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本番・桜花賞、あるいはその先も…その走りに注目
文/浅田知広、写真/川井博


ここ10年少々の間の優勝馬からは、アストンマーチャン、メイショウマンボ、そしてクイーンズリングといったG1馬を輩出している桜花賞トライアル・フィリーズレビュー。って、桜花賞馬1頭もいないじゃないか、という話だが、桜花賞のマイルでは短かった馬、長かった馬、あるいは現時点でG1では力不足だった馬でも、この牝馬限定G2の1400mという舞台で賞金を加算して、後々のG1に繋げることもあるものだ。

そんな話をしなければならないというのは、このレースがなかなか桜花賞には繋がらないがゆえ。優勝馬以外では昨年、このレース②着のレーヌミノルが、08年レジネッタ以来となる本競走「出走馬」による桜花賞制覇を達成した。しかし90年以降、このレースと桜花賞を連勝したのは97年のキョウエイマーチと、05年のラインクラフトだけである。もうひとつ前がトライアルも含め牝馬三冠完全制覇を成し遂げたメジロラモーヌ(86年)だから、おおよそ10年に一度くらい。そう考えると、そろそろ本番も連勝する馬が出てこないものだろうか。

今年もチューリップ賞組が強そうではあるのだが、だからといって「どうせ……」という視点で見ては面白みに欠けてしまう。馬券的なことでいえば、1番人気のモルトアレグロで単勝3.8倍というオッズで面白みは十分にあったのだが、それだけではない、というような勝ち方をしてくれる馬は出てきてはくれないか。桜花賞に出ることが目標ではなく、そこでの勝利までを視野に入れる、と、なにやらオリンピックにも通ずるところがあるような、などと思いながら発走となった。

スタートは2番人気のアンコールプリュが後手を踏み、さらに4番人気アマルフィコースト浜中俊騎手が落馬という波乱。小倉の1200mで500万を逃げ切ってきたラブカンプーが先手を奪い、人気のモルトアレグロは2番手を追走。5番人気の……というかオルフェーヴルの下デルニエオールは好位につけ、3番人気のアンヴァルはスタートこそひと息だったが、二の脚でその後ろのあたり位置取りは確保した。

といった人気どころなのだが、なにせどの馬にもチャンスがありそうなメンバー構成だったゆえ、自分の馬券絡み以外は、いったいどこに注目するのが正解なのか、と戸惑っているうちにあっという間に4コーナーへ(前半33秒7と実際速かった)。そこで、えらく良い手応えのまま馬群で脚が溜まっている馬が目についた。8番人気のリバティハイツだ。

しかし、直線に向いたところで外からかぶされ閉じ込められ気味。本番の外回りならまだしも、内回りではちょっと痛いロスに思われた。その間に、先行していたモルトアレグロは失速し、かわって内めの馬群からぐいっと伸びてきたのがデルニエオール。いやいや、この馬が勝ったらオルフェーヴルの産駒(ラッキーライラック)か妹かと、期待通りにチューリップ賞組に挑戦状を叩きつける形になるぞ、と思ったところで、外から黄色い帽子。目を切っている間に前が開き、そこから末脚を伸ばしてきたリバティハイツだった。

その外に同じ5枠で、出遅れを喫したアンコールプリュを引き連れて、混戦から頭ひとつ抜けたかというデルニエオールを強襲。最後はこれを一気に交わし去り、見事な差し切り、重賞初制覇。⑥着まで0秒2差という混戦で、もし4コーナーでリバティハイツの手応えに目が行ってなければ、いったいなにがどうなったんだか、というレース直後の感想になっていたに違いない。

リバティハイツは2戦目に中京マイルの未勝利を勝ち上がり(当時の②着が、今回14番人気⑤着のギンコイエレジー)、前走ではデルニエオールと対戦。直線半ばで抜け出したデルニエオールの後ろから、差し切るかという勢いで迫ったものの、そこで内にもたれ立て直す場面もあって、4分の3馬身差の②着という結果だった。

しかし今回は、直線前半でちょっとした不利こそあったものの、その後はしっかりとした伸び脚で、デルニエオールに雪辱する形となった。後から考えれば、もしデルニエオールがもっと人気を集めていたら、前走で差し切ろうかという脚を見せたリバティハイツも、もう少し人気になっていただろうか。しかし、勝ったデルニエオールが5番人気では、負けたリバティハイツの8番人気というのも妥当だろう。

そんな人気はともあれ、今回は自分の力を出し切って勝利を飾ったリバティハイツ。もし本番でラッキーライラックを下すようなことがあれば、「オルフェーヴル・キラー」襲名、といったところか。もちろん相手が相手だけにそんな簡単な話ではなかろう。しかし、前々走の中京1600mではしっかりとした脚で差し切っているだけに、阪神外回り1600mという舞台がマイナスになることはないはず。本番・桜花賞で、あるいはもしかしたらその先の大舞台で、どんな走りを見せてくれるのか注目だ。