引いた時点でツキがなかったのかもしれない。

ケイティープライドは11番人気ながら②着とタイム差なしの⑤着だから、実際には健闘と言える。昨年も13番人気②着だから、2年続けて人気を大幅に上回る着順を収めたことになる。痛かったのは馬場で、今年の勝ちタイムは昨年に比べて2秒2も遅くなった。今年の函館芝は昨年より速い時計が出る状態になっていただけに、雨さえ降らなければ再度の激走を果たしていてもおかしくはなかった。

それにしても、2番人気ながら⑮着に大敗したステイインシアトルはどうしたことか。武豊騎手を背に鳴尾記念を逃げ切り、函館記念に転じるローテーションは4年前のトウケイヘイローを彷彿とさせた。しかし、このレースでは逃げるどころか先行すら叶わず、4角では早くも馬群に沈んだ。11戦目とまだキャリアが浅く、逃げ馬だけに展開ひとつで巻き返すこともあるだろうが、今回は残念な結果となってしまった。