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上位人気3頭はどんな進歩を見せるのか、今後が楽しみ
文/浅田知広、写真/森鷹史


新潟2歳Sのときに「新潟の新馬戦優勝馬が1頭しかいない」などと書いたが、その後、今週土曜に行われた札幌2歳Sでは、なんと札幌の新馬勝ち馬ゼロという事態。そんな両2歳Sに比べれば、かろうじて「各地の2歳王者決定戦」という体裁を保っているのが、この小倉2歳Sだ。過去10年の優勝馬のうち、8頭は前走も小倉での出走馬。そしてここ5年のうち4頭は、小倉芝1200mの新馬を勝ち上がった馬だった。

そんな流れを受けた今年も、1番人気に推されたのは、ついこの前、8月19日に同コースの新馬を好時計で制したモズスーパーフレア。いかにもスピード型という走りで、こういったタイプが1番人気になるのも、札幌や新潟の距離が延びた今、小倉2歳Sだなあ、という印象だ。

続く2番人気は一転、6月4日の阪神デビューだったヴァイザー。間隔が開いている分「同レースの②③⑤着馬が勝ち上がった」などという強調材料がついての2番人気。そして3番人気はすでにキャリア3戦のアサクサゲンキ。こちらは前走勝ちの1分8秒8が、モズスーパーフレアの1分8秒5とは0秒3差。ただ、②着馬と一騎打ちだったモズスーパーフレアに対し、こちらは楽々4馬身突き放しての勝利。そして、4角でふくれる面も多少は解消するという「キャリア3戦」馬らしい上積みをすでに見せての参戦だった。こうして見ると三者三様、なかなかおもしろい上位人気の構成となった。

そんなメンバーでまずハナに立ったのは、やはりモズスーパーフレア。内からフローラルシトラスが並んできたところで控えはしたものの、手綱を緩めれば一気に吹っ飛んでいきそうなスピードだ。

これを前に見る形で、好スタートから「スムーズに」3番手を追走したのがアサクサゲンキで、このあたりはさすが4戦目。もう1頭の人気馬ヴァイザーはまずまずのスタートを切ったが、中団に控えたところで中枠が災いし、ずるずる位置取りを下げて後方集団の前あたりになってしまった。

迎えた3~4コーナー中間。まずはモズスーパーフレアフローラルシトラスを交わして先頭に立つ展開を予想して見ていたのだが、ここで早々に外からアサクサゲンキ。ほとんどモズスーパーフレアが先頭という場面がなかったくらいの勢いで外から先頭に立っていったのだった。

そして直線。モズスーパーフレアも食い下がる場面は作ったものの、序盤のペースが新馬戦より0秒7速かったのも響いたか、残り100mを切ってあえなく後退して⑦着敗退。一方のアサクサゲンキは、後を追ってきたアイアンクローバーニングペスカとさほど変わらぬ脚色でそのまま押し切って、重賞タイトルを手中にした。

キャリア3戦での小倉2歳S制覇は、02年のメイプルロード以来15年ぶり。今回も4コーナーでは外に少しふくれ加減ではあったが、開催最終週でどうせ外に出すなら同じ、という面もあり。そのあたりも含め、手綱をとった武豊騎手からは「ヤンチャ」とのコメントも出ていたが、落ち着いて3番手から前の目標をしっかり捕らえて勝ち切るあたりは、キャリアを積んだ利もあっただろう。

父のストーミーアトランティックはあまり聞き慣れない種牡馬だがストームキャットの仔で、日本での産駒は07年NHKマイルCで④着に入ったシベリアンバードなど。アメリカでは芝9ハロンのG1勝ち馬も出ており、多少は距離の融通も利くようだ。今回もスピード一辺倒という感じではなく、むしろ向正面半ばではいったん押っつけてモズスーパーフレアを追っていっただけに、マイルあたりなら対応できそうだ。キャリアはさておき、気性面の若さはまだあり、単なる小倉の2歳王者と片付けず、今後の成長を見ていきたい馬だ。

一方、最後に馬群に沈んでしまったモズスーパーフレアだが、⑦着とはいえ2着からは0秒1差。今回も改めてそのスピードは見せており、今後、軽い馬場で牝馬同士なら1400mくらいは一気に押し切って不思議はない。また、その速さを終いの切れに転化できるようになるかといったあたりも見どころだ。

そして人気3頭の中で、もっとも苦しい競馬になってしまったのがヴァイザーだった。向正面のほか、4コーナーでも行き場をなくしていたが、最後は④着まで盛り返してきた。祖母はソニンク。この系統は函館スプリントSレコード勝ちしたジューヌエコール、ダート2000m前後で活躍したランフォルセ、そしてダービー馬ロジユニヴァースと、どうも掴みづらい。

ただ、父がキングジョージなどを制したノヴェリストなら、この1200mがまったくの距離不足だった、という可能性もある。ここに至る過程も三者三様だった上位人気3頭、結果も明暗分かれる形にはなったが、今後もまたそれぞれ違う形でどんな進歩を見せるのか、楽しみがある3頭だ。