おあつらえ向きのペースとなり、フェブラリーS好走の条件も揃った?
文/編集部(M)、写真/川井博
ベストウォーリアが取り消したことで、今回、
斤量58kgを背負うのは
ノンコノユメだけになった。その上、ダート1400mが初出走だったのも
ノンコノユメだけ。初距離で他馬よりも重い斤量を背負い、
忙しいことになるのではないか?と危惧したが、あにはからんや、
追い込み馬にとっておあつらえ向きのペースとなった。
サイタスリーレッドがハナを切り、前半3Fは
33秒9というハイペースになった。ダート1200mでも前半3Fが33秒台なら速い流れと言えるだろうし、実際、同日の京都メイン・
シルクロードSは前半3Fが34秒0だった。芝1200m重賞よりも速い流れになれば、当然、
後方追走馬の差し脚が活きてくる。
それでも、先に仕掛けた
サンライズノヴァは末脚のしっかりしたタイプで、
ノンコノユメとは2kgの斤量差があったので、
サンライズノヴァが押し切るかと思われた。ところが、最後の最後まで
ノンコノユメと
内田騎手は諦めず、ゴール直前でハナ差だけ交わした。
ノンコノユメは3歳秋に
武蔵野Sを斤量58kgで制し、非常に驚いたことを覚えているが、その時と似た形での差し切りで、実に
2年2ヶ月ぶりの勝ち鞍となった。
ご存知のように
ノンコノユメは4歳夏までに[6.4.1.2]と活躍し、
ジャパンダートダービーを快勝したほか、
フェブラリーSや
チャンピオンズC、
帝王賞でも②着に入り、ダートG1戦線の主役の1頭だった。
ところが、4歳秋に
去勢されて戻ると、伸びきれないレースが続くようになった。4歳秋以降の成績は④⑥④⑦④⑨着で、馬券圏内に入れない日々が続いた。
実際のところ、去勢されたこととレースでのパフォーマンスにどれだけの関係があるのかは定かではない。ただ、3歳秋に
武蔵野Sを制した時(452kg)を含めて、3歳秋以降の4連対は
452~454kgだったから、430~440kg台というのは体重が戻りきっていなかったのではないか。今回は10kg増の
456kgで、レースでの馬体重が452kgを超えたのは、4歳夏の
帝王賞(②着、453kg)以来のことだった。
本調子を取り戻したとなれば、
ノンコノユメは
フェブラリーSでも注目の存在となるのだろう。
根岸Sは
フェブラリーSの前哨戦だが、距離が200m違い、道悪馬場となれば求められる資質も違ってきそうな印象がある。しかし、調べてみると意外にそうでもなく、濃い関係性がある。
根岸Sが1~2月の開催となった01年以降、
道悪馬場となったことは今年を入れて6度あり、過去5度の優勝馬のうち、次走で
フェブラリーSを走った4頭は次のような成績を残している。
【1~2月の根岸S(道悪馬場)を勝ち、次走がフェブラリーSだった馬】
年 |
根岸S勝ち馬 |
フェブラリーS |
2001年 |
ノボトゥルー |
5番人気①着 |
2008年 |
ワイルドワンダー |
3番人気③着 |
2009年 |
フェラーリピサ |
4番人気⑤着 |
2016年 |
モーニン |
2番人気①着 |
モーニンが制した2016年は
フェブラリーSも重馬場でレコード決着となったが、
ノボトゥルーや
ワイルドワンダーが好走した2年は良馬場で、たとえ馬場が湿らなくても好走する馬が出ている。脚抜き良い馬場になろうが乾いた馬場になろうが、道悪の
根岸Sを制した馬は
フェブラリーSで要注意ということだ。
今回、
ノンコノユメが計時した上がり3Fは34秒2で、これは
メンバー中最速だったが、このようなタイプの根岸S勝ち馬も、次走の
フェブラリーSで好走するケースが多い。
【1~2月の根岸Sをメンバー中最速の上がりで勝ち、次走がフェブラリーSだった馬】
年 |
根岸S勝ち馬 |
フェブラリーS |
2005年 |
メイショウボーラー |
1番人気①着 |
2008年 |
ワイルドワンダー |
3番人気③着 |
2011年 |
セイクリムズン |
2番人気⑭着 |
2012年 |
シルクフォーチュン |
4番人気②着 |
2017年 |
カフジテイク |
1番人気③着 |
連勝したのは
メイショウボーラーだけではあるが、5頭中4頭が馬券圏内に入っている。これらを見ても、
ノンコノユメはこのまま無事に行けば、
フェブラリーSで注目を集めて然るべき存在だろう。
過去の
根岸Sと
フェブラリーSの関係性を見ていて、なんとも惜しく感じるのが②着となった
サンライズノヴァのハナ差だ。
根岸Sが
1番人気だった馬は、次走で
フェブラリーSを走った馬が11頭いて、次のような結果が残されている。
【根岸Sが1番人気で、次走がフェブラリーSだった馬】
根岸Sでの着順 |
フェブラリーS |
根岸Sで①着 |
[2.0.2.0] |
根岸Sで②着以下 |
[0.0.0.7] |
根岸Sでの
1番人気馬は、その着順によって
フェブラリーSでの明暗が分かれてしまっている。レース前にこのデータを知っていたので、
サンライズノヴァがどんな着順になるかと思っていたが、まさかあれだけの微差になるとは思わなかった。
正直なところ、今回の
根岸Sは
勝ち馬が2頭いたと言っても過言ではないと思っている。それだけに上記のデータがそのまま当てはまるとは思えないが……。
サンライズノヴァはフェブラリーS出走には賞金的に微妙なようだが……果たしてどうなるだろうか。