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文句なしに桜花賞候補の走りだった
文/浅田知広、写真/川井博


出走馬から昨年は、アルアイン(皐月賞)、ペルシアンナイト(マイルCS)という2頭のG1馬を輩出したシンザン記念。一昨年には桜花賞馬ジュエラーも出ており、クラシックへ向け注目の一戦だ。もっとも、アルアイン、ペルシアンナイトはこのレース⑥③着で、ジュエラーも②着。過去にはオルフェーヴルやダイワスカーレットが②着に敗退しており、なんだかんだ後からみれば活躍馬が「出走していた」ということも多い。

まあ勝つにせよ負けるにせよ、クラシック1冠目の桜花賞と同距離ということもあり、特に牝馬にとってはひとつ足がかりになる位置づけなのは間違いない。今年も1番人気に推されたのはその牝馬アーモンドアイ、関東馬である。3歳マイル重賞なら前日の中山に牝馬限定・フェアリーSがあったが、登録はこちら1本。脚質(というか出遅れ癖)も含め、広い京都外回りに照準を定めてきた形だろうか。その母は、エリザベス女王杯などを制したフサイチパンドラだ。

ほかにも牝馬は3頭が出走し、5番人気のスターリーステージは、14年にここを制してNHKマイルC優勝に繋げたミッキーアイルの全妹。そして、6番人気のプリュスはヨーロッパの名牝・サラフィナの産駒。さらに7番人気のツヅミモンは、カタマチボタンタヤスブルームと、この時期の重賞で好走した馬を母と祖母に持つ。この牝馬4頭、すべて1勝馬だが、いずれにしても、ここを勝つようなら桜花賞が楽しみになる。

一方で、アーモンドアイに続く2~4番人気を占めたのは牡馬勢だった。2番人気はやはり関東馬のファストアプローチで、中山2000mの芙蓉Sでも②着があるが、次週の京成杯ではなくこちらを選択。そして東スポ杯で勝ち馬(ワグネリアン)以外とは差のない④着だったカフジバンガードに、函館の2歳王者カシアス。こちらの上位人気はオープン・重賞の好走実績馬ばかりで、新馬・未勝利を勝ったばかりの牝馬4頭とは対照的な構成になった。

そんなメンバーでゲートが開くと、まず目についたのは1番人気アーモンドアイ大きな出遅れ。そして集団からやや取り残されていたのが2番人気のファストアプローチに、3番人気のカフジバンガード。いや、確かにアーモンドアイはそのあたりも見越してのレース選択だったかもしれないが、ここまで人気馬が揃って遅れるとは。アーモンドアイのゲートに不安を感じ、もしファストアプローチカフジバンガードから買っていようものなら、頭を抱えたくなるような事態だろう。

レースはカシアスの先導で、800m通過が49秒0、1000mは61秒8。雨が降る中(稍重)でペース判断は難しかったが、少なくとも各馬の走りを見るかぎりはスロー。その分、出遅れた人気勢も極端に大きく遅れることなく追走しており、あとは湿った馬場でどれだけの末脚を繰り出せるかという勝負だ。

直線に向くと、そのカシアスに2番手からツヅミモンが並びかけ、後続とは2~3馬身差。人気どころはファストアプローチが最初から内、カフジバンガードは中が詰まり気味で直線半ばから内に切り替え、それぞれまずまずの脚は見せていた。

しかし、この2頭など後から見直さないと気づかないくらい、外から際立つ末脚を繰り出したのが1番人気アーモンドアイだった。内でカシアスツヅミモンが激しい追い比べを演じる中、大外から末脚一閃。また、年明け絶好調の鞍上・戸崎圭太騎手が先頭に立つ前からもう余裕十分のアクションで、これは楽々突き抜けるだろう、という見た目通りに、1馬身4分の3差の快勝劇だ。

冒頭の「勝つにせよ負けるにせよ」というのはなんとも失礼な話で、これは文句なしに桜花賞候補の走り。阪神JFではデビュー2連勝馬が①~③着を独占したが(勝ったラッキーライラックは無傷の3連勝に)、そんなメンバーに入っても好勝負を予感させる圧勝ぶりである。

もちろん時計面では、今回稍重で1分37秒台、良馬場の前走でも1分35秒1と、まだまだ詰めなければ勝負にはならない。そして、これでデビューから3連続となった出遅れも、多頭数のクラシックでは課題になる。ただ、能力を出し切った走りは見せておらず、本来の力はまだまだ上という可能性も十分にあるだろう。

母フサイチパンドラは牝馬三冠を勝てず、終わったあとに古馬相手のエリザベス女王杯を7番人気で制した馬だった。しかしアーモンドアイは、父ロードカナロアという血統からも、まずは1冠目が勝負。そこへ向け課題を克服してどれだけ上積みがあるのか、しっかりと見極めたい。