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皐月賞馬を撃破して再び京都へ、本番での走りが楽しみ
文/浅田知広、写真/川井博


先週末の段階では、台風の影響も懸念された月曜の中山競馬。しかし、ふたを開けてみればすっかり好天。メインまでには芝コースも良に回復、台風へ向けて南風が吹き込んで暑くはなったものの、3日間開催が問題なく消化できたのはなによりだ。特にこの時期、G1へ向けた前哨戦が続くだけに、中止になると代替の日程次第では、本番までの調整に影響を残すことにもなりかねない。

そんな前哨戦のひとつ、菊花賞トライアルのセントライト記念神戸新聞杯組に押されっぱなしではあるが、一昨年はキタサンブラックが、ここでの勝利を足がかりに菊花賞でG1初制覇。そしてその後の活躍はみなさんご存じの通りである。

そして今年は、昨年のディーマジェスティに続いての皐月賞馬登場となった、アルアインが注目を集めて断然の1番人気1.7倍。続いて、春の京都新聞杯で僅差の勝負を演じた2頭、ミッキースワロー(同レース⑤着)とサトノクロニクル(②着)が2~3番人気。そして皐月賞④着馬クリンチャーという人気順となった。

しかしオープン・重賞実績馬はいいとして、出走すれば注目はされるはずの1000万条件優勝馬が1頭もいないというのはちょっと寂しい。もっとも、過去2年も同様のメンバーで、重賞実績馬のワンツー決着。その実績馬からセダブリランテスが残念ながら回避となっただけに、アルアインサトノクロニクルからすれば、しっかり好結果を出して本番へと向かいたい一戦。両馬に人気で間に挟まれたミッキースワローは、なんとしても出走権を獲りたいところだろう。

そんな人気どころでは、もっとも前へ行くと思われたクリンチャーが好スタートから先行……、するかに見えたが、なにせ二の脚が鈍く、押して叩いてなんとか先行集団にとりつくまで。逃げ切りで連勝中のサンデームーティエがハナを切り、クリンチャーサトノクロニクルは3番手あたりで併走。直後の外に人気のアルアイン、これを見てミッキースワローと、人気どころが前々を占める展開になった。

前半の1000m通過は61秒8のスローペース。そのわりに、鞍上が抑えるのに苦労するほどの馬は少なかった。こうなると上がり勝負必至、とはいえ直線の短い中山コース。鞍上の思惑ひとつで動きどころが変わってくる流れだ。

そんな中、真っ先に動いていったのは内のサトノクロニクルだったのだが。前との差を詰めたところで、先頭のサンデームーティエがじわじわ後退。ここで少し詰まって勢いが削がれ、その間に外からクリンチャー、これをマークするような形でアルアインも前に出て、サトノクロニクルは4角でその後ろ。ミッキースワローは馬群の中だったが、詰まるというより、アルアインを先に行かせてから仕掛けようかという雰囲気だ。

いや、実際のところは内に併せたかったのかもしれないが、勝負どころで余裕があった分、そういう見た目になった、という面もあるだろう。直線に向き、アルアインが突き抜けるか、という残り200m。ワンテンポ遅らせて(遅れて?)外に持ち出したミッキースワローがこれをロックオン。照準器が狂っているか、相手能力が予想以上に高かったりしないかぎりはまず撃墜という態勢だ。

そして、そこにはなんの狂いもなく、見た目通りの決着に。アルアインをめがけて追い出されると、溜めに溜めた脚は一気に爆発。皐月賞馬に抵抗する余地すら与えず、1馬身4分の3の差をつける鮮やかな差し切り勝ちとなった。敗れたアルアインは別に悪い競馬だったわけではなく、この敗戦ひとつで先々どうのと語るようなものでもない。

やはり、それを差し切ったミッキースワローが見事のひと言だ。前走の1000万では福島で上がり33秒7の脚を使いながら、スローのほぼ最後方から届かず③着敗退、そして今回はそれを上回る33秒4。ライバルを射程圏に入れたレース運びができてこの脚なら、相手がG1馬になろうとも、これくらいの競馬ができる馬なのだ。

もっとも、前々走の京都新聞杯では早めに動いて敗れているだけに、前々でさばけば良いというものでもなし。ひと夏越しての成長に加え、混戦だった京都新聞杯と違い、アルアインという確固たる中心馬がいたことがプラスに働いた部分もあるだろうか。

ともあれ、これで権利獲りにだけにとどまらない重賞初制覇。父トーセンホマレボシ京都新聞杯優勝、ダービー③着後に故障で種牡馬入りしたが、こちらは4番人気の京都新聞杯で⑤着に敗退。さて、ダービー出走の夢が絶たれた京都の舞台に戻り、今度はどんな走り、どんな脚を見せてくれるのか、楽しみに待ちたい。