スプリンターズS前に思い出したいこと
文/編集部(M)、写真/川井博
前日売り時点の人気と
最終の人気がこれだけ変わるレースも珍しいのではないだろうか。
優勝した
エポワスは前日売り時点では
5番人気(単勝9.5倍)だったのだが、終わってみれば13頭立てでの
12番人気(単勝21.2倍)。逆に、
ナックビーナスは前日売り時点で
11番人気(単勝17.8倍)だったのに、最終的には
5番人気(単勝11.4倍)という評価を受けた。
ナックビーナスは今回が
5ヶ月の休養明けだったので、馬体重発表やパドックに出てきた実馬を見て勝負した人が多かったのでは?と思う人がいるかもしれないが、レース当日の12時半頃にはすでに
単勝オッズが11倍台になっていて、馬体重やパドックが影響を与えたわけではなさそうだ。
エポワスの方は今回が中2週の臨戦だったにも関わらず、馬体重が
20kg増(496kg)で、そのことで人気を落としたのでは?と思う人がいるかもしれないが、こちらも当日のお昼の時点ではすでに12番人気になっていて(単勝オッズは18倍あたり)、特に
20kg増が影響したことはなさそうだった。
実は
エポワスの単勝オッズは、土曜日の15時を頂点にしてからは一貫して下がり続けていた。どうも土曜日の15時頃に
エポワスの単勝を
40万円分購入した人がいたようで、それが今回の人気の騒動につながったようだ。
単勝を大量に購入した経験がないもので、
どうしてレース前日に買う必要があるんだろう?と不思議に思ったのだが、もしかしたら、オッズの大小に関わらず単勝を買うと決めている人にとっては、
一度オッズを小さくしてしまった方が良い面があるのかもしれない。前日売り時点での人気を見る人も多いと思うが、その時点で配当があまりつかなかったら美味しいと思わず、結果的に人気が落ち着きやすい(つまりオッズが小さくなり過ぎない)のかもしれない。これは完全に個人的な見解ですが……。
いずれにしても、どんな人気であっても優勝した馬の単勝を大量に買っていたのだから、その人の勝利ですね。
エポワスは、実に鮮やかな差し切り勝ちだった。
穴ぐさ💨を選ぶ者にとっては、前日売り時点のものも含めて
単勝人気が重要な位置を占めているが、実は
キーンランドCもある側面において、
単勝人気が重要であると言える。それは、10月1日の
スプリンターズSに対してだ。
キーンランドCは優勝馬に
スプリンターズSへの優先出走権が与えられているものの、ふたつのレースにそれほど大きな関係性はないように感じている人が多いのではないか。ところが、実はそうでもなく、
キーンランドC→
スプリンターズSと使われた馬は、08年以降の9年中7年で馬券に絡んでいる。一昨年は
ウキヨノカゼが③着、昨年は
ソルヴェイグが③着となっていて、その2頭はともに
9番人気という人気薄だった。
スプリンターズSで好配当を獲るためには
キーンランドC組みに注目すべきで、ではどんなタイプが
スプリンターズSで好走しているかと言うと、
キーンランドCで
上位人気に推された馬なのだ。
08年以降の
スプリンターズSでは、前走
キーンランドC組みの馬が次のような成績となっている。
【2008年以降のスプリンターズSにおける前走キーンランドCの馬】
前走人気 |
着別度数 |
前走1番人気 |
[1.1.1.5] |
前走2番人気 |
[0.1.2.4] |
前走3番人気 |
[0.0.0.6] |
前走4番人気 |
[1.1.1.2] |
前走5番人気以下 |
[0.0.1.12] |
キーンランドC→
スプリンターズSと使われて馬券に絡んだ馬は10頭いて(08年以降)、そのうち9頭が
キーンランドCで
1~4番人気に推されていた。例外の1頭は一昨年の
ウキヨノカゼで、同馬は
キーンランドCを勝っていたから、
キーンランドC→
スプリンターズSという臨戦馬は、前走で1~4番人気に推されていたか、勝利を収めた馬が狙い目と言える。
今年の場合で言えば、優勝した
エポワスが該当し、その他では1番人気だった
モンドキャンノ、2番人気だった
ソルヴェイグ、3番人気だった
シュウジ、4番人気だった
メイソンジュニアが当てはまる。もちろん、この中でも賞金によって出られる馬と出られない馬がいると思うが、出走馬が確定した時には、
キーンランドCで何が
上位人気に推されていたか、ぜひ思い出すようにしてください。
キーンランドCでの高齢馬の優勝と言えば、08年の
タニノマティーニが思い出されるが、同馬は8歳だった。
9歳以上でJRAの平地重賞を制したのは、
02年シルクロードSの
ゲイリーフラッシュ(9歳)、
07年小倉大賞典の
アサカディフィート(9歳)、
08年小倉大賞典の
アサカディフィート(10歳)、
12年ステイヤーズSの
トウカイトリック(10歳)がいて、
エポワスは4頭目(5度目)の快挙となった。
エポワスがさらに重賞勝利を重ねれば、9歳以上での2勝ということで
アサカディフィートに並び、来年に重賞を勝てば、10歳での重賞勝利ということで
アサカディフィートと
トウカイトリックに並ぶ。
藤沢和調教師の腕の見せ所となってきそうだ。