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「新王者」の座を狙うスワーヴリチャードが見事にG1タイトル奪取
文/浅田知広、写真/川井博


昨年からG1に昇格した大阪杯宝塚記念と同じ阪神の似た距離で、春にもうひとつG1を増やすのはどうなんだ、という異論もあり。一方で、レースレイティングで一定の条件をクリアしているのだから、売上が桁違いになるG1に昇格させるのは当たり前、という考えもあり。

さて、どんな結果になるかと思えば、勝ったのが2017年の年度代表馬キタサンブラック、そして売上も前年比222%と、どちらもG1級。さらに、そのキタサンブラックが宝塚記念では⑨着と「2回やるのは意味がない」という結果にもならず、まずは、成功裏に終わった昇格第1回だった。

そんなレースを受けての今年。キタサンブラックが「王座防衛」への一歩を踏み出した昨年とは違い、今年は「復権」なるか、それとも「新王者誕生」かという様相になった。

「復権」組の筆頭格はもちろん、キタサンブラックを一昨年の有馬記念で下したサトノダイヤモンド。また、昨年の皐月賞以降は勝利がないアルアインも、同時期・同距離の大一番でふたつ目のタイトル獲得を狙っていた。

ただこの2頭、アルアインが2番人気で、サトノダイヤモンドは3番人気。1番人気の座を奪ったのは、「新王者」の座を狙う側から昨年のダービー②着馬スワーヴリチャードだった。ほかにアメリカJCCの①②着のダンビュライトミッキースワロー、3連勝中のトリオンフといったあたりもこちらの組になる。そして、その狭間で、G1馬ながら人気(と存在感も?)が少し薄くなっているペルシアンナイトシュヴァルグランゴールドアクターといった面々だ。

ゲートが開くと、外のほうがまとめて遅れてるなあ、と目をやると、そのまとまった中でも一番遅れていたのが1番人気のスワーヴリチャードだった。一方、ハナを奪ったのは15番人気のヤマカツライデンで、先に名前を挙げた中ではダンビュライトがまず2番手。そして当方、その後ろあたりにいてくれればと穴を狙ったのがトリオンフだったのだが、このあたりには姿なし。逆に、穴ではなく人気どころのアルアインサトノダイヤモンドが5~6番手だった。

そんな位置取りになった中で、前半の600m通過は36秒5、800mは48秒9のスロー。見た目にも遅そうな流れで、アルアインサトノダイヤモンドが前にいるとなると、出遅れたスワーヴリチャードには厳しい展開だ。

そのスワーヴリチャードの少し前にいたのが、我がトリオンフ。こちらもキツいなあと思ったところ、向正面でじわじわと進出開始。描いた展開とは違ったものの、まあ悪くはないか、などと考えはじめたその時、外からこれを一気に交わしていく馬が1頭、なんとスワーヴリチャードだ。

さて、どこまで行くのかと思って見ていれば、そのままヤマカツライデンを捕らえて先頭へ。出し抜けを食ってからひと呼吸置いて再び動いたトリオンフは、先にスワーヴリチャードに行かれた分、コーナーでやや外をまわる形。その後も健闘してはくれたが、これは同じような競馬をしようとしたもう1頭が強すぎた。

そんな外からの動きもあった中で、さらに苦しい競馬を強いられたのが、内枠を引いたサトノダイヤモンドだった。前が詰まってこの動きに対応できず後方まで下がり、そこから外に持ち出す形になってしまったのだ。一方、アルアインは馬群でうまく進路が開いて、先に抜けたスワーヴリチャードの追撃に入った。

早めに脚を使ったスワーヴリチャードと、多少は動き遅れたとはいえ、ふつうの競馬に近い形のアルアイン。坂下ではスワーヴリチャードの直後にアルアインが迫り、これはゴール前で馬体を併せた接戦になるかとの期待もふくらんだ。ところが、先に動いたスワーヴリチャードの脚色は衰えず、逆に脚色が鈍ってしまったのがアルアインだったのだ。

そのままスワーヴリチャードは押し切って優勝。対するアルアインは、最後に差してきたペルシアンナイトに交わされて③着という結果になった。終わってみれば4歳馬の①~③着独占。しかしG1馬2頭を差し置いて、見事にG1初制覇を果たしたのは「1番人気の」スワーヴリチャードだった。

メンバーを見たときにはアルアインサトノダイヤモンドのほうが人気は上かとも思ったが、そこはやはりM.デムーロファンに腕を買われ、そしてその手腕を存分に見せてくれた騎乗だった。

もちろん、馬が強くなければそんな騎乗にも応えられないものだが、皐月賞2番人気、ダービー3番人気と、どちらもチャンスがあった中での⑥②着。1年遅れにはなったが、ここでその実力相応のタイトルを手にすることになったと言っていいだろう。

とはいえ、今回はやや特殊な展開でのこの結果。先の話にはなるが、宝塚記念になればまた違う競馬になる。果たして昨年同様、大阪杯とは違った結果になるのか、それとも今年は同じような結果になるのか。ここに出走していなかった馬も含め、春のG1はどんな形で締めくくられるのだろうか。ともあれまずは、スワーヴリチャードM.デムーロ騎手見事なG1制覇となった大阪杯だった。