「頑張り屋さん」が内枠を克服した
文/編集部(M)、写真/森鷹史
これまで8回行われた
レパードSでは、勝ち馬はすべて
1~2番人気馬で、1番人気馬は[5.1.2.0]と馬券圏外がなかった。1~2番人気馬は[8.2.3.3]という成績で、この中には
明確なラインが存在した。
1~2番人気の16頭は、
馬番1~3番だと[0.0.1.3]で、
馬番5~13番の馬が[8.2.2.0]だった。
内枠の人気馬は危険で、
それ以外の馬は信頼に足るというデータだった。
今年の1~2番人気馬は、
3枠5番の
エピカリスと
8枠15番の
タガノディグオ。過去の傾向で考えれば
安泰ムードだったわけだが、
エピカリスは内で包まれて仕掛け遅れて③着、
タガノディグオは外を回らされて⑫着に敗れてしまった。
タガノディグオは馬体重が14kg減(512kg)で、その影響もあったのかもしれない。
内枠の上位人気馬の成績が振るわないのは、今回の
エピカリスのように包まれてしまうケースがあり、また、内で砂を被って嫌気が差すケースもあるからだろう。まだキャリアの浅い馬が多い3歳ダート重賞で、内枠を克服して好走するのはなかなか
難しい芸当と言える。
過去8回の
レパードSでは、
1~2枠の馬は[0.0.2.19]で連対圏に入った馬がいなかった。このデータを知っていただけに、
2枠2番の
ローズプリンスダムを穴ぐさ💨に指名することにはためらいも感じていたのだが……
実績を考えて穴ぐさ💨にして良かったです(笑)。
穴ぐさ💨コメントにも記した通り、2011年以降の
レパードSでは、
JRAのダート1800mのOPで③着以内の好走歴があった馬がずっと馬券に絡んでいた。今年のメンバーのうち、これに該当したのは
鳳雛Sを勝利した
ローズプリンスダムだけ。「本当か?」と思って何度も確認したが、本当でした。
鳳雛Sの時も穴ぐさ💨だったが、
10番人気での激走で、その勝利はフロック視された面もあったのだろう。
今年の
鳳雛Sはいろんな意味で
キーレースでもあった。追い込みの利く展開になり、先行馬には厳しい流れとなったが、
ローズプリンスダムはそれを早めの動いて押し切った。その時に先行して粘り込めず④着に敗れたのが
サンライズノヴァで、同馬は次走の
ユニコーンSで距離を短縮され、ハイペースの差し決着となって快勝した。
サンライズノヴァは
ジャパンダートダービーで1番人気に支持されたが、良馬場の2000mという条件が厳しかったか、⑥着に敗れ、一緒に出走した
ローズプリンスダムも⑧着に負けたが、こちらはレース中に落鉄するアクシデントがあった。
サンライズノヴァと
ローズプリンスダムは、同じ敗北でもおそらく敗因が異なるのだろう。
ローズプリンスダムはデビュー以来の着順が
①⑫
②④
①⑥
①⑧着で、馬券圏内と圏外を交互に繰り返していた。
気が悪いのか?と思って敗れたレースの映像を見返したが、例えば⑥着に敗れた3走前の
端午Sは初の1400mで、直線で他馬に寄られる不利を受けながら0秒5差で、④着に敗れた5走前(500万)は仕掛け遅れた感じだったが、最後に盛り返して②着馬とクビ+ハナ差だった。
気の悪さどころか、
最後まで渋太く伸びてくる末脚を確認することができた。
そのレースぶりを見たら
「頑張り屋さん」という表現が合う印象で、それが今回の
内枠での優勝に結び付いたのだろうと思った。
芝でデビューした後に
ダートに転向し、
中山で勝った後に
短距離を走り、
京都でも勝ち鞍を収め、
大井にも遠征した。いろいろな条件に挑戦して経験を積んできたからこそ、内で砂を被っても嫌気を差さずに走り、差し切ってみせたのではないか。
この勝利によって、
ローズプリンスダムは秋のダート重賞戦線にも挑戦していくことになるのだろう。ただ、実は今回記録した勝ち時計(1分52秒9)はこれまでの
レパードSでもっとも遅く、
鳳雛Sの勝ち時計(1分51秒9)も、
キョウエイギアや
ライドオンウインドが優勝した2回(1分51秒3)に比べると遅い(
カゼノコが優勝した時・1分52秒2よりは速い)。今後、
時計面を指摘されることが多くなるように思う。
それでも、京都ダート1400mの
端午Sでスピード負けしなかったし、デビュー勝ちを
東京芝1600mで挙げている馬だから、
時計面の伸びしろも十分にありそうだ。OPでの2勝がともに
ふた桁人気だから、今後もちょっとしたことですぐに人気が落ちる可能性がありそうだが、何度も巻き返してきている馬でもあり、常に侮らない方がいいだろう。
エピカリスについては、圧倒的1番人気で、マークがきつくなった面もあったのだろう。包まれながら最後に伸びて③着を確保し、
地力の高さを証明したが、かなり密集したレースだったので、ダメージが残っていないと良いが……。無事に次走に出走し、
ドバイで見せてくれたあの力を再び披露してほしいものだ。