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3歳牡馬が古馬相手にようやく一矢を報いた
文/出川塁、写真/稲葉訓也


菊花賞ウィークの先週、台風21号の影響で稀に見る極悪馬場となった京都競馬場。今週末も台風22号の接近によって天気が崩れ、秋の京都は開幕週から4週続けて道悪含みの馬場となった。なんとも空模様が恨めしい。

28日土曜の芝コースは稍重でスタート。最初に行なわれる第2Rの2歳未勝利でなにより気になったのは、ジョッキーたちのコース選択だった。果たしてどうなるものかと注視していると、それほど内ラチ沿いを空けることもなく、普通に走っている。芝1400mの勝ち時計は1分24秒3。稍重としても若干遅めではあるが、先週のことがあるだけに最初は慎重にもなるだろう。少なくとも先週ほどの極端な馬場ではないようだ。

しかし、雨はその後も降り続き、馬場にも変化が生じはじめる。第5Rの新馬戦では、直線でインコースを通った馬がまったく伸びない。第7Rの500万下でも、セーフティーリードを築いたかに見えた逃げ馬が最後に失速して③着まで落ちた。馬場状態が重となった第9Rの萩S、第10Rの八坂Sはいずれも少頭数ながら、大半の馬が直線で外に持ち出していた。

今年のスワンSは、そんな状況で行なわれることとなった。人気を集めたのは、スプリンターズS帰りとなるレッツゴードンキセイウンコウセイの両G1馬。そこに、500万下から準オープンまで3連勝を決めて急上昇中の3歳馬サングレーザーが割って入って2番人気に推される。あとは3歳牝馬のカラクレナイジューヌエコールに、今年オープン2勝のダノンメジャーといったあたりが上位人気を構成した。

レースではトウショウピストがハナを切り、2番手にダノンメジャーが続くのは予想されたかたち。セイウンコウセイも先行集団に加わりかけたが、結局は控えて中団の7、8番手あたりまで下げた。同じような位置に、2番枠から枠なりに走ったレッツゴードンキカラクレナイジューヌエコールが続き、さらに後ろからサングレーザーといった並びになった。

向こう正面で隊列が決まったあとは目立った馬順の入れ替わりもなく、そのまま外回りの3、4コーナーへ。ただし、内ラチから2、3頭ほどは空いている。午前中に比べて馬場が悪化している様子が見てとれた。

となると、直線では馬場がいい外から差し馬が伸びてくるのか。しかし、その気配はまったくない。むしろ、脚色がいいのは馬群の内側にいる馬だ。もちろん、内側といっても馬場の3分どころあたりの話だが、前で粘るトウショウピストダノンメジャーに襲いかかるのは白帽や黒帽、つまりは内枠の馬ばかりだ。

残り2ハロンを切って先頭に躍り出たのは12番人気の穴馬ヒルノデイバローに、内からピッタリとサングレーザーが馬体を併せてゴール板へとなだれこむ。この雨中の叩き合いをアタマ差で制したのは、3歳の上がり馬サングレーザーだった。そして、レッツゴードンキビップライブリーをなんとかかわして3番手を確保。それにしても、全馬がインコースを避けて走りながら、上から順に馬番3番、4番、2番、1番の馬が独占するのだからややこしいレースではあった。

気がかりなのは、⑭着に沈んだセイウンコウセイだ。過去に[2.1.0.0]の京都、同じく[2.0.0.0]だった芝1400m以下の道悪と得意条件が揃ったにもかかわらず、スプリンターズSに続くふた桁着順の大敗を喫してしまった。ここ2走、いずれもマイナス4キロと馬体を減らしており、本調子ではないのだろうか。ともかく立て直しは急務だ。

なお、サングレーザー今年初めて古馬混合重賞を制した3歳牡馬となった。スワンS前の時点で、今年の古馬混合重賞に出走した3歳牡馬は[0.0.0.20]という厳しい結果に終わっていた。函館記念で1番人気⑥着のサトノアレス、キーンランドCで1番人気⑥着のモンドキャンノ、京成杯AHで3番人気⑪着のボンセルヴィーソ、富士Sで2番人気⑤着のペルシアンナイトなど、2歳から3歳春にかけてのG1で実績を残した馬たちがことごとく古馬に通用しなかった。

そんななかでようやく一矢を報いたのが、G1出走歴のないサングレーザーだった。先週の菊花賞を制したキセキも、春のG1には出走していない。天気の行方も気にはなるが、今後行なわれる秋の重賞において、この流れは覚えておいたほうがいいはずだとは考えている。