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その走りには、二重、三重で驚かされた
文/編集部(M)、写真/森鷹史


京都新聞杯は時に速い流れになることがあるが、1000m通過が58秒5というのは驚いた。しかも、それを2番手で追走していた馬(ステイフーリッシュ)が押し切ったので二重に驚き、レース後の勝利騎手インタビューを聞いて三重で驚くことになった。

ステイフーリッシュはデビュー戦の走りを見て、2戦目のホープフルSで穴ぐさ💨に指名して③着に激走してくれた馬で、その走りはよく覚えていた。共同通信杯では⑩着に敗れたものの、馬体重が12kg減(438kg)と減っていたし、計時した上がりは34秒1で、着順ほど内容は悪いものではなかった。

今回の京都新聞杯は2ヶ月半の休み明けで、7枠13番という枠順がどうかと思われた。というのも、京都新聞杯は2000年に春開催に移設されてから休み明けの馬が勝てていなかったし([0.2.2.16])、馬番12番より外枠で優勝したのは1頭だけ([1.1.4.61])だったからだ。

休み明けでの息持ちを考えれば、ペースはあまり速くならない方が良さそうだったし、かといって、外枠のロスを軽減するには縦長の隊列が望ましそうだった。スローで縦長の隊列なんてあり得るのか? そう思って見ていたら、速いペースで縦長の隊列になり、ステイフーリッシュは2番手を追走していた。

1000m通過のタイムを見て、これは差し馬の出番になるのかと思ったら、直線入口で先頭に立ったステイフーリッシュの手応えが良く、脚色が衰えそうな気配がなかった。勝負所で岩田騎手が押し上げたアドマイヤアルバが迫ってきたが、ステイフーリッシュは1馬身以上のセーフティリードを保ち、そのままゴールを駆け抜けた。速い流れだったこともあり、勝ち時計の2分11秒0は、春の芝2200mの京都新聞杯としては2位タイの好時計だった。

ステイフーリッシュは、確かに2番手追走とはいえ、逃げたメイショウテッコンとは距離があった。それでも、あのペースを先行してそのまま抜け出し、②~④着には序盤に後方に位置していた馬たちが入ったのだから、楽な展開ではなかったはずだ。休み明けでこの芸当をしてみせたステイフーリッシュの底力とはいかなるものか。しかも、鞍上の藤岡佑騎手の話では、道中も良いペースで、直線で抜け出してからも余裕を感じていたという。ステイフーリッシュには、二重、三重で驚かされることになった。

ハイペースの京都新聞杯を先行して押し切った馬と言えば、2012年のトーセンホマレボシがいる。あの時は1000m通過が58秒0で、トーセンホマレボシは2番手追走から抜け出して2分10秒0で快勝した。

先行抜け出しで好時計で京都新聞杯を制して馬では、2015年のサトノラーゼンもいる。あの時は1000m通過が59秒4で、サトノラーゼンは4~5番手追走から2分11秒3で押し切った。この時計が春の芝2200mの京都新聞杯としては4位の勝ちタイムになる。

ご存知の通り、サトノラーゼンは次走の日本ダービーで0秒3差②着に入り、トーセンホマレボシ日本ダービーで0秒1差③着に粘っている。京都新聞杯を先行して好時計で優勝した馬は日本ダービーで侮れないわけで、さらに言えば、春の京都新聞杯を馬番12番より外枠で優勝した馬が1頭だけいると前述したが、その馬はアグネスフライトだったりする(アグネスフライトが勝利した2000年当時は芝2000m戦だったが)。

今回のステイフーリッシュは、日本ダービーでも注目すべき走りをしたと言える。順調であれば、次走は日本ダービーとのことで、ポイントはやはり中2週の臨戦になることだろう。

京都新聞杯から日本ダービーに挑んだ馬は過去に39頭いて、アグネスフライト(00年)とキズナ(13年)が優勝している。前者は日本ダービーでの馬体重が4kg減の452kgで、後者は2kg減の478kgだった。

1986年以降の日本ダービーでは、中3週以内の臨戦で優勝した馬が5頭いて、アグネスフライトキズナ以外は、02年のタニノギムレット(2kg増の482kg)、04年のキングカメハメハ(2kg減の494kg)、08年のディープスカイ(6kg増の514kg)になる。馬体重が4kg以上減っていて戴冠したのはアグネスフライトだけだ。

ステイフーリッシュ日本ダービー参戦となれば、中2週での関東遠征となるわけで、体をどれだけ維持できるかがカギになるのではないか。今回の走りには二重、三重で驚かされたので、最高峰の舞台でまた驚かされてもいいように心の準備はしておこうと思う。