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「母の父」キングカメハメハ以来の勝利を挙げ、クラシックが楽しみに
文/浅田知広、写真/森鷹史


レースとしては楽しみだけど、馬券的にはなあ……、と見ていたファンも多そうな、7頭立てになった今年の東京スポーツ杯2歳S。念のため、8頭立て以下の平地重賞で、単勝1.5倍以下だった馬の成績を調べれば、今年のきさらぎ賞毎日杯でサトノアーサーが2連敗。さらに14年のこの時期、京都2歳Sでティルナノーグが⑦着、その次はちょっと離れて07年きさらぎ賞のオーシャンエイプス④着と、なんと4連敗中だった。

この条件で最後に勝ったのは、今回、単勝1.4倍の断然人気に推されたワグネリアンの「母の父」キングカメハメハで、04年の神戸新聞杯である。該当レース数が少ないとはいえ、長いこと勝っていなかったのは確か……ではあるものの、キングカメハメハの名前を見たところで「そろそろ勝ちそうかな」と結局馬券は撤退ムードである。

ともあれ。その断然人気に推されたワグネリアンは2戦2勝で、新馬戦が上がり3ハロン32秒6、野路菊Sは33秒0。新馬戦は僅差勝ちだったが、③着には5馬身差がついた上、②着ヘンリーバローズも次走で完勝。そして野路菊Sは、4コーナーで「ちょっとまずいんじゃないの」という態勢も、勢いづいてからの脚は群を抜いており、終わってみれば2馬身半差の圧勝だった。

続いて3.1倍の2番人気は、ご存じモーリスの全弟ルーカスで1戦1勝。兄はデビューから1400mを3戦したが、こちらは2戦続けて1800mという選択になった。札幌の新馬戦は、勝負どころで大外を一気に進出した走りが印象的。そこからもたつく場面も見られたが、大物感たっぷりのレースぶりだ。

続く3番人気のシャルルマーニュは、大きく離れて14.4倍。馬場だの展開だのと突っつけば各馬未知数な部分もあるとはいえ、それぞれのレース内容を見比べれば、それくらいの差がつくのも仕方ないかな、というこれまでの走りだった。

と、馬券を買う側からすればそんなレースだが、走らせるほうはレース前から白旗なんぞ上げる必要はなし。まずはその未知なるゾーンに引きずり込んでしまえ、と言わんばかりに、ハナを切ったコスモイグナーツ柴田大知騎手は600m34秒7、800m46秒5というハイペースを演出。これに人気薄のケワロスと、3番人気のシャルルマーニュがついていって、残る4頭はシャルルマーニュからでも6~7馬身、先頭からは10馬身以上は離れていった。

ワグネリアンは後方から3番手、そしてルーカスは最後方。スローペースしか経験のないこの2頭が、さて、どんな走りになるのか。このレースの行方はもちろん、クラシックへ向けて早くもいいレースを見せてもらえることになった。

などということを、画面表示の1000m通過58秒5という時計を見ながら考えていたら、あっという間に後方集団が前へと接近して4コーナーを通過。さすがにこの流れでは、よっぽど強くないかぎり先行勢は苦しい。ワグネリアンは大外に出し、その直後にルーカスも迫って直線に向いたが、ここからはほぼワグネリアンの独壇場だった。

エンジンのかかりが遅かったルーカスに対し、そこから一気に伸びたワグネリアンは前走・野路菊Sとほぼ同じような走りっぷり。この展開ゆえ自身の上がりこそ34秒6を要したものの、ライバルをぐいぐいと突き放し、②着ルーカスに3馬身差の快勝となった。

これでデビューから無傷の3連勝。中京、阪神での上がり勝負2戦に続き、関東への初輸送に加えハイペースで流れた競馬も差し切って、(自陣営と敵の双方から)与えられた課題もしっかりこなし、クラシックが楽しみになってきた。その前に、今年からG1に昇格したホープフルSでG1制覇と小回り適性を……と思ったら、次走は間隔を開けて弥生賞とのこと。少々拍子抜けした感もなきにしもあらずだが、その弥生賞でも中山コースに対応できれば、堂々最有力候補として皐月賞に参戦することになりそうだ。

一方、②着に敗れたルーカスは、デビュー戦と同じように少々もたついたのが、相手が強力になって響いた形だ。もっとも、兄だけでなく父(スクリーンヒーロー)やら祖母(メジロモントレー)やら、血統的には2歳戦より古馬になってからのタイプ。今回は運悪く強敵に当たってしまった、というくらいのもので、再戦を迎えたときにはまた違った結果も出せるような成長を期待したい。

そして少々驚いたのが③着のシャルルマーニュだ。直線入口で先行勢の中では真っ先に後続に捕まり、もうそのまま飲み込まれて終わりかと思いきや、捕まえた側だったカフジバンガードを競り落としての③着確保は立派だった。切れる脚こそ持ち合わせていない感じだが、賞金さえ加算できれば、どこかで波乱を演出してくれそうなタイプだ。