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今年の2歳G1は、例年以上に予想が難しくなるかも
文/編集部(T)、写真/川井博


降り続く雨の中で開催された前週の影響が残り、さらにこの日も午後になって雨が降り始め、今年のアルテミスSは良発表ながら力のいる馬場での開催となった。

1番人気のトーセンブレスはデビュー戦の前走で出遅れたが、34秒0の上がりを繰り出して差し切るという強烈な勝ちっぷり。2番人気ラッキーライラック33秒1、3番人気ウラヌスチャーム32秒0、4番人気ラテュロス33秒9と、競馬場は違えど、前走のマイル戦で鋭い末脚を披露して勝ってきた馬が上位人気を占める形となった。

とはいえ、この4頭の前走の位置取りを見ると、ラッキーライラックラテュロス4角4番手だったのに対し、出遅れはあったもののトーセンブレス12番手ウラヌスチャーム11番手から差し切ったものだった。レースに“印象点”があるならば後者の方が高ポイントになりそうだが、今回優勝したのはラッキーライラックの方だった。

そのラッキーライラック、今回も前走と同様に好位で進め、スローペースで逃げて②着に粘ったサヤカチャンを直線半ばで捉えて押し切るという危なげないレースぶり。③着は好位のインに付けたラテュロスで、人気どころでは前走で先行していた馬が上位に入ったのに対し、トーセンブレス(⑥着)、ウラヌスチャーム(⑩着)は今回も出遅れて掲示板外に敗れた。

今回、前半600m通過は35秒4。そこで改めて人気4頭の前走を振り返ると、ラッキーライラックラテュロスは36秒4と、それなりに前半から流れていたのに対し、トーセンブレスは37秒0、ウラヌスチャームは38秒8とかなり遅いペースで入ったレースを差し切っていた馬だった。

「スローペースの中、後方から強烈な末脚で差し切った」と言われるといかにも“強そう”な印象を受ける。ところが、ただでさえスローペースになりがちな2歳重賞、さらに今回は力がいる馬場でもあり、各馬が直線まで力を温存したい状況も追い打ちをかける形になったのではないか。

実力馬が力でねじ伏せるケースも2歳重賞には多いが、今回は力があるのはもちろんのこと、スタートを決めて前に付けられることが大きなアドバンテージになる、そういうレースだったのかもしれない。

血統面に目を向けると、ラッキーライラックオルフェーヴル産駒で、これで同産駒は札幌2歳Sを制したロックディスタウンに続いてJRA重賞2勝目。10月29日現在、中央で勝ち鞍を挙げたオルフェーヴル牝馬はこの2頭だけでもある。ステイゴールドの系統はアベレージを残すよりも一発大物を出すタイプというイメージはあったが、現状はその通りの流れになっている感じだ。

ちなみに、オルフェーヴルの父ステイゴールド産駒はココロノアイがアルテミスSを制しているが、この時も渋った馬場(稍重)で先行押し切りを決めている。ロックディスタウンも北海道の洋芝で重賞を勝っているし、オルフェーヴル産駒が似た傾向を示しても不思議はないだろう。今後、力のいる馬場状態で注目する手はあるかもしれない。

一方、トーセンブレスをはじめとして3頭を送り出してきたディープインパクト産駒だが、③着のラテュロスが最高で、今年も勝利することができなかった。

“今年も”というのは、アルテミスSディープインパクト産駒にとって現状では“鬼門”といえるレースだから。今年、東京芝1600mの重賞は8つ(東京新聞杯クイーンCNHKマイルCヴィクトリアマイル安田記念サウジアラビアRC富士SアルテミスS)行われたが、この中で同産駒がまだ勝っていないのはアルテミスSのみ。これまで延べ10頭が出走して、②着(12年アユサン、16年フローレスマジック)が最高となっている。

まあ、まだサンプル数が多くないし、同じく未勝利だったサウジアラビアRCを今年ダノンプレミアムが制しているから、時間の問題かもしれないが……。少し気になるところだ。

改めて今後の2歳戦線について考えてみると、先週、今週と週末の台風の影響で東京、京都の芝の状態が一気に悪化していて、今後行われる重賞もその影響を受けた馬場で行われることになりそう。そんな中で結果を残してきた馬が、G1が3つ行われる中山&阪神開催に替わってどうなるか、今年の2歳戦線はその点が大きなポイントになるのではないか。

年末の大一番では秋の重賞で好走した馬がそのまま好成績を残すのか、それとも敗れた馬がひっくり返すのか。暮れのG1がコンディションの良い馬場で行われるとしたら、例年以上に予想が難しくなりそう!?