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M.デムーロ騎手とハーツクライ産駒のジンクスを破る日が来るか?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


直線でのレースぶりは、まるでVTRを見ているかのようだった。今年2月の共同通信杯に出走したスワーヴリチャードは、中団のインで折り合いを付け、直線に入って手応え良く進出すると、残り300mを切ってから先頭に躍り出て快勝した。あの時と距離や枠番や騎乗していたジョッキーは違ったけれど、大きく追わずに2馬身半差を付けたのは同じ。今回は古馬相手のハンデ戦で、同様のパフォーマンスを見せた。

スワーヴリチャードは単勝2.0倍という圧倒的な支持を集めたが、やや半信半疑なところがあり、「メインレースの考え方」では印を「○」に留めた。ハーツクライ産駒だけに初の芝2500mをこなすスタミナがあって不思議ないとは思ったが、強く推すだけの裏付け(実績)がなかった。ダービーで0秒1差②着に好走したとはいえ、1000m通過が63秒2という超スローペースではスタミナを問われたとは言い難かった。

そのダービーを制したレイデオロが神戸新聞杯を快勝し、同レース②着のキセキが菊花賞を制したことでダービーを評価する向きもあったようだが、他馬の好走をもってして実力を測ることはどうも好まず、今回のレースは「○」で見守ることにした。

結果はご覧の通りの快勝で、文句の付けようがなかったわけだが……果たして今回のレース結果を高評価すべきなのかどうか、迷いが生じている。

レースタイムは2分30秒0という好時計になった。今回はそれほど強力な先行馬がいなかったのでスローの瞬発力比べになるかと思われたが、マイネルサージュが逃げ、カレンミロティックが突いたことで道中のペースが緩まなかった。1Fのラップが12秒4よりも遅くなる箇所がなく、残り5Fからは11秒8-11秒8-11秒9-11秒6-12秒1というラップになった。

アルゼンチン共和国杯での最速勝ち時計は、ルルーシュが優勝した2012年の2分29秒9で、今回の2分30秒0は、トーセンジョーダンが制した2010年と並んでの2位タイになる。次走でジャパンCを制した08年のスクリーンヒーローは2分30秒8、同じく次走のジャパンCで③着に好走した昨年のシュヴァルグランは2分33秒4でこのレースを勝っていて、時計の速さが強さに直結するとは言い切れないが、それでも速い勝ち時計は評価に値するだろう。

しかも今回のスワーヴリチャードの場合、この時計で2馬身半差(0秒4差)を付けたわけで、そのような馬はなかなかいない。過去30年のアルゼンチン共和国杯で、0秒4差以上を付けた勝った馬は4頭いるが、その中で最速の勝ち時計は14年のフェイムゲームの2分30秒5だった。

ちなみに、フェイムゲーム以外に0秒4差以上を付けて2分30秒台でアルゼンチン共和国杯を制した馬はもう1頭いて、それは中山で行われた02年に2分30秒6(0秒5差)で優勝したサンライズジェガーだ。フェイムゲームサンライズジェガーも翌年の天皇賞・春で②着に好走していて、それを考えればスワーヴリチャード天皇賞・春で好走するだけのスタミナがあるのかもしれない。

これだけの材料が揃っているのだから、高評価をためらう必要はなさそうに思う反面、冒頭で記した通り、内目の枠で内々をロスなく立ち回ったことがどうも引っ掛かるというか、高評価にブレーキをかける気持ちになってしまっている。もちろん、勝つためのベストの選択だったわけだが、今回のレースだけで底知れぬ強さを感じさせられたとまでは言い切れない気がしている。

スワーヴリチャードは過去7戦がすべてひと桁馬番で、過去3勝を馬番7番、1番、4番で挙げている。今年に入ってからの4戦は馬番1番、2番、4番、4番で、内目の枠を引き続けている。「持っている」馬なのかもしれないが、ふた桁馬番に入った時にどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、その興味も湧いてきている。

ご存知のようにハーツクライ産駒はJRAの芝G1での勝ち鞍(4勝)がすべて左回りで、右回りでは[0.14.5.65]と突き抜けられていない。そればかりか、その4勝はすべて馬番10番以内(5枠以内)で、6~8枠に入った時は[0.5.3.43]という結果が残されている。

M.デムーロ騎手はJRAの芝G1で19勝を挙げていて、そのうち12勝が6~8枠だ。しかも、東京芝でのG1・4勝はすべて6~8枠だから、この鞍上の力を持ってすれば、スワーヴリチャードハーツクライ産駒のジンクスを破る可能性も高いのかもしれない。外を回って他馬をねじ伏せる、そんなレースぶりを見られる日が訪れるだろうか。