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ラッキーライラックは無傷のまま桜花賞を通過できるか!?
文/出川塁、写真/森鷹史


桜花賞トライアルに指定されている3レースで最初に行なわれるのは、本番と同条件のチューリップ賞。もっとも重要とされるレースが最初に来る順番はもったいない感じもするのだが、今年も阪神JFの上位3頭が勢揃いする大事な一戦となった。

この3頭が集めた人気は、阪神JFの着順通り。ただし、ラッキーライラックが1.8倍の1番人気、リリーノーブルが2.9倍の2番人気だったのに対して、マウレアは7.7倍の3番人気という並びだから、実質的には一騎打ちムードといってもよかったかもしれない。

レースは、最後の枠入れとなったサラキアが立ち上がりかけたところでゲートが開き、1頭大きく出遅れてのスタートとなった。前ではカレンシリエージョサヤカチャンが競り合って、最終的に外のサヤカチャンがハナを奪い切る。スタート直後はこの2頭に挟まれるような位置にいたラッキーライラックは、そこから控えて単独の3番手に陣取った。

前半通過は600mが35秒4、1000mが59秒5。10頭立ての少頭数となった3歳牝馬限定戦にしては、それなりに流れたといってよさそうだ。勝負どころの3~4コーナーでは、ラッキーライラックの直後にリリーノーブルマウレアが続き、展開の有利不利はなし。あとは力の勝負となった。

もっとも、力の勝負といっても、ここはあくまで前哨戦。春の二冠に向けて賞金を上積みしたいマウレアは別にして、すでに十分な賞金を持っているラッキーライラックリリーノーブルは先を見据えた仕上げではあっただろう。

前哨戦でどんなに着差がついたとしても、桜花賞までの調整過程や当日の馬場次第で、着順が入れ替わる余地は大いに残されている。実際、過去の結果を見ても、完勝した馬が思わぬ取りこぼしをしたり、完敗した馬が鮮やかな巻き返しを見せたり、チューリップ賞の結果は本番につながるようでつながらない。

そんなこんなで最後の直線。まだまだ手応え十分のラッキーライラックは、ほとんど持ったままでカレンシリエージョをかわして先頭へ。鞍上の石橋脩騎手はゴール板までしっかり追って、2馬身差の快勝。背後で繰り広げられた②着争いはマウレアが制し、リリーノーブルはクビ差遅れて③着となった。

これでラッキーライラック無傷の4連勝となった。今回はプラス10キロの馬体で、同条件の阪神JFからタイムを0秒9も縮めている。加えて、前走は差す競馬、今回は先行して勝利という自在性も見せている。阪神芝1600mではまったく隙がないように見える。

ただし、無傷という言葉の響きは実に甘美だが、桜花賞では決していいことばかりではない。むしろ最近は15年のルージュバック、16年のシンハライト、17年のソウルスターリングと、無敗馬が人気を背負っては負け続けている。

2000年以降の結果を見ても、2戦以上して無敗のまま桜花賞に臨んだ馬は[1.4.2.11]で、勝ったのは2004年のダンスインザムードのみ。1番人気に限っても[1.1.2.2]と連を外すケースも少なくない。1番人気に推されるのが確実のラッキーライラックにとって、あまり縁起のいいデータとはいえない。

無傷という言葉の響きは実に甘美だ。しかし、次の勝利を得るために要するエネルギーは、勝ち続けるほどに大きくなる。無敗ということは、どうなったときに負けるのかの対策が本当にはわからないということだし、そのうえで厳しさを増す相手のマークを跳ね返さなくてはならないからだ。

それこそ阪神JFチューリップ賞と続けて敗れたリリーノーブルマウレアの陣営は、桜花賞までの4週間で弱点を必死で探り、今度こそはと作戦を練ってくるだろう。待ち構えるラッキーライラック無傷でいられるのか、逆襲は果たされるのか。あるいは第3陣営の台頭はあるのか。今年の3歳牝馬クラシックでは、このせめぎ合いが大きな見どころとなる。