ストロングタイタンが2度目のレコード樹立で重賞初制覇!
文/編集部(M)、写真/森鷹史
◯◯◯◯と来た後に、さらに
◯ が続くと考えるか、そろそろ
● が出ると思うか。競馬ファンなら様々な考えや経験があるだろう。個人的には、
そろそろ●派なのだが、まだ◯が続くケースも珍しくないのが競馬で、筋書きはないはずなのに不思議だなあと感じさせられる。
鳴尾記念が
6月の芝2000m戦に戻ったのは2012年で、その年は2番人気に推された8枠10番の
トゥザグローリーがスローペースを先行し、2分0秒1で押し切った。
これが
始まりで、翌年は5枠10番の
トウケイヘイローが勝ち、2014年は8枠11番の
エアソミュール、2015年は8枠10番の
ラブリーデイが制した。2016年こそ3枠3番の
サトノノブレスが優勝したものの、昨年は8枠9番の
ステイインシアトルが逃げ切りを決め、6月の阪神芝2000m戦に変わってからの
鳴尾記念は、実に、6年中5年で
馬番9~11番の馬が優勝していた(2016年は7枠12番のステファノスが②着)。
ご存知の通り、トゥザグローリーは
池江厩舎の管理馬で、同厩舎は、ラブリーデイ、サトノノブレス、ステイインシアトルと昨年まで
鳴尾記念を3連覇中でもあった。余談だが、
池江厩舎は阪神芝外1800mでの鳴尾記念にも管理馬を出走させたことがあるが、2007年にドリームジャーニーが⑧着、翌08年にはフサイチアウステルが⑦着に敗れている。
現在の施行時期&距離になってから、高い確率で勝利を収めるようになっている。
阪神芝2000mの鳴尾記念は、
「馬番9~11番」と
「池江厩舎」が超重要ワードで、今年は少頭数で池江厩舎の出走馬が2頭(
ストロングタイタン、
サトノノブレス)になったので、どうなるかと思ったが、
7枠8番(
ストロングタイタン)と
8枠11番(
サトノノブレス)という枠順になった。
「馬番9~11番」という意味では、
好走フラグが立ったのは
サトノノブレスの方だったが、
ストロングタイタンも7枠8番なら悪くはなさそう。どちらも消しづらく、レース前は、冒頭の
「◯●問題」を出された心境だった。
終わってみれば、◯ と言うべきか、△ と表現すべきか微妙なところだが、7枠8番の
ストロングタイタンが内から伸び、1番人気だった
トリオンフを半馬身差で抑えて優勝した。勝ち時計は
1分57秒2で、これは一昨年にサトノノブレスが記録した1分57秒6を上回る
レコード。来年からは、鳴尾記念の超重要ワードは
「池江厩舎」と
「馬番8~11番」に変わりますので、ご了承ください。。。
2000m戦に変わってから
池江厩舎の馬がバンバン出るようになったのは、距離の違いというよりは、他レースも含めた
立ち位置の変化が影響しているように思う。
芝1800mで行われていたのは
12月の阪神開催で、開催1~3日目に組まれていた。古馬混合の芝G1は、11月末の
ジャパンCを終えたら
有馬記念まで存在しないわけで、鳴尾記念→有馬記念と進んだら、馬場を半周するU型コース(阪神芝外1800m)から馬場を1周半する特殊なコース(中山芝2500m)に替わり、距離が700mも延びることになる。
G1を目指す馬にとっては使いづらいレースだったのではないか。
6月の芝2000m戦に変わってからはその立ち位置は明白で、
宝塚記念出走を目指す馬たちの争いになった。両レースは
阪神芝内回りで馬場を1周するコースというのは同じで(距離が200m異なる)、
鳴尾記念→
宝塚記念という臨戦馬は毎年現れるようになった。
鳴尾記念が芝2000mとなってからは、
宝塚記念で前走
鳴尾記念組が[1.2.1.10]という成績で、2015年にラブリーデイが制し、6年中4年で馬券に絡んでいる。③着以内に入った4頭は
5~9番人気だったので、人気の面でも妙味のある臨戦過程と言える。
池江厩舎にはG1馬やG1制覇を目指すOP馬、高素質馬がわんさかいて、別定戦の
鳴尾記念は
宝塚記念出走&制覇を目指すにはちょうど良い立ち位置のレースなのだろう。いや、もちろん、使い勝手が良いだけでなく、それを
勝ち切るところに
池江厩舎の凄さがあるわけだが。
2000m戦に変わっても、施行時期が開催前半であることに違いはなく、近年の
鳴尾記念は開幕初日に行われている。それを考えれば、内枠ではなく、
馬番9(8)~11番の馬がよく勝利しているというのは少々説明がしづらい面があるが、先行タイプがよく優勝しているところを見ると、内枠過ぎない方が
包まれずに前に行きやすいメリットがあるのかもしれない。
今年の
ストロングタイタンに限っては、枠順のメリットというよりも、
M.デムーロ騎手の腕だろう。過去3度の重賞が⑨⑤⑧着で、タイトルを獲るにはロスなく運ぶという思惑があったのかもしれないが、7枠8番でもスタートを決めて、隊列が縦長になると内に潜り込んで
内ラチ沿いを追走した。
興味深かったのは
ストロングタイタンと
タツゴウゲキの
7枠2頭の挙動で、
ストロングタイタンばかりでなく、
タツゴウゲキも出遅れた後、
秋山騎手がスッと内に持って行き、道中は
ストロングタイタンの後ろに付けた。
タツゴウゲキは長期休養明け初戦で伸びきれず、⑩着に敗れてしまったものの、向こう正面で
7枠の2頭が内枠だった馬よりも内を周回していたので、ふたりのジョッキー(
M.デムーロ騎手、
秋山騎手)は凄いなあと感心させられた。
ストロングタイタンは初重賞制覇で、レコードのおまけ付きだったわけだが、実は
レコードを樹立するのは今回が
2度目だ。昨年7月に中京芝2000mの準OP(マレーシアC)を1分58秒3で勝利し、その記録は今も残っている。
M.デムーロ騎手が
ストロングタイタンに騎乗するのは今回が3度目で、過去2戦は②⑦着だったが、
M.デムーロ騎手曰く「馬場が緩かった」とのこと。調べてみると、確かに
ストロングタイタンはダートや道悪芝では勝ち鞍がなく、全6勝を
良馬場の芝で挙げていて、2度のレコードを保持している。中距離で絶対的なスピードを活かせる条件が合うのだろう。
鳴尾記念→
宝塚記念の臨戦で③着以内に好走した4頭は、
鳴尾記念が4角3~7番手で①~④着に走っていた。控える競馬をしていたタイプが好走しているので、4角4番手だった
ストロングタイタンもその点は悪くなさそう。
宝塚記念は6月末の開催8日目の施行で、
馬場が悪くなるケースが多いだけ、
ストロングタイタンが
宝塚記念出走となったら、馬場状態がキーになってくるのではないだろうか。