独自視点で穴馬推奨!競馬予想支援情報【サラブレモバイル】

サラブレモバイル

メニュー

ログイン

この血統馬らしい末脚を披露して重賞初制覇、いざ本番へ
文/浅田知広、写真/小金井邦祥


皐月賞の登録がフルゲート割れだったことに加え、断然人気が予想されたダノンプレミアムがまさかの回避(挫石)。そのニュースを目にしてから改めて、ニュージーランドTに「皐月賞にしとけば良かった!」と思っている陣営はなかろうかとメンバーを見渡したのだが、どうやらおおむね「それでもマイル路線」という馬ばかりのようだ。

そのマイル路線。今年からアーリントンCの施行時期が繰り下がり、このニュージーランドTに次いでNHKマイルCへのトライアル競走に指定された。ただ、同じマイルでもニュージーランドTは中山、アーリントンCは阪神外回り。回りは別にしてコース形態が本番に近いのはアーリントンCだが、権利を取るだけなら中山のほうが、と考える陣営もあったかもしれない。

そんな視点で見ると、1番人気に推されたケイアイノーテックはどちらでも。対して2番人気のカツジディープインパクト産駒でこそあるものの、これまでの京都3戦の走りからすれば、中山替わりはプラスだろうか。続く3番人気カシアスも悪くなさそうだ。

先手を奪ったのは、そのカシアスで、前半の600m通過は35秒2。直前に行われた阪神牝馬Sが37秒2と明らかなスローだったのに比べると、まずまず流れている印象だった。ただ、そこから4コーナー手前、残り400mまでの3ハロンは36秒0。逃げたカシアス視点で見ればうまく脚が溜まり、後続からすれば前との差を詰められたとも言えるが、4角で一団となったため、かなり距離損を強いられる馬も出てきた。

人気どころの中では、中団で進めていた1番人気のケイアイノーテックが、ずらっと横に広がった中の真ん中あたり。しかし、後方からレースを運んだカツジは外から2頭目。勢いをつけてコーナーを回りこそしたものの、結構な距離損を強いられた印象だ。

さて、この差が直線でどう出るかと思えば、結果として逃げたカシアスは溜めすぎたということに。もちろん余力をもって直線には向き、残り400mからは11秒6。ラスト200m地点では2馬身ほどのリードがあり、阪神牝馬Sと同じならそのまま逃げ切りかという態勢だった。

ところが、ラスト1ハロンの時計はそこに急坂があるにも関わらず、さらに上がって11秒4。カシアス自身も坂でやや止まったとはいえ、それ以上に勝負どころで楽に差を詰めた後続が、その勢いをさらに増して一気に飲み込んだ。中でも人気2頭、馬群の中央から伸びたケイアイノーテックと、外から伸びたカツジの脚色が良く、2頭がやや馬体を離した態勢のまま僅差でゴール。最後は、外のカツジがわずかにケイアイノーテックを交わし、4戦目で重賞初制覇を達成したのだ。

カツジの過去3戦は、新馬戦が道中5番手で、デイリー杯2歳Sきさらぎ賞が2~3番手。上がり3ハロンの最高はデイリー杯2歳S②着時の35秒0で、勝ったジャンダルムが34秒4なのだから、あまり速い脚を使うという印象はなかった馬だ。

しかし今回は、スタート直後に外のカシアスと接触し、内のアイスフィヨルドとの間で挟まれ加減。自身の行き脚も今ひとつで、その時点では「内枠を活かせなかった」と言える後方から2番手の追走だった。ただ、4角手前までペースが緩んだことにより、さほど苦もなく前との差を詰めると、4角は外から2頭目で距離損を喫しながら、上がり33秒9の末脚を繰り出した。

先にも触れたように、カツジディープインパクト産駒。そして母メリッサは10年の北九州記念を後方から馬群を突いて抜群の末脚で差し切った馬で、その父はホワイトマズル。こうした血統背景を見た上でもう一度レースを見れば、こういう差す競馬になるなら、こんな結果もあり得るのか、と。将来的にはもしかしたらスプリント路線ということもあるかもしれないが、ともあれまずはトライアルを制覇。同時に、これだけの脚が使えるなら、東京の直線でもいい脚を繰り出せそうだ。

一方、接戦を落としたケイアイノーテックは、デイリー杯2歳S(③着)に続き、またもカツジに先着を許す形になってしまった。ただ、内容そのものは決して悪くはなく、東京の良馬場で戦えれば、今度は逆転の目もありそうだ。