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“マイル路線の主人公”になるべく、まず第一歩
文/編集部(T)、写真/森鷹史


全国的に気温が上がり、この日のレースは各地で真夏日も記録するほどの陽気で行われた。競馬場に行っていた知人は、今日がソフトクリーム解禁日だったようだ。

一方5年前、13年マイラーズCが行われた日に何が起こったか、覚えている方はいらっしゃるだろうか。言われてみれば、という方も多いかもしれないが、この日はなんと積雪のために福島競馬が中止になっていたのだ。

暑い部屋の中で、「突然の雪に驚いたのもそうだけど、翌週は福島が3日間開催になって大変だったなあ……」と思い出して、なんだか不思議な気持ちになった。

そんな中で行われた今年のマイラーズC。マイル戦線は2016年末にモーリスが引退してから、大混戦が続いている。大混戦というのは抜けた馬がいないという意味で、昨年以降に古馬の芝1600m重賞は今回を含めて18レース行われたが、複数勝利した馬が2頭しかいない

そのうちの1頭は、牝馬限定重賞を2勝したミスパンテール。もう1頭が、今回1番人気に推されたエアスピネルだった。

そのエアスピネル、G2やG3では強さを見せることが多いのだが、G1となるとあと一歩の成績で、これまで6回走って②④④③⑤②着。昨年の安田記念(⑤着)は前が詰まって不完全燃焼になるなど、不運に泣いた面もあるが、悲願のG1タイトルに向けて、G1馬のいない今回のメンバーで力の差を見せつけておきたいところだった。

そして、マイル路線がそういった状態なので、昨年のマイルCSはクラシック路線を戦ってきたペルシアンナイト、安田記念はどちらかというと1400mで強さを発揮してきたサトノアラジンが勝利。マイル路線の常連にとってみると、「G1をかっさらわれた」形になっている。

いろいろな距離で強い馬も悪くないと思う一方、個人的には“マイルの絶対王者”もそろそろ出てきてほしいという思いもある。その候補となるのはエアスピネルか、それとも別の馬か。誠に勝手ながら(笑)、少々複雑な思いを抱きながらレースを見ていた。

結果、エアスピネルは中団から差を詰めてきたものの、前のモズアスコットに及ばず、後方から差してきたサングレーザーに交わされて③着。他馬より1kg重い斤量57kgを背負ったサングレーザーが、1分31秒3というレコードタイムで文句なしの差し切り勝ちを収めた。

その前のレコードは、4年前にワールドエースが記録したもの。マイラーズCディープインパクト産駒が制したのもそれ以来で、今回は馬場も展開も向いての重賞2勝目となった。

上位2頭は4歳。エアスピネルもまだ5歳で、世代交代には早い気がするが、このレースを契機に“絶対王者”が生まれるとしたら、“アリ”な結果だったのだろう。

なお、サングレーザーがG1に挑戦したのは昨年のマイルCSだけで、この時は同じ3歳のペルシアンナイト、前述のエアスピネルに及ばず③着。ひと冬越して、成長した姿を見せつける形になった。

3歳秋は古馬G1で跳ね返され、年が明けてから強さを発揮というのは、ヒーローものの主人公っぽい気もする。戦績的には、テイエムオペラオーに似ていると思うのだが、どうだろうか?

とはいえ、今回もそうだったが、サングレーザーはスタートで不安定な面を見せることがある。安定感はまだ足りない印象があるが、“マイル路線の主人公”を目指すべく、今後の成長に期待したいところだ。

ところで、安田記念に向けてのステップレース・マイラーズC……とは言われるが、直行した馬は過去10年の安田記念で[0.1.7.34]。前述のワールドエースはチャンスだったのかもしれないが、安田記念当日が不良馬場となって⑤着に敗れている。

さらに、今回はG1馬が不在だったが、今年の安田記念スワーヴリチャードが他路線から殴り込みをかけてくるとのこと。マイル路線の馬が意地を見せるのか、それともまた“かっさらわれる”のか、そこも興味深い。

いずれにしても、これだけのタイムで走ったことで、まずは脚元の状態が気になるところ。まずは無事で、好天の下で安田記念を迎えてくれれば、と思う。