独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

今回は、自分の競馬に徹した馬に軍配が上がった
文/編集部(T)、写真/川井博


昨年の覇者リッカルド、②着クリノスターオー、③着モンドクラッセが揃って今年も出走。ただ、今年はこの3頭の中ではモンドクラッセの3番人気が最高で、4番人気タイがクリノスターオーリッカルドに至っては10番人気と、3頭とも昨年と同じか、より人気を下げる形になってしまった。

理由のひとつは、上がり馬テイエムジンソクの存在。今年5月に休み明けから復帰すると、降級から7戦してなかなか勝てなかった準OPを4馬身差で突破。昇級初戦の大沼Sも4馬身差、前走のマリーンSは逃げて5馬身差と、凄味を増しながら連勝街道を突き進んできた

2番人気ピオネロも、昨年のこのレースの時点では準OPを勝ったばかりで、このレースは不出走。重賞では勝ち味に遅い面があるが、②着が3回あって現時点でのトップクラスの1頭に挙げられる。昨年いなかったこの2頭が出てきたことにより、格付けに変化が起こった形だ。

それにしても、今回のエルムSの馬柱を見て、「これはペースが速くなりそうだ」と予想した方は多かったのではないだろうか。

何しろ前走が“4角1番手”となっている馬だけ挙げても、1番人気テイエムジンソクをはじめ、ドリームキラリクリノスターオーオヤコダカがいる。それ以外にも、前走で逃げられなかったモンドクラッセなどの名前もあったから、そう考えるのが自然だっただろう。

そういう状況なので、いろいろな新聞を見ても、まずはテイエムジンソクの位置取り予想からバラバラ。ハナに立つという予想もあれば、先行する、中団に控えるという予想さえあって、展開予想は例年以上に難しかったことが窺える。おおむね同じなのは、“ハイペースであろう”ということだけだった。

そういう状況はもちろん騎手たちも承知のはずで、そこからの対応が騎手や状況によって変わってくる。前が厳しいと見て控えるのか、それでも自分の競馬に徹するのか。今回のエルムSは、そこがポイントだったような気がする。

自分の競馬に徹して、ハナに立ったのはドリームキラリ。500万以上での4勝はすべて4角先頭からの押し切りで、ここも前日に復帰したばかりの三浦騎手が何が何でもという感じで先頭に立った。

ポイントのひとつは、テイエムジンソクが2番手に収まったことか。自分は「勝負所でテイエムジンソクが前を掃除する形になり、それより前にいる馬は苦しいはず」と考えたが、それは他馬に騎乗する騎手も同じだったはずで、これが結果的にドリームキラリにとって上手く蓋になった感じかもしれない。

前半900m通過が53秒4で、もちろん遅くはないのだが、良馬場で行われた01年のエルムSで同じタイムが出ているので、重馬場としては極端に速いわけでもない。テイエムジンソクは3角でドリームキラリに並びかけに行ったが、ドリームキラリもしぶとくて交わさせず、そうこうしているうちに勝負所で内を通って3番手まで押し上げたロンドンタウンが直線で外に持ち出すと、一気に差し切った。

ロンドンタウンは自在に動ける馬だが、O型コースでひと桁馬番だと[4.2.0.0]という成績が残っているように、内で脚を溜める形が合っている印象がある。岩田騎手はこの勝利でエルムSの成績を[5.1.0.2]とし、もしかしたらこちらがハマったということもあるかもしれないが……。

いずれにしても、前述したテイエムジンソクが②着、ドリームキラリが③着で、自分の形を取れた(と思われる)馬が上位を占める結果となったのは間違いないのではないだろうか。

②着に敗れたテイエムジンソクについては、評価が分かれるところかもしれない。ただ、勝ち味に遅い面は以前からあった馬だし、重賞初挑戦の身でマークを一身に集める存在になったことは、さすがに荷が重かった可能性はありそう。それでも②着を確保したのは力の証明で、マークが緩んだ時にどのような競馬をするか、今後に注目したい。

一方、ピオネロは4角11番手、モンドクラッセは4角5番手と、これまでにない位置取りで敗れる形となった。正直なところ、ピオネロ騎乗のルメール騎手が後方に控えた時は「さすがだなあ」と見ていたが……。今回はうまくいかなかったが、これが成功する場合もあるので一概には言えないし、この敗戦で評価を下げるものでもないだろう。自分の形をとれれば見直せるはずだ。

また、レースの勝ち時計1分40秒9はそれまでのコースレコードを0秒8更新し、堂々の日本レコード。馬場の助けがあったとはいえ、これだけのタイムを出したことは素直に評価すべきだろう。

エルムS好走馬の中にはローマンレジェンドエスポワールシチーアドマイヤドンなどのG1(Jpn1)勝ち馬が名を連ねる。今回これだけのタイムで走破した好走馬たちが、秋の大一番で善戦以上の結果を残しても、何も不思議はないはずだ。