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鮮やかな差し切りを決め、2歳王者の最有力候補へと浮上
文/浅田知広、写真/稲葉訓也


毎年のようにいくつかの変更が加えられているJRAの重賞戦線だが、来年は、5月末に行われる芝1200mの葵Sが重賞に昇格。短距離馬でも以前と比べれば、ずいぶんレース選択の幅が広がってきたものだ。

一方で、2歳はどんどん距離を延ばし、中距離戦の格を上げる方向だが、そんな中、80年代からかたくなに(?)1400mの距離を守り続けているのが、この京王杯2歳Sだ。昨年は、勝ったモンドキャンノが朝日杯FSで②着、②着レーヌミノルは桜花賞馬と、マイルG1で好走。さらに③④着のディバインコード(橘S①着)、コウソクストレート(ファルコンS①着)も活躍と、なかなかレベルの高い一戦だった。

ただ、このレースの時点では、1200mや1400mでの実績馬が出走馬の多くを占める。今年も、断然人気のタワーオブロンドンは1400mのききょうSを勝ってきた馬。続く2番人気のタイセイプライドは1400mで連勝、そして4、5番人気のアサクサゲンキカシアスは、1200mの小倉・函館2歳チャンピオンだ。

こんなメンバーを見ると、暮れのクリスマスローズS(1200m)あたりを重賞にすれば、13年のネロ(京阪杯①着)-シゲルカガ(北海道スプリントC①着)ワンツーのような……。いや、長くなるのでやめておこう。ともあれ、翌週のデイリー杯2歳S(1600m)とは少し違うメンバー構成で行われ、そして現時点では「マイルに延びてどうか」とも想像しつつ、各馬をチェックしたい一戦だ。

さて、レースは1200m組のアサクサゲンキカシアスが行く展開も考えられたが、じんわりハナを切ったのはタイセイプライドで、1200m組は2、3番手。そして注目、タワーオブロンドンも、ここ2戦のひと息だった出脚とは逆に、ポンと好スタートと言えるくらいの発馬から、中団に控える形になった。そのタワーオブロンドンの直後の外に、上位人気では唯一の1600m組・エントシャイデン(3番人気)。こちらは新馬同様、遅れ気味のスタートからこの位置になった。

タワーオブロンドンが内で少し掛かり気味になるなどペースは遅そうで、実際に前半3ハロンは36秒0。先週日曜とは一転、良馬場になった東京の1400mでは明らかに遅い流れとなった。

そして4コーナー、後方の外からエントシャイデンあたりも動いていったが、それとほぼ時を同じくして、前ではタイセイプライドの外にアサクサゲンキが進出。切れ味比べでは分が悪そうな2頭だけに、早めに勝負を仕掛けた形で、これを追っていったカシアスも同様だろう。

そして、そのすぐ後ろに迫っていたのが、断然人気のタワーオブロンドンだ。札幌で2戦、そして前走の阪神はハイペースと、こちらも東京のスローでどんな脚を使えるかは未知数。楽勝だった前走と違い、残り400mで早くも手が動きはじめていた。

そんな「ちょっとモタついているかな」と見えたのもつかの間のこと。坂を上がると、内で競り合っていたカシアスアサクサゲンキを交わし、鮮やかに2馬身突き抜けた。残り600mから11秒2-11秒1のラップでは、さすがに簡単には差が詰まらなかったものの、最後に前の脚色が少し鈍ったところで一気の差し切り。自身の上がりは33秒2を記録した。

このレースで豪快な差し切りを決めた11年のレオアクティブが33秒6、昨年のモンドキャンノが33秒7。この2頭は次走、朝日杯FSで③着、②着だったことを考えると、33秒2のタワーオブロンドン2歳王者に……、という単純な話でもなかろうが、最有力候補へと浮上したのは間違いない。

父レイヴンズパスゴーンウエストの系統だが、マイル路線で活躍し、最後は10ハロンのBCクラシックも制した馬。そして母の父は凱旋門賞馬ダラカニで、祖母の父はお馴染みサドラーズウェルズ。また、母の叔父には英愛ダービーなどを制したジェネラスもおり、血統だけ見れば1400mに出てきたのが不思議なくらいだ。

しかし、ルメール騎手のコメントによれば「体はスプリンター」。今回のレースぶりから気性面も中距離でどうかは微妙だが、同世代同士のマイル戦なら大きな問題はないだろう。将来的には、前走1200m組の②③着馬、カシアスアサクサゲンキとともに、スプリント路線を盛り上げる存在になっている可能性もありそうだ。