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勝負所で見せた迫力は、父オルフェーヴルを彷彿とさせた
文/編集部(T)、写真/川井博


今年の新種牡馬・オルフェーヴル産駒2頭が重賞に初めて参戦することになった、今年の札幌2歳S。ただ出走するだけでなく、ロックディスタウンが1番人気、クリノクーニングが2番人気と、堂々の人気を集めての初参戦となった。

函館芝1800mで勝ち、北海道の洋芝に実績があったクリノクーニングよりも新潟芝外1800mで勝ってきたロックディスタウンの方が人気を集めた形。とはいえ、ロックディスタウンタガノエリザベートキャットコインという重賞勝ち馬を姉に持つ血統馬ということを考えれば、(個人的には少し意外だったが)なるほど納得である。

そのロックディスタウンの新馬戦を振り返ると、中団で他馬の後ろに馬を置いて折り合いをつけ、残り400mあたりで外に持ち出してメンバー最速の上がり32秒5で差し切っている。

レース上がりが32秒8となる中で差し切った内容は認めても、大きなフットワークをする馬が長い直線をフルに活かしたレースぶりに、「札幌でどうなんだ?」と見る向きがあったのは仕方のないところだっただろう。

ということで、スケールと洋芝適性、どちらが上回るのか……という目線でレースを見ていたが、ロックディスタウンの勝ちっぷりを見る限り、そんな次元の争いではなかったようだ。

ルメール騎手もレース後に語っているが、ロックディスタウンは前を行くファストアプローチの直後につけ、今回も馬の後ろで折り合いをつける形。そのまま外を通って進出し、先に抜け出したファストアプローチを捉えると、外から迫った道営馬ダブルシャープの追撃も振り切ってみせた。

直線での破壊力はデビュー戦には及ばなかったが、それは恐らくベストではないと思われる小回りで窮屈そうな走りだったし、しかも力のいる札幌の洋芝という条件だったからか。それでも勝ち切ったのだから、それが力の証明と言うこともできるはず。

何より、勝負所で外から進出していくところで見せた迫力に、自分は父オルフェーヴルのラストラン(13年有馬記念)や、その母父メジロマックイーンのラストラン(93年京都大賞典)を思い出した。今後力をつけていけばそこからの末脚にも繋がるはずで、これらの名馬に続くことができる、その可能性を示したレースぶりだったのは間違いないだろう。

データ面でもそれは裏付けられる。芝1800mで行われた札幌2歳Sで、2番人気以内に推されて③着以内に入った牝馬のその後の成績を調べてみると、以下のようになった。

馬名 後のおもな戦績
00 テイエムオーシャン 1 桜花賞、秋華賞、阪神JF
03 ヤマニンシュクル 2 阪神JF
06 イクスキューズ 2 クイーンC
10 アヴェンチュラ 2 秋華賞
10 アドマイヤセプター 1 京阪杯(②着)
13 レッドリヴェール 2 阪神JF

6頭中5頭が重賞を勝ち、4頭がG1馬になっている。人気薄で馬券圏内に入った中にも桜花賞レッツゴードンキ(14年7番人気③着)がいるように、この時期の芝1800m重賞で牝馬が好成績を収めるには、それだけ力がないと難しいのだろう。

オルフェーヴル産駒にとっても、これが重賞初挑戦で初制覇。2歳戦開幕直後は短距離戦が中心ということもあってなかなか結果を残せなかったが、距離が延びて本領を発揮してきた形。オルフェーヴル自身も京王杯2歳Sで⑩着に敗れるなど、2歳時は短距離戦で不安定なレースぶりだったが、そこから三冠馬になっているわけで、産駒たちも同じ傾向を示しても不思議はないだろう。

また、早め先頭から粘った②着ファストアプローチは母がサトノクラウンの全姉、シンガリ追走から大外を進出し、長く脚を使って③着に押し上げた道営所属馬ダブルシャープは母がメジロブライトの半妹という血統を持つ。ロックディスタウンを含め、上位に入った馬のそれぞれのレースぶりが“らしい”ものだと感じるが、どうだろうか。

まだキャリアの浅い馬たちだが、力のある馬が血統の持ち味を活かしたレース、そんな見方もできそうだ。

ちなみに今年の札幌2歳Sは、札幌芝で新馬勝ちした馬の出走がゼロ。札幌芝1800mで行われるようになってから、これは初めてのことになる。

だからといって今年の札幌芝の新馬戦が低調だったわけではなく、フラットレー(バウンスシャッセの半弟)、ルーカス(モーリスの全弟)、残念ながら故障してしまったがレイエンダ(レイデオロの全弟)といった血統馬が勝ち名乗りを上げている。

それだけに、これらがいないことは少し残念ではあったが、それでも“2017年の札幌2歳Sは好メンバーが揃ったレースだった”と、今後言われるレースになってほしいと思う。