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昨年のネオリアリズムのようなその後の活躍を期待したい
文/編集部(W)、写真/川井博


「メインレースの考え方」の原稿を書くため、札幌記念がG2となった97年以降のデータを調べていると、歴代の勝ち馬が錚々たる顔ぶれであることに改めて気づかされる。

97&98年と2連覇を果たしたエアグルーヴに始まり、99年セイウンスカイ、02年テイエムオーシャン、04年ファインモーション、05年ヘヴンリーロマンス、06年アドマイヤムーン、07年フサイチパンドラ、10年アーネストリー、11年トーセンジョーダン、14年ハープスター、16年ネオリアリズムと、G1馬がずらりと並ぶ。

じゃあ、②着以下に負けた馬はどうなんだと、最近を振り返ってみると、昨年は②着モーリス、④着ヌーヴォレコルト、15年は⑤着ラキシス、14年は②着ゴールドシップ、③着ホエールキャプチャといった感じ。

「G1級のG2」札幌記念とすれば、これだけの面々が集まるのも驚くことではない。ただ、それらの馬は「G1馬として札幌記念に臨んだ馬」、「札幌記念の後にG1馬となった馬」に分類される。昨年で言えば、②着モーリス、④着ヌーヴォレコルトは前者で、①着ネオリアリズムは後者だった。

ネオリアリズムは札幌記念で重賞初制覇を飾り、秋にはマイルCSで③着と好走。今年に入ってからは中山記念クイーンエリザベス2世Cと2連勝を果たし、G1馬に輝いた。今年はG1馬として2連覇に挑む予定だったが、残念ながら回避となったため、06年以来、11年ぶりにG1馬が不在ということに。

そんな状況の中、1番人気(2.7倍)は昨年の有馬記念④着、今年の大阪杯③着とG1で健闘を見せているヤマカツエース、2番人気(3.9倍)はG1で②④④③⑤着のエアスピネル、3番人気(4.3倍)は昨年の牡馬クラシック三冠で⑥⑦⑦着だったマウントロブソン、4番人気(8.0倍)は重賞未勝利ながらG1で[0.3.0.6]と連対歴のあるサウンズオブアースで、上位4頭が単勝オッズで10倍を切っていた。

必ずしも「単勝人気=のちにG1を制する可能性の高い馬」ということではないが、いずれも可能性は感じさせる「G1級の馬」とは言える。その後はロードヴァンドールが5番人気(15.4倍)、サクラアンプルールが6番人気(19.9倍)と続いていたが、オッズ的には勝つのは「上位人気の3頭+1頭」という雰囲気だった。

有力馬がどんな走りを見せるのか、注目しながらレースを見ると、「上位人気の3頭」の一角であるマウントロブソンがスタート直後に隣のロードヴァンドールと接触して出遅れ、後方からの競馬に。

そのロードヴァンドールがハナを切り、2番手にマイネルミラノ、3番手にタマモベストプレイと、前の並びは大方の予想通りだっただろうか。その直後にはエアスピネル、これをマークするようにヤマカツエースサウンズオブアースが続く。マウントロブソン以外の「上位人気の3頭+1頭」は前目で運ぶ展開となった。

ロードヴァンドールが平均ペースで引っ張る中、3コーナーを過ぎると2番手のマイネルミラノがこれにジワジワと接近、劣勢のタマモベストプレイを交わしてエアスピネルヤマカツエースも前との差を詰める。直線は1、2番人気の2頭による叩き合いが展開されそうな様相だったが…その外から勢い良く進出してきたのがサクラアンプルールだった。

「気配が一変していた」という蛯名騎手のコメント通り、大阪杯(⑬着)で馬群に沈み、函館記念(⑨着)で伸びあぐねていた馬とは別馬のような走り。内で競り合うエアスピネルヤマカツエースをあっさりと交わし去り、ゴール前では急追してきたナリタハリケーンの追撃をクビ差で凌ぎ切って重賞初制覇のゴールに飛び込んだ。

前で意識し合っていた感じのヤマカツエースエアスピネルの間隙を突いた形とはいえ、サクラアンプルールは直線で抜け出す時の脚が速く、やはりネオリアリズム、ロゴタイプ、ヴィブロスといったG1馬を相手に中山記念で②着を確保した実績はダテではなかったということだろう。

97年以降、札幌記念で重賞初制覇を飾った古馬は昨年のネオリアリズムとサクラアンプルールだけ。兄のサクラメガワンダーがG1で好走した時(09年宝塚記念②着)は6歳で、近親には5歳時にG1で[1.1.1.1]と活躍したサクラチトセオーもいるから、遅咲きのタイプなら、この勝利をきっかけにネオリアリズムようなその後の活躍を期待したくなるところ。サクラメガワンダーはG1タイトルに手が届かなかったが、弟は兄超えとなるか。

ヤマカツエースは7勝中6勝を11~4月に挙げている馬で、得意とは言えない夏季に過去2年(④⑤着)を上回る③着を確保したのは地力強化の証と言えるのではないだろうか。エアスピネルは久々の中距離戦で不利な大外枠に入り、馬番1~3番の馬が馬券圏内を占めたことを考えれば、0秒4差の⑤着なら悲観することもないはず。2頭ともこれで「札幌記念の後にG1馬となった馬」の可能性が低くなった気はしない。来年の札幌記念にG1馬として参戦している可能性だって十分考えられる。今後の走りに注目したい。