スプリングSを1番人気で勝った馬は近10年の皐月賞で3戦3勝
文/編集部(M)、写真/佐々木光
なんだか、今年の3歳牡馬クラシック路線は
盛り上がりに欠ける…。そんな風に感じていたのは、私だけだろうか?
そう感じるのはなぜか? 理由を探るべく、今年のここまでの3歳戦を調べてみたところ、なんとなく
合点がいきました。
1番人気馬があっさり敗れるケースがとても多いんですよね。
今年、牝馬限定戦を除く芝1800m以上の3歳OPでは、
1番人気馬の成績が次のようになっていた。
【2018年の芝1800m以上の3歳OP(牝馬限定戦は除く)】
レース |
1番人気馬 |
着順 |
若葉S |
タイムフライヤー |
5 |
弥生賞 |
ダノンプレミアム |
① |
すみれS |
コズミックフォース |
5 |
共同通信杯 |
グレイル |
7 |
きさらぎ賞 |
ダノンマジェスティ |
9 |
若駒S |
スーパーフェザー |
6 |
京成杯 |
ジェネラーレウーノ |
① |
勝利したのは
京成杯の
ジェネラーレウーノと
弥生賞の
ダノンプレミアムだけ。
皐月賞が盛り上がるためには若葉Sのタイムフライヤーには勝ってもらわないといかんなあ、と思っていたのだが、同馬は⑤着に敗れてしまった。
スプリングSの結果次第では、
皐月賞は
ダノンプレミアムの1強ムードになりかねない状況だと感じていた。
スプリングSの1番人気馬は
ステルヴィオで、13頭立てならさすがに馬券圏内までは差してきそうに思えたが、
皐月賞の盛り上がりを考えれば
突き抜けたいところ。それだけに、最後の最後に
エポカドーロを捕らえ切ってゴールしたことは意義があるだろう。
ダノンプレミアムとは異なる光が差し込んで、
皐月賞という舞台が少し明るさを増したように感じる。
舞台の明るさだけでなく、
ステルヴィオ自身にとっても、このハナ差は大きいと言える。近10年の
スプリングSでの1番人気馬は、いずれも次走で
皐月賞を走っているが、スプリングSで敗れた馬は皐月賞で[0.1.1.5]という成績で、スプリングSを制した3頭はいずれも
皐月賞馬に輝いている。その3頭とは、09年
アンライバルド、11年
オルフェーヴル、13年
ロゴタイプだ。
近10年の
スプリングS勝ち馬も、いずれも次走で皐月賞に出走しているが、皐月賞を制したのは前述した3頭だけで、スプリングSを2番人気以下で優勝した馬は皐月賞で[0.0.1.6]だ。今回の
ステルヴィオと
エポカドーロのハナ差は、実に小さくない差だった。
ステルヴィオは、
サウジアラビアRC、
朝日杯FSとダノンプレミアムの後塵を拝していて、距離が1800mに延びる今回も
道中での位置取りがカギになると思っていた。しかし、今回は序盤からスッと流れに乗り、中団の外で折り合った。レース後、
ルメール騎手は緩さが解消してきたことを話していて、この3ヶ月の間で成長した部分があったのだろう。
さらに今回は、2番手に付けた
エポカドーロが逃げた
コスモイグナーツを追いかけず、2番手以降がスローになったことも大きかったのではないか。結果的に、マイル戦で磨いてきた末脚を活かしやすい流れになった。
ルメール騎手は、距離は2000mでも問題ないと話していた。確かに、その走りを見ると1600mよりも1800mや2000mの方が合いそうな印象を受けるが、その一方で
血統は不思議だなあとも思う。
父の
ロードカナロアはご存知の通り、1200~1600mで活躍した馬で、母
ラルケットはクイーンC③着など、好走したのが1400~1800mだった。母の兄には阪神ジャンプSを勝ったクランエンブレムがいるが、同馬も平地戦での4勝は1800m以下。どちらかと言えば、
スピードを活かせる距離で活躍馬が多く出ている牝系だ。
母ラルケットの4代母はスイートルナ(シンボリルドルフの母)で、確かにそこまで深く潜れば短距離志向という印象は薄れるが、そのことよりも、やはり父
ロードカナロアの
性格の良さが距離の融通性に寄与している部分が大きのだろうと思う。
スプリングSを勝ち、
皐月賞を制した馬は、前述した3頭(アンライバルド、オルフェーヴル、ロゴタイプ)以外だと、06年の
メイショウサムソン、03年の
ネオユニヴァース、94年の
ナリタブライアン、92年の
ミホノブルボンなどがいる(近30年ではこの7頭)。
これらの馬たちを見ると、
使われて強くなったタイプが多い印象を受けないだろうか。
ロゴタイプはスプリングSが7戦目で、
ナリタブライアンや
メイショウサムソンは同9戦目だった。いずれも
中4週以内での出走&好走歴があり、中2~3週での皐月賞を制している。
ステルヴィオは今回が3ヶ月ぶり(中12週)で、キャリア5戦でもっとも間隔が詰まっていたのは
中7週(サウジアラビアRC②着)になる。4月15日の
皐月賞に向けては中3週という臨戦になるので、この間隔でもテンションが上がらず臨めるか、管理する厩舎の手腕と
ロードカナロアが伝える部分にかかってくるのではないだろうか?