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今年のフローラS組はオークスで通用するのかどうか
文/出川塁、写真/小金井邦祥


普通なら桜花賞馬になっておかしくなかったラッキーライラックがいて、この2歳女王と常に僅差の競馬を続けるリリーノーブルがいて、そのうえで驚異的な末脚で桜の女王に輝いたアーモンドアイがいる3歳牝馬路線。例年、桜花賞組オークスでも好成績を収めているが、今年はいつも以上に強力だ。

だから、フローラS組には相当な勝ち方が求められる。そんな一戦で1番人気に推されたのは、3歳牝馬ながら前2戦がいずれも2400mという異例のローテーションで出走してきたサトノワルキューレだった。

スタート直後に「4番サトノワルキューレは現在最後方です」という場内実況が流れた瞬間は嫌な予感もした。追い打ちをかけるように「ペースは落ち着きそうです」。実際、前半1000mの通過は61秒1。最近の芝中距離戦では特段のスローともいえないが、ゆったりした流れには違いない。

3コーナーを過ぎてから外に持ち出し、1頭かわして徐々に進出を開始。それでも先頭までの距離はまだまだあったが、直線に入ってからは切れに切れた。残り400mあたりで本格的にエンジンがかかり、坂を登りきってからミルコ・デムーロ騎手のムチが一発、二発と入るともうひと伸び。最後に左手に持ち替えて仕上げのムチを入れると、しっかり差し切って先頭でゴールした。

②着には15番枠のパイオニアバイオ、③着にも16番枠のノームコアと、東京芝2000mでは不利とされる8枠の両馬が先行して粘り込んだ。いかんせん、今年からオークスの優先出走権が与えられるのは②着までに変更されため、ノームコアは賞金順での出走を狙うことになりそうだ。2番人気のサラキアは、直線で左へ右へと蛇行しながら追い込んだものの、④着に終わった。

この結果が出たところで、さて問題は1カ月後の本番で通用するかどうか。過去10年のフローラS組は、オークスで[1.4.4.33]。勝ったのは10年のサンテミリオンのみだが(アパパネと同着)、②③着にはよく来ている。また、フローラSで⑥着以下だと[0.0.0.9]なので、⑤着以内に入っていることは絶対条件といえる。

注目したいデータは4つ。最初のふたつは「4角通過順」「上がり順位」で、フローラSで4角9番手以内ならオークス[1.4.3.20]、複勝率28.6%、複勝回収率105%なのに対して、4角10番手以下だと[0.0.1.13]複勝率7.1%、複勝回収率22%。また、上がり1、2位だと[1.2.2.6]、複勝率45.5%、複勝回収率110%なのに対して、上がり3位以下だと[0.2.2.27]、複勝率12.9%、複勝回収率66%となっている。なお、この両方を満たすと[1.2.1.2]と、オークスでも高い確率で好走を果たしている。

このふたつのデータが示すのは、フローラSで後ろすぎない位置からレースを進めて、なおかつ速い上がりを使って掲示板に乗った馬ならオークスでも狙えるということ。今年はどうだったかといえば、上がり1位のサトノワルキューレは4角14番手、上がり2位のサラキアも4角13番手だったため、両方を満たした馬はいなかったことになる。

残りふたつのデータは「キャリア」「生産者」に関するもの。キャリアに関しては少ないほうがよく、オークス出走時点でキャリア4戦以内だと[1.2.3.6]、複勝率50.0%、複勝回収率131%なのに対して、キャリア5戦以上になると[0.2.1.27]、複勝率10.0%、複勝回収率56%。また、生産者は社台FかノーザンFなら[1.3.3.12]、複勝率36.8%、複勝回収率124%なのに対して、それ以外だと[0.1.1.21]、複勝率8.7%、複勝回収率39%となる。

わりと身も蓋もないデータだが、社台FかノーザンFが生産したポテンシャルの高い良血馬で、キャリアが浅く伸びしろを残した馬がいいということだろう。今年⑤着以内で該当するのは、③着のノームコアと④着のサラキア。一方、優先出走権を獲得した①着のサトノワルキューレは生産者を満たせず、②着のパイオニアバイオはすでに9戦を消化した点がネックとなる。

結局、ここで取り上げた4つのデータをすべて満たす馬は、今年のフローラS①~⑤着馬にはいなかったことになる。冒頭で述べた通り、桜花賞組がかなり強力ということを考慮すると、フローラS組例年より厳しい戦いになると考えるのが筋かもしれない。

ただし、そのぶん人気にもなりづらいだろう。そのなかでは、データをふたつしか満たせなかったサトノワルキューレパイオニアバイオより、3つ満たしたノームコアサラキア。優先出走権の獲得に失敗したこの2頭の出走が叶うようなら、穴馬としてちょっと狙ってみたいと思う。