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リスクをとって内を突いた、国分恭騎手の好騎乗が光る
文/編集部(T)、写真/森鷹史


最終的な単勝人気は、1番人気レイホーロマンスが6.0倍、2番人気ミリッサが6.2倍、3番人気キンショーユキヒメが6.8倍。以下、ミエノサクシードが7.4倍、トーセンビクトリーが9.0倍、10倍台で5頭がズラッと並び、10番人気のアンドリエッテですら17.1倍というオッズとなった。

“荒れるマーメイドSといわれるが、ハンデ戦となった06年以降の1番人気の単勝オッズは、もっとも高かった近2年でも4.8倍。さすがにここまでの混戦模様もちょっとない

さらに1番人気が6.0倍というのはあまり記憶になかったので、調べてみると、重賞で1番人気が6.0倍を超えたのは15年新潟記念のミュゼスルタン(6.1倍)以来。2000年以降でもわずか9回しかなかった。

その9回の1番人気は[1.1.1.6]で、決して人気馬がダメなわけではないが、9回中8回でふた桁人気の馬が馬券圏内に入り、残る1回も8番人気馬が③着に入っている。ここまではっきりとした傾向があると、購入した3連複の馬券に1番人気-2番人気-3番人気の組み合わせがあったことは反省材料だ(苦笑)。

そんな中、10番人気ではあったが、前走のパールS(京都芝外1800m)で34秒0の上がりを使い、③着に好走していたのがアンドリエッテ。前走好走馬なのにハンデ51kgなのは、その前走が準OPだったからだろう。

とはいえ、このパールSマーメイドSの最重要ステップレースと言ってもいい好成績を残している。穴ぐさコメントでは『前走がパールSで④着以内だった馬は過去10年のマーメイドSで[3.1.1.11](複勝率31.3%)』とあったが、今回はこのデータに応える形で快勝を飾ってみせた。

このアンドリエッテ、元々3歳時にはチューリップ賞で②着に好走し、その時はレッツゴードンキに先着している。その後桜花賞⑥着、オークス⑤着、秋華賞④着の実績を残した馬が6歳の今年、格上挑戦の形で重賞初制覇を飾るとは、当時の自分に言っても信じなかっただろう。

その理由としては、追い込み脚質のために多くの場合で外を通らざるを得ない戦法もあって、この馬はとにかく勝ち味に遅い。これまで④着5回⑤着4回⑥着5回で、前述した3歳G1も含め、28回走った中でちょうど半分の14回が④~⑥着だった。

ところが、今回のアンドリエッテというか、テン乗りで騎乗した国分恭騎手がとった戦法は違っていた。2枠3番から五分のスタートを切ると、少し仕掛けて中団の最内に付ける。馬群が密集したところでの追走になったので、どうやって外に出すのかと見ていたら、勝負所で他馬が仕掛けたところでも内で我慢。下がってきたトーセンビクトリーの外に持ち出すと、前をこじ開けるように伸びて②着ワンブレスアウェイとの競り合いを制してみせた。

1番人気レイホーロマンス(⑥着)をはじめ、直線で外に持ち出した馬が軒並み差し損ねたところを見ると、結果的にこれが大正解だったということだろう。

この騎乗ぶりに、福永騎手が掛かるリスクをものともせず、先行策から抜け出したダービーワグネリアンを思い出した。「外を通ってだめなら内を通ればいい」と言うのは簡単だが、前が詰まるリスクを考えると実際にやるのには勇気が要るはず。人気薄だったことでできた部分はあるかもしれないが、それにしても国分恭騎手の好騎乗が光ることに変わりはないだろう。同騎手にとってはデビュー2年目の2010年府中牝馬S以来、約8年ぶりの重賞制覇となった。

この週は、ご存じ“マジックマン”ジョアン・モレイラ騎手が日本移籍を目指し、JRAの試験を受ける意向であることが報じられた。実際に移籍すれば日本人騎手にとって強力なライバルが増えるが、このような騎乗ができる日本人騎手も十分戦えるのではないか。そう期待したい。

ちなみに、前述したパールSのデータだが、今回のアンドリエッテの勝利によって来年には『前走がパールSで④着以内だった馬は過去10年のマーメイドSで[4.1.1.10](複勝率37.5%)』に変わる。気が早い話だが(笑)、ぜひ覚えておきましょう。