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外枠の1番人気馬受難の歴史が再び…
文/編集部(M)、写真/川井博


歴史は繰り返される……そんな思いのする今年の共同通信杯だった。

共同通信杯で初めて印(◎◯▲)を発表したのは2年前(2016年)。稍重馬場ではあったが10頭立てという少頭数で、“やや流される”と言ったら語弊があるかもしれないが、圧倒的な支持(単勝1.9倍)も見て、ハートレーに「◎」を打ってしまった。

あの時のハートレーは2戦2勝で、前走のホープフルSを快勝し、その時の鞍上・ボウマン騎手にも絶賛されていた。芝1800mが初めてではあったものの東京での勝利経験もあり(デビュー勝ちが東京芝2000mだった)、さしたる不安は感じていなかったが、直線で伸びが見られず⑨着に敗れた。

2年前のハートレーも8枠(10番)での敗戦で、荒れた内目を回りながら差し切ったディーマジェスティ6番人気だった。

今年、1番人気に推されたのは芝2000mで2戦2勝だったグレイルで、最終的には単勝1.8倍の支持を集めた。ハートレーが東京での出走歴があったのに対して、グレイルの過去2戦は京都で、左回りが初。しかも、直線に坂のあるコースも初めてで、ふた桁馬番(8枠12番)になるのも初だった。

グレイルは、「メインレースの考え方」で記した3つの好走共通項にもあまり当てはまらず、印を回すかどうか迷った。単勝1倍台の馬をスルーするのはそれなりに勇気がいると言えばいるが、過去傾向で分析すると、どうしても不安な点が多く目に付いた。

過去10年の共同通信杯で1番人気馬は[2.2.2.4]という成績だったが、前走が1800m以下だった馬が[2.2.1.0]だったのに対して、前走が2000mだった馬は[0.0.1.4]

また、過去30年でふた桁馬番だった1番人気馬は5頭いたが、勝ったのは97年のメジロブライトだけで、99年以降の該当馬4頭はいずれも⑤着以下に敗れていた。97年のメジロブライトは単勝1.6倍だったが、99年以降の4頭中3頭も単勝1倍台だったから、支持の厚さ着順に関係性は見られなかった。

99年以降にふた桁馬番で1番人気に推されて⑤着以下に敗れた4頭は、そのうち3頭が前走2000mで、1頭が前走1600mだった。前走が1800mではなかったことも関係しているのかもしれないが、いずれにしても、来年以降も1番人気馬が外枠に入ったら、単勝オッズに惑わされずに評価を下すようにしましょう。

最終的にグレイルには印を回さず、「▲」にしたのがオウケンムーンだった。オウケンムーンは33秒台の上がりで連対したことがなかったが、過去3戦の上がりはすべてメンバー中最速で、今回唯一の父グレイソヴリン系だった。父グレイソヴリン系の馬はこのレースで[2.4.2.13](複勝率38.1%)と好走率が高かった。

グレイソヴリン系で共同通信杯を制したのは07年のフサイチホウオーが最後だったので(父サンデー系が8連勝中だった)、正直なところ、オウケンムーンについては突き抜けるまではどうか?と思っていたが、例えば昨年の勝ち馬スワーヴリチャードハーツクライ産駒で、父の母父がトニービングレイソヴリン系のクロスを持っていたし、4年前の勝ち馬イスラボニータは母父グレイソヴリン系(Cozzene)だ。3年前の②着馬ドゥラメンテも祖母エアグルーヴの父がトニービンで、グレイソヴリン系を持つ馬との好相性ぶりが感じられていた。

ついでに言えば、2年前の勝ち馬ディーマジェスティと5年前の勝ち馬メイケイペガスターは母父がブライアンズタイムで、共同通信杯はグレイソヴリン系とかロベルト系を持つ馬の好走が目立っている。冬場の荒れ馬場と関係があるのだろう。グレイルハーツクライ産駒で、ロベルト系も持っていたが、それらの系統を持ちつつ内を回れるタイプにいちばん向くレースなのだろう。

グレイルやその他の差し型については、ペースや隊列が向かなかった面もあるだろう。コスモイグナーツの逃げが予想され、その通りになったものの、ペースはそこまで上がらなかった。1000m通過が60秒2で、コスモイグナーツの前走・京成杯59秒7、2走前・東スポ杯2歳S58秒5だったから、それらよりも緩く流れた。さらに、2~3番手の馬があまり詰めずに走り、隊列が縦長になった。コスモイグナーツが逃げて縦長の隊列になったことで、ペースを測りかねる部分もあったのではないか。

勝ったオウケンムーンは上がり33秒5を計時し、②着のサトノソルタスは上がり33秒3で追い込んできた。④着のゴーフォザサミットは前走(33秒6)よりも速い上がり(33秒2)を使い、グレイルの上がり(33秒9)も前走(34秒0)より速いものだった。上がりだけを見れば、グレイル自身の脚を使っていたとも言えるので、⑦着とはいえ、そこまで悲観する内容ではないと思う。

ちなみに、2番人気のステイフーリッシュは⑩着に敗れたが、こちらの上がりは34秒1。中5週の臨戦だったが、馬体重が12kg減(438kg)と減り、パドックでもテンションが高そうだったから、少なからずその影響があったのではないか。

優勝したオウケンムーンオウケンブルースリの産駒で、地味な血統と書かれるケースも目にするが、近親に大阪杯や中京記念を勝ったタガノマイバッハや青葉賞勝ち馬のトキオエクセレントがいて、牝系にも筋が通っている。

オウケンブルースリは母父(Silver Deputy)と母母父(Northern Jove)がノーザンダンサー系で、父の母父(ヌレイエフ)もノーザンダンサー系だが、オウケンムーンの母ムーンフェイズも父(エリシオ)と母父(ストームバード)がノーザンダンサー系で、オウケンムーンの5代血統表にはノーザンダンサー系が5本も入っている。

道悪馬場荒れ馬場はまったく苦にしなさそうな血統をしていて、それでいて今回、33秒5という速い上がりで差し切ったのだから、そのことは忘れないようにしたい。

オウケンムーンはこの後、皐月賞に直行するようだ。過去30年で共同通信杯勝ち馬が皐月賞に直行したケースは12回あり、[3.0.2.7]という成績で、ゴールドシップ、イスラボニータ、ディーマジェスティが連勝している。

共同通信杯勝ちから皐月賞に直行した12頭は、皐月賞でプラス体重だと[0.0.0.3]で、同体重かマイナス体重だった馬が[3.0.2.4]となっている。共同通信杯の時と同じ馬体重だった馬が[2.0.1.0]なので、オウケンムーンは10kg減(458kg)だった今回から2ヶ月後にどんな馬体重で出てくるだろうか。