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快挙達成の裏に厩舎の力あり?
文/編集部(M)、写真/稲葉訓也


驚くべきことに、と書いたらインカンテーションに失礼だろうか。武蔵野S7歳馬が制した。武蔵野Sで7歳以上の馬が優勝したのは99年のエムアイブラン(7歳)以来のことで、当時は東京ダート2100mで施行されていた。

武蔵野Sは、00年以降は主に東京ダート1600mで行われていて(02年は中山ダート1800m)、その17回で7歳以上の馬は[0.1.2.48]と未勝利だった。その間、6歳馬も[1.3.4.42]で、比較的若い馬が制することが多いレースだけに、今回の結果は意外だった。

今年は16頭が出走し、3~5歳馬が9頭、6歳以上の馬が7頭という組み合わせで、②~⑤着は3~5歳馬が占めた。ベテラン勢は多くが掲示板外に敗れたわけだが、そんな中で若い馬たちを抑えて①着に輝いたのが7歳のインカンテーションで、これらを考えれば今回の結果は快挙と呼ぶに相応しいのかもしれない。

確かに、先行した馬がそのまま上位を占めたので、流れが向いた面もあったろう。前半3Fは35秒1で、近4年は34秒2~34秒7という入りだったから、緩い流れではあった。しかし、良馬場で1分35秒5というタイムで走っていて、過去にはそれと似たタイムでも差しが利くケースが少なくなかったから、一概にペースだけが勝因とも言えないのではないか。

インカンテーションは2年前のフェブラリーSで②着に好走していたが、1700m以下の距離ではそれが最高成績だった(これまでの10勝を1800~2100mで挙げていた)。

ダート1600mは地方交流重賞を含めて4度走り、その走破時計と着順は、1分38秒7・④着、1分36秒4・②着、1分36秒5・⑬着、1分40秒3・②着。時計のかかる地方競馬冬場ならまだしも、時計の出やすい時期の馬場では決め手で見劣るかと思ったが、持ち時計を1秒近く短縮して、1分35秒5で押し切った。

長期休養と低迷の時期を挟みながら復活して、さらに持ち時計も更新して新たな距離で勝ち鞍を積み上げたのだから、これは立派だ。

90年以降のJRAのダート重賞で、7歳以上で2勝以上を挙げた馬は5頭いて、今回のインカンテーションで6頭目になる。3勝を挙げたのがスマートボーイブロードアピールで、2勝を挙げた馬がクワイエットデイリミットレスビッドワンダースピード、そしてインカンテーションだ。

スマートボーイブロードアピールは8歳時にも勝利を挙げていて、スマートボーイは8歳時に平安SマーチSという2勝をマークしているのだから素晴らしいが、別の角度で見ると、厩舎の力も感じさせられる。

ブロードアピールは松田国厩舎、スマートボーイは伊藤圭厩舎、クワイエットデイは松元省厩舎、リミットレスビッドは加用厩舎とそれぞれ別の厩舎だが、ワンダースピードインカンテーションはどちらも羽月厩舎だ。つまり、今回のインカンテーションの勝利によって、90年以降のJRAのダート重賞で複数の7歳以上の馬を2勝以上させた最初の厩舎が誕生したわけだ。

ちなみに、松田国厩舎は96年開業、伊藤圭厩舎は98年開業、加用厩舎は94年開業で、松元省厩舎は76年~08年の開業だった。羽月厩舎は07年開業で、今年11年目でこの記録を達成したのだから素晴らしい。ベテランホースを長く活躍させ、不調を乗り越えさせる術を持っているのかもしれず、少々気の早い話だが、7歳以上で複数のダート重賞を勝つ馬が今後も2頭、3頭と現れるのではないだろうか。

ダート戦線は芝に比べればベテランが活躍するケースが多く、インカンテーションと同年齢のコパノリッキーは今年もかしわ記念南部杯を制しているし、同じく今年7歳のサウンドトゥルーが先日のJBCクラシックを差し切った。ただ、JRAのダートG1(フェブラリーS、チャンピオンズC)の勝ち馬はいずれも6歳以下で、7歳以上の馬は勝ったことがない([0.7.6.129])。

今年はインカンテーションがマーチS、武蔵野Sと制し、コパノリッキーサウンドトゥルーが地方競馬での交流G1を勝っているわけだが、果たしてこの勢いで、チャンピオンズCを制覇する7歳以上の馬が現れるだろうか。