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巧みなコースどりで重賞初制覇、大舞台にチャレンジなら!?
文/出川塁、写真/稲葉訓也


今年から時期が1週繰り上がって、距離も1ハロン延びて2000mとなったチャレンジC。競馬場や格付けは変わったものの、位置づけとしては昨年までの金鯱賞と同様。つまり、天皇賞・秋菊花賞などG1帰りの馬の受け皿になると同時に、勝てば中2週で有馬記念に向かうスプリングボードともなる。暮れの阪神開催となった2012年以降、何にチャレンジするのかいまいち不明瞭なレースとなっていたが、これでようやく目標を得たかたちとなった。

もっとも、今回は天皇賞組の出走はなし。菊花賞帰りの3歳馬2頭、サトノクロニクルブレスジャーニーが人気を集め、あとはオールカマーからモンドインテロアルゼンチン共和国杯からデニムアンドルビー福島記念からジョルジュサンクマイネルミラノといった古馬が上位人気を形成した。

ゲートが開いて、まず飛び出したのはプリメラアスール。そこにマイネルミラノが競りかける様子を見せたもののあまり無理はせず、最初のゴール板を過ぎたあたりでプリメラアスールがハナに立つ。マイネルミラノは2番手に収まり、サトノクロニクルが続く。ブレスジャーニーモンドインテロは後方に控え、さらに後ろにデニムアンドルビーという隊列となった。

前半1000m通過は59秒9の平均ペース。馬順の入れ替わりはほとんどなかったが、このあたりからデニムアンドルビーが外を回ってポジションを押し上げていく。3~4コーナーの中間地点で先団の後ろに取りつき、直線を向いてからも脚色は衰えない。

そこで内から脚を伸ばしてきたのがサトノクロニクルだった。残り200mからはデニムアンドルビーと馬体を併せて、さらに外からはブレスジャーニーモンドインテロも襲い掛かってくる。ゴール前では4頭並んでの叩き合いとなった。

④着までクビ、クビ、ハナ差の大接戦となり、最終的には直線で内を走った馬から順に先着した。勝ったサトノクロニクルは人気どころではいちばん内の3番枠。道中もラチ沿いの3、4番手を走っため、ほとんど無駄な脚を使っていない。対して、デニムアンドルビーは外を回ってマクリを打ち、ブレスジャーニーモンドインテロは外から差し込んだ。このコースどりの差が勝敗を分けたとレースといってもいいだろう。

春のサトノクロニクル京都新聞杯で②着に入ったものの、ダービーは賞金順次点で除外という無念を味わった。代わりに出走した白百合Sを制し、秋はセントライト記念で③着。不良馬場の菊花賞は⑩着に敗れたものの、ここで嬉しい重賞初制覇となった。

本稿執筆時点で次走は不明だが、所属するのは有馬記念を得意とする池江泰寿厩舎。同馬主かつ同厩舎で、昨年の勝ち馬でもあるサトノダイヤモンドが回避となっただけに、この馬で一発を狙ってくるかもしれない。実際、池江厩舎には12年のオーシャンブルーという先例がある。同馬は金鯱賞①着から中2週で臨んで10番人気②着の穴をあけた。サトノクロニクルが出走してくるようなら、最低でもダークホースの資格は与えなければならない。

惜しかったのは②着のデニムアンドルビーだ。屈腱炎による1年半の休養から昨年12月に復帰し、9戦目にして初めて馬券に絡んだ。まもなく8歳を迎えようかという牝馬の力走には、胸を打たれたファンも多かったはずだ。走り続ける限りは応援したくなる1頭である。

③着のブレスジャーニーも力を見せた。2歳秋から3歳にかけての成長期に11ヵ月もの休養を余儀なくされ、しかも、復帰戦が稀に見る不良馬場となった菊花賞。あまりにも過酷なローテーションで、反動が出ても不思議のないところだと思うが、早くも好走してみせた。直線で一瞬挟まれるシーンがなければ、もっと際どいレースになっていただろう。なんといっても、東京スポーツ杯2歳Sではスワーヴリチャードを差し切ったほどの馬。完全に復調すればどこまで強いのか、今後が大いに楽しみになった。

最後にもう1頭、佐賀競馬から乗り込んできたスーパーマックスの健闘にも触れなければならない。地元では10戦10勝、今年の九州ダービーを制した佐賀の英雄が、2戦目の芝で重賞クラスの中央馬を相手に⑤着。道中の行きっぷりもよく、決して展開だけで突っ込んできたフロックではない。来年、輸送の距離が短い小倉大賞典小倉記念に出てくれば、注目しないわけにはいかないだろう。