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歴史に新たな1ページを書き加える勝利、果たして大一番では!?
文/浅田知広、写真/森鷹史


年明け最初のG1・フェブラリーSが終わり、中山・阪神開催が開幕すると、いよいよ春のG1シーズンも間近、という雰囲気になってくる。この阪急杯は、春最初のG1・高松宮記念へ向けた一戦だ。

その高松宮記念で昨年③着だったのがレッドファルクススプリンターズS2連覇の実績は文句なし、その間に③着だった高松宮記念安田記念は、7歳という年齢からも、この春ぜひ獲っておきたいタイトルになる。今回は58キロを背負うが、実績からも当然1番人気……、かと思いきや、1番人気に推されたのはモズアスコットだった。

前走、重賞初挑戦の阪神Cでは1番人気④着で、連勝は4でストップ。こういうタイプは、次に人気になることもあれば、まったく人気を落とすこともあるものだが、今回のモズアスコットは前者。レッドファルクス同様にC.デムーロ騎手からの乗り替わりだったが、2戦2勝ルメール騎手に手綱が戻った形。

一方、レッドファルクスは、G1勝ちに導いたM.デムーロ騎手が前走からペルシアンナイト(今週は中山記念に出走)の手綱を取っており、今回は久々(2度目)の騎乗になる川田騎手、といった配置も人気に影響しただろうか。いずれにしても、レース前は2頭の一騎打ちムードという雰囲気だった。

そんなレースでハナを切ったのはまず11番人気のニシノラッシュだったが、これを外からじんわり交わしていったのが7番人気のダイアナヘイロー。これに8番人気のアポロノシンザンなど、前につけたのは穴っぽい馬たち。4番人気のディバインコード、3番人気のカラクレナイは中団あたり、そして人気のモズアスコットレッドファルクスは後方追走となった。

前半の600m通過は34秒2で、良馬場の近3回すべて33秒8だったのに比べれば少し遅め。とはいえ短距離戦、道中で緩むこともなく4コーナーへと向かっていった。そして直線、先頭のダイアナヘイローが快調に逃げ、その後ろではニシノラッシュや、一瞬は14番人気マイネルバールマン(⑦着)が来るのかという態勢を作るなど、穴馬勢が大混戦。対してモズアスコットレッドファルクスはまだ後方で、これは馬券がハズレても笑っちゃうような結果になるのか、という期待(?)も膨らんだ。

そんなレースの最後に待ち受けるのはゴール前の坂。これを利してラスト1ハロンで大外から人気2頭が一気に脚を伸ばす一方で、その前には何頭もの穴馬がずらり。ゴールするまで荒れるのか堅く収まるのかすらわからない競馬になったが、終わってみれば上位3頭同タイム、⑭着(ミッキーラブソング)まで0秒5差というハンデ戦かという大混戦に。

モズアスコットレッドファルクスが穴馬を次々と交わしていったが、最後に残ったダイアナヘイローだけは捕らえられずにゴールイン。ハナを切ったダイアナヘイローだけがこの2頭の追撃を振り切って、勝利を手中に収めたのだった。

昨夏には北九州記念を制したダイアナヘイロー。続くスプリンターズSは⑮着で連勝が4で止まり、前走のシルクロードSで1番人気、というところまでは今回のモズアスコットと似たパターン。ただ、そこで⑯着大敗を喫し、今回は7番人気まで人気を落としての参戦だった。

しかし、ここは今月末で定年を迎える福島信晴調教師が送り出す、最後の重賞出走馬。今週はすでに土曜の阪神6Rでナムラシンウチ、そしてこの日の阪神8Rのナムラヘラクレスと2勝を挙げ、さらにダイアナヘイローで重賞タイトルをひとつ重ねて、最高の幕引きになったと言えるだろう。

阪急杯は00年から現在の時期になったが、2月末になるか3月のアタマになるかは日程次第。2月末に行われるのは14回目で、06年には松永幹夫現調教師が騎手引退の日にブルーショットガンで優勝(最終レースも制してJRA通算1400勝を達成)。07年には、引退する湯浅三郎調教師がエイシンドーバーで優勝した例がある。そんな歴史に新たな1ページを書き加える、今回のダイアナヘイロー福島信晴調教師の勝利となった。

そのダイアナヘイローは、厩舎こそ変わってももちろん目標は変わらず、次は優先出走権を獲得した高松宮記念になるはず。ステイゴールドやサッカーボーイと同牝系、そして父がキングヘイローとくればどうしても気分次第。しかし前々走と前走で、マイナス方向のものはとりあえず消化した、とも考えられる。

中京過去2戦、上位人気で④⑦着。そして今回の競馬も見ると直線が伸びれば……、とも思ってしまいがちだが、乗ってくればファンが思っている以上の力も出し得るのがこのタイプ。なにより父も産駒(ローレルゲレイロ)も勝っているレースだけに、大一番でそんな血統のプラス面を爆発させる可能性も十分にあるだろう。