キャリア4戦でのソツないレースぶりを褒めたい
文/編集部(M)、写真/佐々木光
今年の
中山金杯は上位人気に推された
4歳馬の争いになり、最後に
セダブリランテスが
ウインブライトを交わして優勝した。着差はクビで、タイムは1分59秒8で同じ。ただ、ハンデは、
ウインブライトが56kgで
セダブリランテスが55kgだったので、
同斤量だったら…というタラレバを言いたくなるのも仕方ないところだろう。
調べてみると、2000mの金杯を
ハンデ55kg以下の4歳馬が制したのはかなり久しぶりで、02年中山金杯の
ビッグゴールド(54kg)以来だ。この時は東京での施行で、中山開催時に限ると01年中山金杯の
カリスマサンオペラ(50kg)以来で、中山開催での男馬に限ると、なんと95年金杯(東)の
サクラローレル(55kg)以来になる。
それ以前の中山開催時でのハンデ55kg以下の4歳牡馬の優勝は、93年金杯(東)の
セキテイリュウオー(53kg)がいて、その前だと86年金杯(東)の
クシロキング(53kg)がいる。
ご存知のように
サクラローレルはその後に
G1を2勝(天皇賞・春、有馬記念)し、
クシロキングも
天皇賞・春を勝ち、
セキテイリュウオーは
天皇賞・秋で②着に2度なっている。このデータを見ると、
セダブリランテスも
前途洋々という気がしてきますね。
過去のデータを調べてみて気になるのは、
セダブリランテスが
重賞勝ち馬(ラジオNIKKEI賞)ということだろう。
サクラローレルも
セキテイリュウオーもそれまでは重賞未勝利で、
ビッグゴールドや
カリスマサンオペラも重賞での②着はあったもののタイトルはなかった。
98年の金杯(西)を55kgで制した
ミッドナイトベッド(当時4歳)も、96年の金杯(東)を55kgで勝利した
ベストタイアップ(当時4歳)も、重賞での勝ち鞍はなかった。それらを考えると、今回の
セダブリランテスの55kgというのは、
軽かったんじゃないか!?との疑問も沸いてくる。
セダブリランテスはキャリア4戦で、3戦目に
ラジオNIKKEI賞をハンデ54kgで制した。福島芝の中距離重賞をハンデ54kgで勝利したというのは
ウインブライトも同じだが、こちらは古馬相手のレース(福島記念)で、それ以前に
スプリングSを斤量56kgで勝っていた。これらのことが2頭の間に
1kgのハンデ差が生まれた要因かもしれない。
言ってみれば、
キャリアの浅さが
セダブリランテスのハンデ55kgにつながったと考えられるだろう。同週に行われた3歳重賞のフェアリーSを制した
プリモシーンとシンザン記念を勝利した
アーモンドアイはキャリア2戦で、レースの経験値では
セダブリランテスもあまり大差はない。今回の勝利は、
セダブリランテスの軽斤量に注目するよりも、
キャリア4戦でもソツなく立ち回ったそのレースぶりを褒めるべきという気がしてくる。
セダブリランテスは前走のアルゼンチン共和国杯で③着に敗れ、同世代のスワーヴリチャードに決定的な差を付けられたが、逆に、今回の勝利によって、
適性がはっきりとしたとも言えそうだ。
1800~2000mでは4戦4勝で、敗れたのは2500m。また、馬体重が
520kg台だと4戦4勝で、アルゼンチン共和国杯の時は4ヵ月の休み明けながら馬体重が10kg減の514kgだった。大型馬で斤量泣きするタイプとも考えづらいから、今後、
中距離路線でさらなる高みを目指せるのではないか。
それにしても、昨秋以降の重賞での
現4歳世代の勢いは本当に素晴らしい。昨年10月以降では、古馬混合のJRA平地重賞が25回行われ、
現4歳世代がトップの9勝を挙げている。現5歳世代が4勝、現6歳世代が6勝、現7歳世代が4勝、現8歳世代が2勝で、勝率でも
現4歳世代が抜けた1位だ。
昨年の
大阪杯と
天皇賞・秋はキタサンブラックが制し、
宝塚記念はサトノクラウンが優勝した。キタサンブラックが種牡馬入りした今年、
中距離G1の主役を張るのは4歳馬、ということになっても不思議はなさそうだ。