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自分の競馬ができた馬と、できなかった馬の差が出た
文/編集部(T)、写真/森鷹史


大谷選手清宮選手など、楽しみな若手選手が出てきたことがきっかけになって、再び野球をよく見るようになった。

ところが、特にメジャーリーグ中継を見ていると、選手の成績を表す指標として「OPS」「BABIP」「WHIP」などなど、自分が野球をよく見ていた頃にはあまり馴染みがなかった数字が使われている。打率、防御率といったおなじみの数字しか知らなかった自分としては、軽くショックを受けた

自分のような古い考えの人間は、何でも数字で表そうとするのに軽い抵抗感を覚えてしまう。が、スポーツの面では最先端を行くアメリカのこと、日本も今後はこういった数字がポピュラーなものになっていくんでしょうね。

なぜそんなことを思い出したかというと、今回の平安Sが、数字に表れないところに重要なポイントがあったと思うからだ。

今回、最終的な単勝オッズは1番人気が1.7倍でグレイトパール3.4倍でテイエムジンソク。3番人気のクイーンマンボが11.0倍。昨年のこのレースを含め、ダートで6戦負けなしのグレイトパール、O型コースの重賞で②①②①着というテイエムジンソクだから、2強ムードとなるのも当然ではあった。

迎えたレースは、テイエムジンソクがまずまずのスタートを切った一方、グレイトパールはゲートで暴れかけたところでスタートを切られて後方から。とはいえ、グレイトパールは前走も序盤は後方から進める形になっていて、そこまで大きな問題とは思えなかった。

「おや?」と思ったのは、スタートを決めたサンライズソアM.デムーロ騎手が手綱をしごき、ダッシュを利かせてハナに立ってきたこと。テイエムジンソク古川騎手は外に目を向けて、「行くならどうぞ」という感じで控えると、さらに外から来たプリンシアコメータにも譲って3番手の内に収まる。何気ない動きだが、テイエムジンソクにとっては、結果的にここが勝負の分かれ目だったように思う。

向正面でレースが動き、グレイトパールは前走と同様に進出を開始。同馬にとってのポイントはここで、その外からミツバが進出してきて、グレイトパールに先んじて先団に並びかける。すると、遅れたグレイトパールは外から来たクイーンマンボにも交わされ、勝負所で馬群に包まれる苦しい形になってしまった。

直線では脚色の差が歴然で、セーフティリードをとって押し切ったサンライズソア、4コーナーの勢いのままに②着に差し込んだクイーンマンボに対し、スムーズな競馬ができなかったグレイトパールは⑤着、テイエムジンソクは⑥着。両雄が共倒れとなった。

サンライズソアは前走のブリリアントS(⑭着)で出遅れて競馬にならなかったが、2走前の名古屋大賞典はスタートを決めて逃げ切っている。自分の競馬をできないと平気な顔をして大敗する馬で、個人的には苦手なタイプだが(笑)、M.デムーロ騎手がレース後に語ったように、“自分の競馬”ができれば、このメンバーでも勝ち切れる力があることを改めて証明する形になった。

これで、京都ダート1900mでの開催となった2013年以降の平安Sは、4角3番手以内の馬が5連勝となった。来年以降も、この傾向は覚えておいた方が良さそうだ。

一方で敗れた人気馬。グレイトパールの位置取りを見ると、勝った前走が「10-10-7-4」、今回が「11-11-4-4」とほとんど変わらない。しかし、数字に表れない内容に雲泥の差があった。

改めてグレイトパールの過去6戦を振り返ってみると、すべて勝負所で外に持ち出す競馬をしていて、勝負所で外から被される形になったのは今回が初めてになる。今回の直接の敗因が包まれて砂を被ったことか、スムーズに加速できなかったことか、あるいはそれ以外なのか。このあたりは、今後に注目する必要がありそうだ。

テイエムジンソクは直線に向くまで前に馬がいて加速することができず、一旦は2番手に上がったが切れ負けした形。初の斤量58kgが影響したのかもしれないが、やはりこちらも勝負所でスムーズに加速する形がベターで、直線に入ってから加速を始めるのでは間に合わないのではないか

今回のようなレース内容を数字で表すことができたら、予想する上でも分かりやすくなるのになあ……と思うが、さすがに難しいだろうか。いずれにしても、この2頭は今回の敗戦を糧に、どう対応してくるかだろう。

結果的に、2頭だけ出走していた4歳馬がワンツーフィニッシュ。今年のJRA古馬ダート重賞で、4歳馬は根岸S②着のサンライズノヴァが馬券圏内に入っただけだったが、これで一矢を報いた。帝王賞では大将格の5歳馬ゴールドドリームが待ち構えるが、対する4歳馬がどんな戦いを見せてくれるか、楽しみが増えたのは間違いなさそう。