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春の実績馬を一蹴、果たして秋華賞では!?
文/出川塁、写真/稲葉訓也


東のトライアル・紫苑Sが重賞に昇格しても、西のトライアル・ローズS秋華賞の前哨戦として本流の座にあるのは今も変わらない。今年も桜花賞①着のレーヌミノル、同②着のリスグラシューオークス②着のモズカッチャンなど、春の二冠を賑わせた馬たちが集結。古馬路線に向かうオークス馬のソウルスターリングや、レース直前に屈腱炎を発症して急遽引退となったアドマイヤミヤビは不在となったものの、ハイレベルとされる3歳牝馬路線の実績馬たちが揃って秋初戦を迎えた。

そして、これら3頭以上に注目されたのがファンディーナだ。今年1月のデビューからフラワーCまで、すべてぶっちぎりの3連勝。新たな女傑候補として騒がれ、牡馬に挑んだ皐月賞では1番人気に推されることとなった。結果としては⑦着に終わり、年明けデビューから使い詰めた疲労を考慮してそのまま休養に入ることになったものの、ポテンシャルを評価されて春のG1好走馬たちを上回る支持を集めることとなった。

しかし、その期待に応えることはできなかった。5番手追走から持ったままの手応えで直線に向いたのだが、いざ追い出されてからの反応がいまひとつ。結局、逃げるカワキタエンカをかわせず、後ろからきた馬には差され、なだれ込むように⑥着に入るのが精一杯だった。

プラス22キロだったとはいえ、春競馬で馬体が減り続けていたことや成長分を考慮すれば、そこまで太め残りというわけではないだろう。敗因として考えられるのはペースだ。3連勝を振り返ると、新馬戦つばき賞の前半1000mはそれぞれ63秒4、64秒1の超スロー。フラワーCも同61秒1と、デビュー3戦はいずれも楽なペースで先行することができていた。一方、皐月賞は同59秒0、今回のローズSも同58秒6と、平均からやや速いぐらい流れとなった2戦では掲示板にも載れなかった。

次走の秋華賞も、最後の直線が平坦かつ短い京都内回りを使用するためペースが流れやすい傾向にある。具体的には過去10回のうち7回で前半1000m通過が59秒を切っており、明らかなスローペースといえるのはジェンティルドンナが牝馬三冠を達成した12年の1回しかない。10年に一度のスローペースを願うのは、さすがに虫がいいというもの。現状では追走ペースが厳しくなると豪快なフットワークが鳴りを潜めてしまうファンディーナにとって、次も楽なレースにはならなそうだが、とにもかくにもひと叩きですこしでも体調を上昇させるしかない。

それにしても横山典弘騎手である。テン乗りの馬で、1番人気馬がハイラップに弱いと見切って緩みのない逃げを打ち、なおかつ②着に残したのだとしたら。お見事としかいいようがないが、実際にそうだったのだろうと思わせるだけの説得力を持つ数少ないジョッキーであることは論を俟たない。本番ではお手馬のアエロリットがいるため乗り替わりとなるのは残念だが、展開のカギを握る1頭になりそうだ。

自身以外の先行勢はすべて壊滅するカワキタエンカの絶妙な逃げによって、差し・追い込み馬が上位を独占することとなった。しかし、アタマまで突き抜けたのがリスグラシューモズカッチャンではなく、8番人気のラビットランだったのは、特に血統が好きな人にとっては意外だったのではないか。

父のTapitといえば種付け料が30万ドルに達する、いわずとしれたアメリカのナンバーワンサイヤー。日本における代表産駒のテスタマッタやラニといった顔ぶれを見れば明らかなように、適性はダートにある。一方、芝の勝ち鞍は500万下までの下級条件のみに限られていた。そんな適性の壁ラビットランは一気に突き破り、G2を制してみせたのだ。

初芝となった500万下に続いて、これで芝は2戦2勝。前走の上がり3Fが33秒0で、今回も33秒5でいずれも上がり1位を記録と、これまた血統からすれば驚きの末脚を秘めている。「ウサギ」といえば、大量リードに油断して最後に差される童話を思い出すところだが、この兎、いや馬は、最初はノンビリしていても最後に凄まじい追い込みを見せる。ここ5年で4勝②着2回のディープインパクト産駒が圧倒的に強い秋華賞に、日本を含めて子孫が大活躍しているCourtly Deeを3代母に持つ良血馬が挑むこととなる。