独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

ハンデ、時期、血統が噛み合っての激走だった
文/出川塁、写真/稲葉訓也


ダート2000m以上で行なわれるJRAの重賞は、いまやシリウスSが唯一となった。その希少性もあってか、前年の好走馬が翌年もこのレースに使ってくることが少なくない。今年も、昨年①着のマスクゾロ、②着のピオネロがいずれもエントリーしてきた。

しかし、結果からいえば期待はずれといわざるをえない。マスクゾロは昨年と同じく1番人気に推され、昨年と同じくハナを切って逃げたものの、直線半ばで簡単に捕まってしまう。3コーナー過ぎからドラゴンバローズピオネロにびっしりとプレッシャーをかけられる展開は見るからに厳しく、最終的には⑦着まで沈んでしまった。

ピオネロはといえば、1頭ぶん外を回った影響もあったのだろう、並走していたドラゴンバローズをとうとう捕えきれず。馬券圏内は確保したものの、こちらも昨年より着順を落とす③着という結果に終わった。

シリウスSはハンデ戦だから、前年の好走馬が翌年も出走すれば、前年より重いハンデを課されることが多い。実際にマスクゾロは、昨年より1.5キロ重い57.5キロとなった。ピオネロが昨年と同じ56キロだったのは恵まれた感もあるが、前走のエルムSで⑦着に敗退していたことが考慮されたのだろうか。とはいえ、年齢をひとつ重ねて6歳となっており、息長く活躍する馬が多いダート路線とはいえ、衰えが気になる年齢ではある。6歳になったのはマスクゾロも同様だった。

これまでのシリウスSを振り返っても、前年の好走馬が着順を落とすケースは目立っていた。08年②着のワンダースピードは09年⑤着。また11年から13年にかけては、10年①着のキングスエンブレムが11年②着、11年①着のヤマニンキングリーが12年②着、12年①着のナイスミーチューが13年②着と、3年連続して前年の勝ち馬が②着となったこともあった。

さらには、13年①着のケイアイレオーネと同③着のグランドシチーが14年にそれぞれ⑤着と⑥着となり、14年②着のナムラビクターと同③着のトウシンイーグルも15年に各々③着と⑤着と、前年の好走馬が着順を落とす例は枚挙にいとまがない。来年以降も同様のシチュエーションが現れることは十分に予想できるので、気をつけたいところだ。

にしても、ここでメイショウスミトモが激変してくるとは。それを予想できなかったが多かったのは11番人気という数字が示す通りで、にとっても思いも寄らないことだった。

しかし、偶然の激走と片付けては進歩がない。後づけだったとしても、その理由を考えることに決して損はない。実際、が思いつく限り、少なくとも3つのファクターからメイショウスミトモの激走を説明できる。

まずはハンデ、斤量だ。過去10年のシリウスSでは斤量減の馬が7勝を挙げていたのに対して、斤量増の馬は1勝、同斤量の馬も2勝にとどまっていた。前走より軽くなった馬に有利な、ハンデ戦らしい傾向といえる。メイショウスミトモは前走より2キロ減のハンデ55キロで、好走パターンにしっかりと当てはまっていた。

ハンデに関してもうひとつ。メイショウスミトモは昨年来、ハンデ戦では56キロを背負っていたのだが、近走の不振からここでは1キロ下がって55キロとなった。そして、ハンデの設定が軽くなった途端に激走するケースは意外なほど多い。斤量をマメにチェックする穴党の方であれば、近走着順を度外視しても目にとまる馬だったかもしれない。

ふたつめは時期。14年は10月5日の1000万下、15年は9月6日の釧路湿原特別、16年も9月17日のラジオ日本賞と、9月から10月にかけては3年連続して勝利を収めており、この時期を大の得意とする馬だったのだ。そして今年は9月30日に重賞で大激走を見せた。

最後に血統。近親のウイングアローは00年JCダートなどダートの2000m以上の重賞を4勝。芝で活躍したユーセイトップランも2500m以上の重賞を3勝と、長距離を得意とする血を持っていた。そして、ダートでは1800mまでしか走ったことのなかったメイショウスミトモにとって、今年のシリウスSは初めてのダート2000m戦。デビュー45戦目にしてようやく血に見合った舞台を得て、溜まりに溜まったマグマを爆発させたのだった。